都道府県民歌




都道府県民歌(とどうふけんみんか)は、日本の都道府県が制定し、各都道府県内において歌い継がれている歌の総称である。都道府県歌、もしくは都道府県民の歌と呼ばれる場合もある。




目次






  • 1 概要


    • 1.1 県民歌と県民愛唱歌の違い


    • 1.2 複数の歌を持つ都道県


    • 1.3 都道府県民歌を制定していない府県


    • 1.4 旧外地の州歌




  • 2 都道府県民歌の一覧


    • 2.1 廃止された県民歌




  • 3 都道府県民歌を流す放送局


    • 3.1 過去に都道府県民歌を流していた放送局




  • 4 参考文献、脚注


    • 4.1 出典


    • 4.2 注釈




  • 5 関連項目


  • 6 外部リンク





概要


日本では、44の都道府県が告示などの方法により公式な都道府県民の歌を制定もしくは指定している。1945年(昭和20年)の終戦後に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の奨励を受けて作られた歌もあるが、起源を明治時代に持つ歌や1980年代以降に作られた歌など、GHQの奨励とは無関係に作られた歌もある[1]。最も多いのは、都道府県旗と同様に国体の開催に合わせて制定された事例である。


演奏の機会は都道府県が主催する行事や国民体育大会が主で、他に都道府県庁の始業時間と終業時間を知らせる庁内放送や電話の保留音・着信メロディに使われる事例も見られる。住民にさえ余り知られていないことが多い一方で、長野県の「信濃の国」のように県内で圧倒的な認知度を誇り「県民なら歌えて当然」という曲もある[2]。また、神奈川県では県歌「光あらたに」よりも森鴎外(森林太郎名義)が作詞した「横浜市歌」の方が圧倒的に認知度が高いとされる。



県民歌と県民愛唱歌の違い


都道府県の告示により制定され、都道府県主催の行事において都道府県旗の掲揚と一対で演奏されるものを都道府県歌ないし都道府県民歌と称し、それ以外のキャンペーンソングやイメージソングを愛唱歌と呼んで区別することが多い。ただし、両者の間に明確な区別はなく行事で演奏される正式な県民歌以外のキャンペーンソングやイメージソングが「県民歌」や「県民の歌」と呼ばれることも珍しくない。「佐賀県民の歌」に対する準県歌(イメージソング)「風はみらい色」と愛唱歌(さが・ふるさとの歌)「栄の国から」や「熊本県民の歌」に対する「火の国旅情」などがこれに該当する。


この他、当然ながら非公式だが兵庫県・大阪府における「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」や福岡県における「いざゆけ若鷹軍団」のように地元のスポーツチームの応援歌などが「県民歌的存在」「準県民歌」と称される場合がある。



複数の歌を持つ都道県


北海道・青森県・宮城県・秋田県・東京都・神奈川県・富山県・山梨県・静岡県・岡山県・山口県・佐賀県は複数の曲を制定もしくは指定している。その多くは制定・指定された時期が異なっており、宮城県のように戦前の県民歌を封印せず「愛唱歌」扱いとして戦後に新県民歌を制定した事例や、山梨県や岡山県のように正式な県民歌の制定後に新しく愛唱歌やイメージソングを作成した事例などがこれに該当する。特異な例は3曲を同時に「北海道民のうた」として制定した北海道と、戦前・戦後の2曲を現在も正式な県民歌として並立させている秋田県である。


また、山形県の「スポーツ県民歌」のようにスポーツに限定した曲(体育歌)を別に制定したり、大分県の「大分県民体育の歌」のように県民歌は未制定でスポーツ限定の曲のみが指定されている場合もある。この他、埼玉県・千葉県・奈良県・福岡県・長崎県などで県民音頭が制定されている。



都道府県民歌を制定していない府県


2012年(平成24年)現在、大阪府・広島県・大分県は都道府県民歌を制定していない[3]。ただし、大分県には過去に県の発行物で県民歌に準じた扱いで紹介されていた非公式の曲が存在する。


大阪府と広島県はそれぞれ1996年(平成18年)のひろしま国体、1997年(平成19年)のなみはや国体開催に合わせて体育歌や府旗掲揚場面演奏歌を制作しているが、いずれも認知度は低いか無いに等しいのが実情である。


兵庫県は長年にわたり「未制定」とするのが通説であったが[3]、実際は1947年(昭和22年)に「兵庫県民歌」が制定されていたことが神戸新聞社の取材で明らかになった[4]。県は2014年(平成26年)までこの県民歌の存在を否定し続けていたが[5]、廃止の事実は確認されていない[4]



旧外地の州歌



旧外地のうち台湾では、台北州・台中州・台南州など一部の州が内地(日本本土)の県民歌に相当する州歌を制定していた。朝鮮の13道および関東州では道歌・州歌の制定は確認されていない。


1943年(昭和18年)に内地へ編入された樺太では、樺太庁が「樺太島歌」を制定していた。



都道府県民歌の一覧


県の発行物やウェブサイトにおいて県民歌に準じた扱いで紹介されている非公式の曲についても参考として掲載する。また、体育歌に関しては特記事項のあるものを掲載する。











































































































































































































































































































































































































































































































都道府県 曲名 制定・発表 リンク 備考
北海道 光あふれて(行進曲)
1966年11月29日
北海道民のうた MP3 「北海道民のうた」として3曲同時に制定[6]
通常は「光あふれて」を使用
むかしのむかし(ホームソング)
MP3
北海ばやし(道民音頭)
MP3
青森県 青森県賛歌
1971年9月23日
「青森県賛歌」の制定 現在は実質廃止状態[注 1]
青い森のメッセージ
2001年1月1日
青い森のメッセージ MP3
岩手県 岩手県民の歌
1965年3月30日
岩手県民の歌 YouTube
宮城県 宮城県民歌
1938年11月29日
宮城の県民歌 初代、現在は愛唱歌として存続
著作権保護期間満了
輝く郷土 1946年 2代目
秋田県 秋田県民歌 1930年 楽譜 MP3 著作権保護期間満了
県民の歌
1959年12月7日
楽譜 MP3
山形県 最上川
1982年3月31日
山形県民の歌 MP3
昭和天皇作詞(御製歌)
旋律は著作権保護期間満了
スポーツ県民歌 1948年 山形県スポーツ県民歌「月山の雪」 MP3
体育歌
福島県 福島県県民の歌
1967年2月11日
福島県県民の歌 MP3
茨城県 茨城県民の歌
1963年3月16日

茨城県民の歌
[1]
栃木県 県民の歌
1952年12月25日
県民の歌 MP3
群馬県 群馬県の歌
1968年10月25日
群馬県の歌 MP3 3代目
埼玉県 埼玉県歌 1965年9月21日
埼玉県歌 MP3 2代目
千葉県 千葉県民歌 1963年3月16日 県民歌 MP3
東京都 東京都歌
1947年4月19日
東京都歌・市歌 MP3
東京市歌 1926年 著作権保護期間満了
東京市廃止後も都歌に準ずる扱いで存続
神奈川県 光あらたに
1950年4月10日
県民歌「光あらたに」 MP3 2代目、1968年に4番を廃止
ふるさとの風になりたい 2001年12月2日
  神奈川県21世紀の合唱曲
新潟県 新潟県民歌 1948年3月28日
県民歌 MP3
富山県 富山県民の歌
1958年4月1日
県民の歌 MP3
ふるさとの空
2012年7月6日
ふるさとの空 - 富山県ふるさとの歌 県民愛唱歌(富山県ふるさとの歌)
石川県 石川県民の歌 1959年11月3日
石川県民の歌 WAVE
福井県 福井県民歌
1954年5月1日
新しい福井県民歌 2014年に曲を改訂(旧版)
歌詞は著作権保護期間満了
山梨県 山梨県の歌 1950年4月10日 県歌「山梨県の歌」 映像音声
緑のふるさと
1977年11月23日
愛唱歌「緑のふるさと」 映像音声 県民愛唱歌
長野県 信濃の国 1968年5月20日
県歌「信濃の国」 WMA 著作権保護期間満了
岐阜県 岐阜県民の歌
1955年4月1日
岐阜県民の歌 MP3
静岡県 静岡県歌(あけゆく朝) 1968年8月14日
県の歌 映像音声
富士よ夢よ友よ
1990年1月25日
映像音声 県民愛唱歌(しずおか賛歌)
愛知県 われらが愛知 1950年8月15日
県章・県民歌 Windows Media
三重県 三重県民歌
1964年4月20日
三重県民歌 MP3
滋賀県 滋賀県民の歌 1954年6月15日
滋賀県民の歌
京都府 京都府の歌
1984年3月22日
京都府の歌 MIDI
大阪府 (未制定) -    

なみはやのうた[注 2]
1997年  
体育歌(なみはや国体讃歌)
兵庫県 兵庫県民歌 1947年 歌詞(前半のみ)
Ogg Vorbis
(インストゥルメンタル)
現在は公式に歌われていない[4]
旋律は著作権保護期間満了
ふるさと兵庫 1980年 ♪ふるさと兵庫♪ MP3
非公式
奈良県 奈良県民の歌 1968年3月1日
奈良県民の歌及び奈良県民音頭の制定
和歌山県 和歌山県民歌 1948年 県民歌 MP3 旋律は著作権保護期間満了
鳥取県 わきあがる力 1958年10月23日
歌詞 ASX
島根県 薄紫の山脈 1951年 県民の歌「薄紫の山脈」 MP3
岡山県 岡山県の歌
1957年3月9日[7]
『岡山県民手帳』に掲載[8]

みんなのこころに 1982年 岡山県民愛唱歌「みんなのこころに」 県民愛唱歌
広島県 (未制定)[8][9]
-    
虹の輝き
1994年11月20日
 
体育歌(広島県スポーツ賛歌)
山口県 山口県民の歌
1962年9月3日
山口県民の歌 MP3 3代目、著作権保護期間満了
みんなのふるさと 1979年 みんなのふるさと 県民愛唱歌
徳島県 徳島県民の歌 1971年7月 徳島県民の歌 Windows Media 2代目
香川県 香川県民歌 1954年11月18日
香川県民歌 YouTube
愛媛県 愛媛の歌
1973年2月20日
愛媛県の歌 Windows Media 2代目
高知県 高知県民の歌 1959年11月3日 高知県民の歌 MP3
福岡県 希望の光
1970年10月17日
ふくおかの歌 MP3
佐賀県 佐賀県民の歌
1974年12月11日
佐賀県民の歌 ASX 2代目
風はみらい色
1993年4月1日
風はみらい色 ASX 準県歌(イメージソング)
栄の国から
2000年8月6日
栄の国から ASX さが・ふるさとの歌
長崎県 南の風
1961年6月1日
長崎県民歌「南の風」 MP3
熊本県 熊本県民の歌 1959年11月5日
歌詞 2代目(熊本国体実行委員会制定)
大分県
大分県行進曲[10][11][12]
1935年 2004年まで『大分県民手帳』に掲載[注 3]

非公式
歌詞は著作権保護期間満了
大分県民体育の歌 1950年[12]
歌詞
体育歌
宮崎県 宮崎県民歌 1954年6月30日
宮崎県民歌 MP3 2代目
鹿児島県 鹿児島県民の歌 1948年12月16日
シンボル(県歌) 旋律は著作権保護期間満了
沖縄県 沖縄県民の歌
1972年5月15日
沖縄県民の歌 MP3


廃止された県民歌





  • 朝ぐもの(山形県) - 1947年制定、旋律は著作権保護期間満了


  • 群馬県の歌(初代) - 1936年制定、著作権保護期間満了


  • 群馬県の歌(2代目)[13] - 1951年制定、歌詞は著作権保護期間満了


  • 埼玉県民歌(旧) - 1942年制定


  • 神奈川県々歌[14] - 1931年制定、著作権保護期間満了


  • 長野県民歌 - 1947年制定


  • 山口県民歌(初代) - 1940年制定、著作権保護期間満了






  • 山口県民の歌(朝だ大気を) - 1951年制定[注 4]、旋律は著作権保護期間満了


  • 山口県民の歌(波かすむ) - 1951年制定[注 4]、旋律は著作権保護期間満了


  • 徳島県民歌(旧)[15] - 1939年制定


  • 愛媛県民の歌[16] - 1952年制定


  • 佐賀県民歌(旧) - 1936年制定、、旋律は著作権保護期間満了


  • 菊池盡忠の歌(熊本県) - 1943年制定


  • 宮崎県民歌(旧)[17] - 1934年制定、歌詞は著作権保護期間満了





都道府県以外の内地の歌


  • 樺太島歌 - 1938年制定、旋律は著作権保護期間満了


都道府県民歌を流す放送局


民放によっては、放送開始・終了時などに都道府県民歌を流す局がある。




  • 山形放送(山形県)…テレビ・オープニング後


  • 栃木放送(栃木県)…オープニング前のフィラー


  • とちぎテレビ(栃木県)…オープニング後、クロージング前


  • 群馬テレビ(群馬県)…オープニング後、クロージング前


  • 信越放送(長野県)…ラジオ・オープニング、同クロージング


  • 岐阜放送(岐阜県)…ラジオ・オープニング


  • テレビ和歌山(和歌山県)…オープニング、クロージング



過去に都道府県民歌を流していた放送局




  • 静岡放送(静岡県)…テレビ・オープニング


  • 熊本放送(熊本県)…テレビ・オープニング、同クロージング



参考文献、脚注


[ヘルプ]


  • 国民文化協会『事典 シンボルと公式制度 日本篇』(国際図書、1968年).mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    NCID BN09461711

  • 西崎嘉太郎/日本青少年音楽教育センター 監修『日本うたの地図』(しなの出版、1970年)
    NCID BN12728412

  • 藤沢優『世界の国旗・国歌総覧 付・日本都道府県別県旗県歌総集』(岩崎書店、1976年)
    NCID BN01573937

  • 中山裕一郎 監修『全国 都道府県の歌・市の歌』(東京堂出版、2012年) ISBN 978-4-490-20803-0



出典





  1. ^ 中山(2012)、30 - 32ページ。


  2. ^ 中山(2012)、25 - 29ページ。

  3. ^ ab中山(2012)、19ページ。

  4. ^ abc“布く新憲法 ゆくては明かるし…幻の兵庫県民歌”. 神戸新聞. (2015年1月1日). http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201501/0007625977.shtml 2015年1月9日閲覧。 


  5. ^ “失われた『兵庫県民歌』を求めて--1947年制定の県民歌はなぜ「存在しない」ことにされているのか?”. ガジェット通信 (東京産業新聞社). (2014年8月29日). http://getnews.jp/archives/655664 2014年9月4日閲覧。 


  6. ^ 世界の国旗・国歌総覧、447ページ。


  7. ^ 世界の国旗・国歌総覧、479ページ。

  8. ^ ab杉江松恋「富士山をめぐる仁義なき戦い。県民手帳死闘編〈広島県〜福井県編〉」 - エキレビ! 2013年1月25日


  9. ^ 【あなたの声 聞かせてください】 - NHK広島放送局 2013年2月1日


  10. ^ 杉江松恋「ゆるキャラだけが県じゃない。県民手帳は何を考えているのか〈沖縄県〜山口県編〉」 - エキレビ! 2013年1月24日


  11. ^ 日本うたの地図、141ページ。

  12. ^ ab大分県行進曲について - 大分県庁


  13. ^ シンボルと公式制度、156・158ページ。


  14. ^ 資料よもやま話1 昭和初期の二つの楽譜 「我が県の歌」神奈川県編(横浜開港資料館館報『開港のひろば』)


  15. ^ 日本うたの地図、118-119ページ。


  16. ^ シンボルと公式制度、233ページ。


  17. ^ 「県民歌」が決まるまで




注釈





  1. ^ 例規集に掲載されているが中山(2012)では完全に無視されている。


  2. ^ 2005年(平成17年)の大阪府議会における知事答弁(議事録)では府民歌の候補曲としての扱いが示唆されている。


  3. ^ 大分県統計協会が毎年発行する県民手帳では2004年(平成16年)版まで「大分のうた」欄の冒頭に掲載されていたが、現在は掲載されていない。

  4. ^ ab作詞部門の公募で2曲が入選となり、同時に制定された。




関連項目



  • 国歌

  • 国民歌

  • 市町村歌



外部リンク


  • 全国の県民歌



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