舗装
舗装(ほそう)とは、道路の耐久力を増すために、その表面を石、煉瓦、コンクリート、アスファルト、砂利などで敷き固めることである。
目次
1 概説
2 歴史
2.1 日本
3 種類
3.1 敷石舗装(石畳)
3.2 レンガ舗装
3.3 アスファルト舗装
3.3.1 舗装構成
3.3.2 補修
3.3.3 施工
3.4 コンクリート舗装
3.5 マカダム舗装(マカダム道路)
3.6 インターロッキングブロック舗装
3.7 半たわみ性(半剛性)舗装
3.8 その他の舗装
4 各国の実情
4.1 日本
5 関連項目
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 参考文献
8 関連文献
概説
舗装の役割・機能とは次のようなものである。
- 路面が雨天時に軟弱になり泥濘化[注釈 1]することや、晴天時に車両が通行することで砂塵が巻き上げられ、周囲環境が汚染されるの防止する[1]。
- 路面を平坦にし、また適切な摩擦抵抗をもたせることによって、人が歩く時、また車両で走行する時の快適性や安全性を向上させる[1]。
- 道路の耐久性を高める[1]。
舗装は設計に際して、交通荷重と自然環境の作用に対する耐久性確保に配慮する必要がある。舗装の基礎部分である路床は、その上層の加重および交通荷重に耐えられなければならない。舗装全体は、表層からの交通荷重を分散させられるように適切な構造でなければならない。その場所ごとの状況・条件、沿道環境、経済性などを考慮しながら舗装の構造を決定する必要がある。
歴史
古くて大規模で特筆に値するものとしては、古代エジプトのピラミッドの石を運ぶ道における舗装が挙げられよう。巨大な石を運ぶためにしっかりとした舗装がされた。紀元前2600年頃と推定されているが、ギザの大ピラミッドの建造では、平均数トンの重さの石が2百万個以上運ばれたので特に丈夫な舗装が行われた。
紀元前1600年頃とされるクレタ島の道では、基礎部分にモルタル(石膏と火山灰土を混合したもの)やセメントを敷き、その上に玄武岩の板石や砕石を敷き並べた。(道の両脇には排水溝も備えていた)
紀元前5世紀ころの古代メソポタミアの中心都市バビロンの「王の道」では、アスファルトが用いられた[2]。
ローマ帝国によって建設されたローマ街道では主要な街道はすべて石で舗装された[3]
(「敷石舗装[3]」、「石畳」)。驚くことにローマ街道の舗装の全構成厚は1.0–1.5 mほどもあり、現代の先進国の幹線道路などの舗装と同程度の厚さで作っていた[3]。最上層は、接合面がぴったり合うように切った 一辺70 cm程度の大石をすきまなく敷き詰めている[3]。ローマ帝国の土木技術は当時、圧倒的に優れていて、石の加工技術にも秀でていた。特に有名なアッピア街道は、現在でも車の通行にたえている[4]。
フランス国王フィリップ2世(1165–1223年)は、パリの道路を全面、石で舗装するよう指示したものの、砂岩の薄い板の舗装を選択したため壊れやすく、また費用も市民まかせにしたため工事もほとんど進まなかった。パリで本格的に石畳の道が広まったのは15世紀頃で、固い舗石を敷き並べるものであった。
ヨーロッパ各国では、石畳やレンガ舗装が普及した。
18世紀にトレサゲ(1716–1796年)が、路床面と路面を上に凸状に反らせる舗装を提案した(「トレサゲ工法」)。路床に水が浸入すると支持力が低下するので、それを防ごうと、排水を路肩に流すことに配慮したものであった。(が、この工法には問題があった。路床を上方に反らすために手を加え、意図とは逆に、かえって路床を傷めてしまうのである。)
スコットランド生れのトーマス・テルフォード(1757–1834年)によって、トレサゲ工法の欠点を解消する方法が考案された。路床は平面のままとし、頑丈な基礎によって荷重に耐えさせるという考えで、新しい断面が考案されたのである(「テルフォード工法」)。彼がカレドニア運河・多数の橋梁・道路・港湾 等々の建設にたずさわる中で1802年ころに考案されたものとされる。テルフォードによる道路舗装の開発・改良は、4輪馬車による道路交通の輸送量増加に大いに貢献した。
ほぼ同時代だが、ジョン・ラウドン・マカダム[注釈 2](1756–1835年)が、舗装の普及のために、より安価で耐久性のある構造・工法を提案した(「マカダム工法」)。
日本
日本最古の舗装は、約3500年前の縄文時代後期、新潟県村上市の元屋敷遺跡で舗装道路の遺構が発見されている[4]。この遺構では、道の両側に平たい石を置き、その間に砂利を敷き詰めたもので、規模は幅約2 m、長さは約40 mあり、主に日常生活のために造られたものではないかと推測されている[4]。江戸時代には、初期ごろに平戸や長崎で石畳舗装が造られており、1680年に箱根の山越え道に1400両あまりをかけて石畳が造られたほか、1805年の京都では、東海道の三条大橋 - 大津八丁間において、牛馬道と人馬道を分けた石畳道がつくられている[4]。
日本初のアスファルト舗装は、1878年に東京都千代田区神田の昌平橋で施工された[5]。ただし、日本に自動車が登場する1899年までは、ほぼ全ての道路は非舗装といってもよい状況であった。また、自動車の通行が見られるようになった後も、東京都心ですら幹線道路から外れた道路となれば、全て非舗装という状態であった[6]。明治後期になってようやく全国に先駆けて東京都心部の道路が舗装され始められるようになったが、現在の簡易舗装にも劣る質の悪いもので、自動車が走ると、瞬く間に舗装が損傷する程粗末な物であったという[6]。1923年の関東大震災は東京を中心に壊滅的な打撃を与えたが、これ契機に震災復興事業は国の予算で実施されることなり、国機関として設置された帝都復興院(のちに復興局)が、幹線道路の舗装を担当したことによって、東京市内の路面舗装が急速に普及し、1919年に制定された都市計画法に基づく街路事業と相まって大幅に進展した[7]。本格的な舗装道路は、1926年に東京・品川 - 横浜市神奈川区間、尼崎市 - 神戸市灘区間で施工されたものである[6]。
戦前の日本では、1931年に東京市が舗装率55 %超えを記念して道路祭を開くなど、徐々に舗装が進められていた[8][9]。しかし1960年頃までは、国内の道路のほとんどは非舗装で、幹線国道でも舗装されていない道路が多かった[1]。舗装整備が欧米諸国から大きく遅れをとった最大の原因は、移動手段のほとんどが徒歩で、馬車交通の時代がなかったからであるといわれている[6]。戦後間もない日本の道路は、戦争によって荒廃した未舗装のすれ違い困難な狭隘道路ばかりで、道路施策について建設省ではトータルコストの観点から、当初は拡幅などの改良を終えてから舗装をおこなうべきとする考え方が支配的であったが、拡幅するためには用地取得に時間がかかり現実的でなかったため、1950年代になってから舗装優先主義に切り替えた[10]。モータリゼーションが始まった1960年代後半から、ようやく日本全国で道路の舗装化が急速に進み[6]、一般道路の舗装率は、1970年(昭和45年)の統計で約15 %に過ぎなかったが、2000年(平成12年)では約76.4 %に達した[5]。
種類
敷石舗装(石畳)
古代のものではローマ街道でおこなわれた敷石舗装がよく知られている。
パリで石畳の道が広まったのは15世紀頃で、固い舗石を敷き並べるものであった。ルイ13世の時代でパリ全体のおよそ半分が石畳になっていた。
ヨーロッパの都市では車道部分がアスファルト舗装に置き換わったところが多いが、歩道は石畳にしている場合が多く、細めの街路なども石畳にしているところが多い。また、石畳のデザイン性などが再認識されるにつれ、一旦アスファルトにした車道を、改めて石畳にする場合がある。
レンガ舗装
レンガ舗装とは、煉瓦ブロックを用いた舗装である。歩道・民家・公共施設の敷地などに用いられている。
アスファルト舗装
アスファルト混合物(アスファルト合材、アスファルトコンクリート)を用いた舗装で、車道・歩道の両方に用いる。たわみ性舗装とも呼ばれ、交通荷重に対するせん断応力には抵抗できるが、曲げにはほとんど抵抗できない[11]。
アスファルト混合物の主成分はアスファルトではなく、約90 %が砂利などの骨材である。残りの約10 %が、骨材の間を埋める充填材で、アスファルトや石灰粉などのフィラーの混合物である。
長所としては
- 熱せられたアスファルト合材は、冷めればすぐに固まる性質があるため、短期間での舗装が可能で、補修や修繕などの道路舗装工事に向いている[12]。
- 走行車両の乗り心地が良く騒音・振動も小さい[注釈 3]。
短所としては
- 耐摩耗性に劣り、轍が出来やすいことから[12]、使用状況にもよるが概ね5–10年毎に舗装補修が必要になる[13]。
- アスファルトは40℃程度を超えると流動性が高まり耐久性が落ちる。
可燃物であることと約300℃以上で揮発性を持つことから、自動車火災などで引火することがある。
原油を主原料とするアスファルトはコストも安く、1平方メートルあたりの舗装単価は2006年時点で7000円程度であった。しかし、近年では原油価格の高騰に伴い上昇傾向にあり、2012年時点で9000円台になっている[13]。
一部の道路では透水性舗装として、特殊なアスファルト合材を使用する。基本的にアスファルト合材の色である黒色の舗装となるが、近年様々な色のアスファルト舗装が可能となっている。
舗装構成
アスファルト舗装は、一般的に上から表層、基層、上層路盤、下層路盤の4層からなり(但し一部寒冷地においては、下層路盤の下に凍上抑制層の5層となる)、その下を路床と呼ぶ。表層から下層路盤までが舗装にあたる。大型車の交通量が少ない路線では表層と路盤のみで構成される道路が多い。
- 表層
- 道路の表面(最上層)のことで、一層が5 cm程度のアスファルト混合物の層である。この層の役割としては、交通荷重を分散して下層に伝達するとともに、交通荷重による流動、摩耗、罅割れに抵抗し、平坦ですべりにくく、快適な走行が可能な路面を確保し、雨水が下部に浸透するのを防ぐことである。
- 基層
- 表層の一つ下層に敷設される5cm程度のアスファルト混合物の層。表層に加わる交通荷重を路盤に均一に伝達する。重車両の交通量が少ない場合は省略される。
- 路盤(上層路盤・下層路盤)
- 路盤は、上層から伝達された交通荷重をさらに分散させ路床に伝達する。
- 上層路盤
- 基層(または表層)の下層に敷設される層を指す。以下の手法がとられることが多い。
- 粒度調整工法 - 一定の粒度を持つ砕石やスラグを敷き詰める方法。材料が比較的安価に入手できることから多く用いられている。
- 安定処理工法 - 砕石や地域産材料などに歴青や消石灰、生石灰、セメントなどを加えて固化させ、支持力を高める方法。
- 下層路盤
- 上層路盤の下の層。
- 粒状路盤 - 砕石やスラグを敷き詰める方法。材料が比較的安価に入手できることから多く用いられている。
- 安定処理工法 - 現地発生材などに消石灰や生石灰、セメントなどを加えて固化させ、支持力を高める方法。
- 厳冬期における路床の凍結融解によって表層にまで影響があると憂慮される地域では、過去観測による最低気温により、凍上抑制層を含む路盤の厚みが機械的に選定される場合がある。(凍上抑制層は凍上が生じにくい層であればいいことから、下層路盤とは別に層を設け砂又は80mm級の骨材を使用することもある。)
- 路床
- 舗装の直下にあたる約1 mの部分。路床は舗装と一体になって交通荷重を支持し、路床の下部にある路体に対して交通荷重をほぼ一定に分散させる。盛土区間では良質土により十分に締め固められた層が構築され、切土区間の多くでは現地盤がそのまま用いられる。軟弱地盤では、一定の厚さの地盤を良質土で置き換えたり、セメントや石灰等による安定処理工法が施される。
補修
アスファルト舗装の硬度・耐性は、土や砂の地面に比べると各段に高いが、小さい力であっても継続して力をかけ続けられると脆く、容易に変形する特徴を持っている。舗装素材の劣化、高荷重による過度の交通、舗装構造の不備、路床や路盤の経年変化による支持力低下、軟弱地盤地など様々な要因により、以下のような現象が発生する。
- 轍(わだち)掘れ
- 走行車用のタイヤ通過位置が凹状に沈下する現象である[14]。わだち掘れの調査は一般に横断プロフィルメータの波形記録器を用いて測定される[15]。
- 路床や路盤の経年変化による支持力低下や夏季高温時の高過重負荷によるもの、積雪地でのタイヤに着けられたスパイクによる摩耗、表層基層の一体化による荷重分散不足
- 罅(ひび)割れ
- 荷重がかかる部分に起こる亀甲状の割れ目。舗装打継目も割れやすい。
- 環境負荷(夏季冬季の温度差など)による表層素材の劣化、舗装素材の不良、敷設に時間がかかり過ぎた場合や敷設時の散水等による急速冷却で起こる温度斑による素材の劣化
- 舗装表面の平坦性低下
- 道路縦断方向に凹凸が生じることであり、縦断プロフィルメータを用いて測定が行われる[16]。
- 路床や路盤の経年変化による支持力低下、軟弱地盤の沈降、夏季高温時での高過重負荷、表層基層の一体化による荷重分散不足
- ポットホール
- 罅(ひび)割れ部や排水不良により劣化の進行した舗装表面に生ずる穴。寒冷地において発生しやすく、時には基礎部分を含めて完全にアスファルトが欠損し穴を広げる事もある。
- 段差
- 構造物周辺などの地盤沈下や地震等で起こる舗装表面に起こる垂直方向のずれ。
舗装の補修には以下の種類がある
- パッチング
- ポットホール、段差、局部的な罅割れなどを舗装材料をあてて補修する工法である[17]。この工法は、補修する部分に舗装材料を直接埋め込む簡易的な方法と、不良部分を切り取りアスファルト層を修理する方法の二種類ある[18]。
- 表層処理
- 舗装表面の局部的罅割れ、変形、摩耗、崩壊などの破損があった場合にその既設の舗装に薄い封かん層を施す工法である[19]。
- オーバーレイ
- 応急的な補修では舗装面の広範な破壊を招く場合や交通量の増加で舗装厚の不足があった場合に既設の舗装の上にさらにアスファルト舗装を被せる工法である[19]。
- 打換え
- アスファルト舗装の破損が著しく、他の工法では良好な路面を保つことができない場合に実施される[19]。舗装修繕工事の中では最も費用がかかるため、その採否には十分な検討が必要である[19]。
施工
アスファルト舗装を施工する場合、少人数であったとしても、フィニッシャーマン(フィニッシャー運転)、アジャスターマン(フィニッシャーのアジャスター調整)、レイキマン 2人(フィニッシャーの施工した端の処理や最終的な合材の調整)、スコップマン2人(レイキマンの処理した合材の処理や大まかな合材調整)、ローラーマン 2人(プレートや振動ローラやコンバインドローラやタイヤローラでの転圧)が必要であり、8人から10人のチーム編成となる。
アスファルト合材の温度は150℃近辺に達するので、夏場の舗装作業時などは、熱中症対策を十分に取る必要がある。また、アスファルトフィニッシャーにてアスファルト合材を舗設する場合、時折マンホールやハンドホール(止水栓など)に合材が被さってしまい、それに気づかずに転圧し、道路開放時にはマンホール類がすっぽりと隠れてしまったという例がある。ゆえに、アスファルト合材の舗設前におけるマンホール類の位置確認は不可欠である。
コンクリート舗装
主にセメントコンクリートを用いた舗装で、歩車道を問わずに施工される。石と水とセメントを混ぜてつくられるコンクリート合材は、固まるまでに約1週間もの時間がかかるために、補修や修繕には向いておらず、基本的に道路を新設する場合に用いられる舗装工法である[12]。摩耗に強く、わだちができにくい特徴から剛性舗装ともよばれる[12]。
たわみによるひび割れ防止のため鉄筋を配する事が多く、施工期間が長くなり養生などに手間が掛かるなど敷設(打設)の難しさはあるものの、アスファルト舗装に比べてたわみに強く耐摩耗性に優れており、場合によっては50–60年も舗装し直さなくて済む例もある[13]。このため、高速道路、臨港地帯のような重車両が頻繁に通行する場所、トンネル内、急傾斜の坂道などといった舗装補修を頻繁に行う事が困難な場所に多く用いられる[5]。また、狭隘・急峻な道路でアスファルト合材の持ち込みが困難な場所に簡易的に施される事例も少なくない。
以前はアスファルトに比べ舗装コストで割高感があったが、前述の通り近年はアスファルトの舗装単価が上昇傾向にあり、これに維持費等を総合的に勘案すると、コンクリートの方が安く済む場合もある[13]。このため国土交通省は2011年9月の概算要求で、今後の道路整備においてコンクリート舗装を積極的に活用して財政支出を抑える方針を示している[注釈 4]。
コンクリート舗装は道路の継ぎ目が多いため、振動や騒音、乗り心地についてもアスファルトに比べやや劣っていたが、近年の技術改良により、継ぎ目の少ないコンクリート舗装が出始めている[13]。
セメントコンクリートの色である白色に仕上がる事が多い。最近では水溜り対策として、砕石や砂を混入し、水の透過度を上げている例もある[13]。
マカダム舗装(マカダム道路)
スコットランドの技術者ジョン・ラウドン・マカダム(1756年9月21日 – 1836年11月26日)が考案したことからこの名がある。マカダム式舗装、砕石舗装とも呼ばれる。
砕石を敷き詰めローラーで圧し固めて施工する。砕石は天然の砂利と異なり表面が荒く、圧し固めるだけでガッチリと噛み合うのでこれをもって耐久性となる。仕上がりが美しく、馬の足がかりが良いため自動車がまだそれほど普及していなかった戦前・戦中までよく用いられていた。
ほかにローラーに水をかけながら転圧する水締めマカダムや、自動車普及により問題となった塵埃対策に、目つぶし材としてタールやアスファルトなどを利用したタール・マカダム、アスファルト乳剤マカダム(アスファルトと異なり常温施工が可能)などがある。
インターロッキングブロック舗装
コンクリート二次製品のインターロッキングブロックによる舗装。 歩道用、車道用がある。
ブロック相互を噛み合わせることにより段差の発生を防ぐユニバーサルデザイン対応のものもある。
半たわみ性(半剛性)舗装
空隙の多い開粒度アスファルト混合物による舗装を行った後、その空隙に特殊なセメントミルクを浸透させたもの。アスファルト舗装とコンクリート舗装の両者の長所を活用した舗装である。
使用箇所はコンクリート舗装とほぼ同様で、バス停や交差点流入部・トンネルの舗装補修などにおいて利用される。
その他の舗装
- タイル舗装
- 歩道、マンションの通路、階段などに用いる。タイルそのものに厚みがないため、そのほとんどが車道には適しない。
- 張石舗装
- 天然石を加工し、平板状にしたものを路面に並べる。歩車道を問わないが、走行性があまりよくないため現在では車道に用いられるケースは少ない。
- 土系舗装
- 天然の土や砂と、それらの粒子を結合する結合剤との混合物により構成される舗装。
- 木質舗装
木材やウッドチップなどによる舗装。遊歩道などの歩道に用いられる。- 珊瑚舗装
- 珊瑚の破片による舗装。戦時中小笠原諸島で行われた簡易舗装である。珊瑚は上をトラックなどが通ることにより粉砕されて自然に踏み固められてゆくので単にばら撒くだけで施工は完了する。小笠原諸島父島の旧軍道で見られる。
各国の実情
現代の舗装道路は、モータリゼーションに対応したものである。かつて道路は歩行者あるいは軽車両が通行するだけの機能があれば十分とされており、故に路面の耐久性はさほど重視されてはいなかった。しかし、世界的なモータリゼーションの拡大に伴い、凹凸の激しい未舗装道路は、自動車通行に向かないこともあって、道路の機能として車両の走行性をより重要視する傾向に向かっていることから、道路における未舗装道路の割合は世界的に減少傾向となっている。
このため開発途上国でも、都市間や国を結ぶ幹線道路や、都市内部の道路を中心に舗装されている場合が多い。ただし、舗装した道路は維持するための多額の費用が必要であり、後発開発途上国においては財源を捻出できず修繕が十分でない場合も多い。修繕が行われないため路面状態が悪くなり凹凸が激しいことから通行中のパンクなどは後を絶たない。
一方では、近年になってアメリカ合衆国の複数の州では経済状態の悪化による税収不足から、損傷した舗装道路を再舗装せず砂利道に戻すことが行なわれており、ミシガン州では州内20以上の郡において過去3年で約50マイルが未舗装道路へと戻っている[20]。これは1マイルあたりの再舗装には10万ドル以上を要するのに対して、砂利道に戻すのには約1万ドルしかかからないためだという。
日本
日本では、耐久年数20年前後を目安とした本舗装と、表層の厚さが3–4 cmの簡易舗装の二つに区分されており、本舗装は主に国道や都市部の幹線道路に、また簡易舗装は末端の生活道路で建設されている[21]。
日本における道路の舗装率は国道、都道府県道で簡易舗装を含めると約97 %であるが、すべての道路の割合として見た場合の舗装率は約76%となっている[いつ?][要出典]。また都道府県道や市町村道においては簡易舗装の割合が多い[22]。また道路として快適な走行性が求められないような作業用道路(林道や農道など)においては公道、私道においてもコスト面から未舗装としているところも多い。
日本国内の舗装率には地域差があり、全体的にみて東日本よりも西日本の方が舗装率が高いというデータ結果も出ている[23]。国土交通省が発行する道路統計年報2012年によれば、簡易舗装も含めた舗装率90 %以上の都道府県は、東日本が神奈川県だけであるのに対して、西日本は滋賀県・大阪府・鳥取県・広島県・山口県・香川県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県の10府県におよび、特に佐賀県では96.5 %と日本一の舗装率を誇る[23]。また反対に80 %未満の都道府県は、東日本が北海道・岩手県・秋田県・茨城県など11道県あるのに対して、西日本には該当する府県はない[23]。
- 日本での法規
国や県、市町村などの公共機関が発注する公共工事の場合は、工事を進める上で使用する材料の基準試験、品質管理や出来型管理の基準がそれぞれ定められており、施工業者はこれに従い工事を進めていく必要がある。
関連項目
工事
- 舗装工事
- 透水性舗装
- 土系舗装
- ターマック
- 石畳
- 段差舗装
- 未舗装 (ダート)
脚注
注釈
^ 泥になってしまうこと。
^ あるいは「ジョン・ラウダン・マカダム」「ジョン・ロウドン・マカダム」とも。
^ 国土交通省によれば、日本の約95 %の道路がアスファルト舗装である。
^ 2012年に一部開通予定の新東名高速道路では、開通区間約160 kmのうち、70%弱にあたる110 kmがコンクリート舗装となる。
出典
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参考文献
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ISBN 978-4-534-05318-3。 - 武部健一 『道路の日本史』 中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日。
ISBN 978-4-12-102321-6。 - ロム・インターナショナル(編) 『道路地図 びっくり!博学知識』 河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。
ISBN 4-309-49566-4。
関連文献
- 舗装設計施工指針 日本道路協会
- 舗装施工便覧 日本道路協会