ヘリポート






ビル屋上に設置された緊急離着陸場
(新宿グリーンタワービル)


ヘリポート(英語: heliport)、もしくはヘリ発着場(ヘリはっちゃくじょう)とは、ヘリコプター専用の離着陸場のことである。またその敷地内でヘリコプターが離着陸する場所のみを指す場合はヘリパッド(英: helipad)という。さらに航空法に定めるヘリポートとは異なる消防活動のために高層ビルの屋上に設置されたヘリコプターの離着陸場があり、緊急離着陸場(Hマーク)および緊急救助用スペース(Rマーク)で区別され、火災やテロなどの緊急時にしか使用できない。Hマークは消防・防災ヘリが消火活動や救助活動をするための離着陸施設を指し、Rマークは着陸はせず、ウインチで人員、機材の乗降をする場所を指す。マークは円内にHまたはR(ラペリングのRまたはレスキューのR(諸説あり))の文字が記入される。




目次






  • 1 概要


  • 2 日本における位置づけ


  • 3 大きさ・強度・素材


    • 3.1 大きさ(面積)


    • 3.2 強度


    • 3.3 素材




  • 4 脚注


  • 5 関連項目





概要




ヘリポート上のベル 412




廃校跡に設置されたヘリポート(高浜町 旧音海小中学校)[1]


通常の(飛行機)の離着陸においては、長大な滑走路が整備された飛行場が必要となる。これに対して、ヘリコプターはその垂直離着陸性能を活かし、比較的狭隘な場所においても離着陸が可能である。このヘリコプター専用に整備された離着陸場をヘリポートと呼ぶ。


整備されたヘリポートにおいては、滑走路が非常に小規模で済む[2]以外は通常の空港と同様の航法支援設備および航空機材支援設備が求められる。すなわち、通信設備や気象観測機材、機体格納庫などである。ヘリコプターの離着陸コースの空域確保や駐機施設等も必要である。


簡易的なヘリポートいわゆる飛行場場外離着陸場においても、ヘリコプターが着地できる十分な強度のある接地面が最低限必要となる。繰り返し離着陸を前提とした場合、非公共用ヘリポートの設置基準を準用するのが適当である。簡易的なヘリポートとして草原・耕地などが用いられることもある。また、主として高層ビルの屋上に設置される緊急離着陸場および緊急救助スペースがあるが、火事や災害時のみにしか利用されないため、繰り返し発着が可能なヘリポートとは構造的に大きく異なる。



日本における位置づけ


日本においては



  1. 公共・非公共用ヘリポート。航空法第38条ほかが適用される。

  2. 飛行場場外離着陸場。航空法79条但し書きが適用される。


  3. 緊急離着陸場および緊急救助スペース。消防庁指導、各自治体消防の基準によって高層ビルの屋上に設置される。


の3種類に分類される。[3]



空港等(公共・非公共ヘリポート、空港およびその他の飛行場)[4][5]

日本の航空法で定めるヘリポートとは「公共用ヘリポート」と「非公共用ヘリポート」のみを指す。「公共用ヘリポート」は「東京都ヘリポート」など約20か所ある。「非公共用ヘリポート」は各地の警察本部やドクターヘリの拠点病院など約100か所である。ヘリポートの設置に関する基準は航空法並びに施行規則に細かく示されている。「公共用ヘリポート」と「非公共用ヘリポート」の最も大きな違いは法的な制限力にある。「公共用ヘリポート」の飛行ルート下には飛行障害となるようなビルやアンテナは建てることができない。樹木も飛行障害となるほど成長した場合は強制的に伐採される。一方「非公共用ヘリポート」にはそのような法的拘束力がなく、飛行ルート下にビルなどが建ち飛行障害となると「非公共用ヘリポート」の認可が取り消され発着できなくなる。

飛行場場外離着陸場[6]

運航者が申請し、国土交通大臣の許可を受けたもののみが利用できる臨時ヘリポートで、空港等に分類されるヘリポートに比べると基準が緩和されている。「公共用ヘリポート」「非公共用ヘリポート」「緊急離着陸場」のほかに臨時的にヘリコプターの発着が許可される場所を「飛行場外離着陸場」と言う。農薬散布や物資輸送など一定の目的のために事前に申請し、国土交通大臣から離着陸を許可された場所を言う。事前申請し許可されたヘリ以外はここに着陸できない。ドクターヘリの着陸などに繰り返し利用される病院施設には本来「非公共用ヘリポート」を設置すべきであり、国土交通省もそのように指導している。しかし飛行目的が一定であり限られたヘリコプターしか利用しないため最近ではこの「飛行場外離着陸場離着陸場」で対応する事例が増えている。ただし病院屋上等の構築物上の離着陸施設においては強度や構造に関しては「非公共用ヘリポート」と同等のものを設置しなければならない。

緊急離着陸場

災害時など緊急の場合のみにしか利用できないヘリコプター離着陸場。高層ビルの屋上に緑色の床に白地で「 H 」と書かれたヘリポート状のものを見かけるがあれは航空法上のヘリポートではない。「緊急離着陸場(あるいは緊急発着場)」と呼ばれる施設である。国土交通大臣は火災や大事故などの緊急時を除き、ヘリポート以外へのヘリコプターの発着を許可しない。「緊急離着陸場」は火災やテロなどの緊急時に備えた施設であり、緊急時以外のヘリ発着はできない。「緊急離着陸場」の設置基準は統一されておらず各自治体で異なっている。


また、ドクターヘリが学校の校庭などの広場に着陸する場合があるが、航空法施行規則第176条3項「救急医療用ヘリコプターを用いた緊急医療の確保に関する特別措置法」を適用したもので、これは緊急時には航空法によって制限された場所(空港等および場外離着陸場)以外にも離着陸することができるためである。



大きさ・強度・素材



大きさ(面積)


地上ヘリポートと屋上等の構築物上ヘリポートで着陸帯面積は異なる。


地上ヘリポートは着陸する機体の投影面の全長全幅以上、構築物上(屋上)ヘリポートは着陸する機体の投影面の全長全幅の1.2倍以上でなければならない。




地上・構築物上(屋上)ヘリポートの大きさ



強度


地上ヘリポートは着陸する機体の最大離陸重量とその利用頻度によって地盤厚が異なる。


構築物上(屋上)ヘリポートはICAO基準に準ずるもので最大離陸重量の3.25倍を支持できなければならない。(構造材も含む)曲げ応力としては(スキッドもしくは脚の)2点で、床面の超短期せん断応力(パンチングシャー)は1点にかかる荷重として、それに耐える強度が必要である。なお、ヘリポートは反復利用が前提であるため、防水層上の保護モルタルもこの強度に耐えなければならない。





ヘリポートと緊急離着陸場の断面比較図




素材


地上ヘリポートではコンクリート製、アスファルト製の2種類。比較的狭いヘリポートはコンクリートで、広いヘリポートはアスファルトで作られることが多い。全体はアスファルトだが、実際にヘリが接地する場所のみコンクリートで作られることもある。構築物上(屋上)ヘリポートではコンクリート製が多かったが、近年北米や欧州などでアルミデッキ製の普及が進んでいる。



脚注


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  1. ^ “高浜町地域防災計画(H28.7更新版) 高浜町地域防災計画(資料編)”. 高浜町. 2018年1月6日閲覧。資料<3-7-2>避難所位置図、ヘリポート位置図(ヘリポートH 音海小中学校(旧))


  2. ^ ヘリコプターが地面に発着地する正方形に近いエリアが「滑走路」となる。日本の非公共用ヘリポートは使用する予定航空機の全長幅の1.2倍以上の大きさが必要であり、必要強度も定められた基準を満たしていることが必要となる。


  3. ^ あなたの病院に必要なタイプは?


  4. ^ 航空法第38条


  5. ^ 航空法施行規則75条


  6. ^ 航空法79条




関連項目








  • 日本の空港(ヘリポートの一覧がある)

  • ヘリコプター

  • 飛行甲板#ヘリコプター甲板









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