海上自衛隊


























































日本の旗 日本の行政官庁
海上自衛隊
かいじょうじえいたい
Japan Maritime Self-Defense Force


Naval Ensign of Japan.svg

JMSDF Self Defense Fleet HQ.JPG

自衛艦隊司令部

役職
海上幕僚長
村川豊
海上幕僚副長
山村浩
組織
上部機関
防衛省
内部組織
自衛艦隊
横須賀地方隊
呉地方隊
佐世保地方隊
舞鶴地方隊
大湊地方隊
自衛艦隊
護衛艦隊
航空集団
潜水艦隊
掃海隊群
概要
所在地
162-8801
東京都新宿区市谷本村町5番1号
定員
海上自衛官4万5,364人
2017年(平成29年)3月31日時点
年間予算
予算1兆2,116億円
2017年度(平成29年度)
設置
1954年(昭和29年)7月1日
前身
大日本帝国海軍-海上警備隊-警備隊
ウェブサイト

防衛省 [JMSDF] 海上自衛隊
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軍艦行進曲


1937 recording of the Imperial Japanese Navy Band playing the Gunkan kōshinkyoku軍艦行進曲Warship March.




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海上自衛隊(かいじょうじえいたい)は日本の自衛隊のうちの海上部門にあたる組織である[1]


また、官公庁の一つであり、防衛省の特別の機関[2]の集合体である。


略称海自(かいじ)[3][4]、公式の英称は Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF)[5]であるが、無線で呼びかける際にはJapan Navyを名乗ることもある[6]。また他国からも Japanese Navy(日本海軍の意)に相当する語で表現されることがある[7]




目次






  • 1 概要


  • 2 規模と能力


    • 2.1 任務




  • 3 国内外の組織との関係


    • 3.1 海上保安庁との関係


    • 3.2 日米同盟


      • 3.2.1 アメリカ海軍との共同訓練




    • 3.3 国際協力


      • 3.3.1 海外派遣


      • 3.3.2 防衛交流






  • 4 主要な部隊・機関


    • 4.1 部隊


    • 4.2 機関


    • 4.3 自衛隊病院




  • 5 人員及び教育


    • 5.1 留学生受入




  • 6 隊員の主な職域


    • 6.1 攻撃要員


    • 6.2 航海・船務科要員


    • 6.3 機関科要員


    • 6.4 航空要員


    • 6.5 経理・補給・衛生要員


    • 6.6 その他陸上要員等


    • 6.7 女性自衛官の職域




  • 7 特色・伝統・文化


    • 7.1 歴史


    • 7.2 気風


    • 7.3 航空隊


    • 7.4 陸上戦力


    • 7.5 音楽


    • 7.6 旧海軍の技術・伝統の承継




  • 8 その他


  • 9 画像


    • 9.1 海上自衛官


    • 9.2 装備




  • 10 脚注


  • 11 参考文献


  • 12 関連項目


  • 13 外部リンク





概要


海上幕僚監部並びに統合幕僚長および海上幕僚長の監督を受ける部隊および機関からなる[5]。海上幕僚長は最上級者として海上幕僚監部を統括する。各部隊および各機関は防衛省の特別の機関である。他国からは海軍とみなされている[8]


日本の領海など日本列島周辺海域において主に活動する。日本の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し日本を防衛することを主たる任務とする。必要に応じ、公共の秩序の維持に当る(平時における警察活動は後述するように海上保安庁が担当する)[9]



規模と能力


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左からDD-155「はまぎり」、DD-154「あまぎり」、DD-122「はつゆき」




定期修繕中のMST-463うらが・横浜市鶴見区




2017年(平成29年)3月31日時点、主たる戦力として護衛艦46隻(合計排水量約22万5,000トン)、通常動力型潜水艦17隻(約5万,000トン)、機雷戦艦艇25隻(約2万6,000トン)、哨戒艦艇6隻(約1,000トン)、輸送艦艇11隻(約2万8,000トン)、補助艦艇29隻(約12万5,000トン)[10]、航空機は、固定翼哨戒機73機(P-1 11機、P-3C 62機)[11]、電子戦データ収集機(EP-3 5機)[12]、画像データ収集機(OP-3C 5機)、哨戒ヘリコプター87機(SH-60J 35機、SH-60K 52機)、掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101 10機)等を保有する。人員は、定員45,364人(現員42,136人 充足率92.9%)である[13]


平成30年度(2018度)の予算額は約1兆1433億円[14]基地の数は約31である[15]


海上自衛隊の中核となる自衛艦隊は、艦艇約100隻、航空機約230機を擁する。これらの部隊は主として隷下の「護衛艦隊」「航空集団」「潜水艦隊」に所属している。また、「掃海隊群」「情報業務群」「海洋業務・対潜支援群」「開発隊群」等の各種隷下部隊を有している[16]


護衛艦隊は、護衛艦8隻により編成される護衛隊群4個を主力とし、それに加え沿海防衛用として配備されている5個護衛隊及びそれらを支援する部隊により編成されている。これらの艦艇は大湊基地(青森県)、横須賀基地(神奈川県)、舞鶴基地(京都府)、呉基地(広島県)、佐世保基地(長崎県)の5基地に配備されている[12]


潜水艦隊は、2個潜水隊群からなり、呉基地と横須賀基地の2基地に配備されている[12]。潜水艦の行動は秘密性が高く、作戦行動中は戦争抑止力としても活動している。また、海上自衛隊の対潜戦の訓練目標としても行動している。


掃海隊群は、機雷掃海を任務とする。太平洋戦争(大東亜戦争)において日本周辺に日米両軍が敷設した機雷や、不発弾(爆弾・砲弾)を戦後に多数処理して、航路啓開と船舶・人命の被害防止に努め、経験・技術の蓄積を得ている。掃海部隊が海上保安庁所属だった朝鮮戦争時には日本特別掃海隊として派遣され、湾岸戦争後のペルシャ湾掃海とともに、アメリカ合衆国関係者からその力量を称えられた[17]。また、掃海艇部隊は掃海隊群以外にも各地方隊隷下に配備され、海中や海岸で発見さ
れる太平洋戦争や朝鮮戦争時に漂着・沈底した機雷や不発弾の処理を行っている。なお、掃海隊群は2016年(平成28年)7月から水陸両用作戦支援の任務も付与されている。


航空集団は、航空自衛隊とは個別に運用されている。主に哨戒機により広大な日本周辺海域を哨戒しており、諸外国の潜水艦、艦艇の領海侵犯、排他的経済水域における日本国の主権の侵害行為に対して、護衛艦などと共に常時警戒体制を敷いている[18]。固定翼哨戒機部隊として4個航空群が編成されており、厚木航空基地(神奈川県)、八戸航空基地(青森県)、鹿屋航空基地(鹿児島県)、那覇航空基地(沖縄県)に配備されている[12]。また、回転翼哨戒機(ヘリコプター)部隊は2個航空群が館山航空基地(千葉県)、大村航空基地(長崎県)に配備されており、護衛艦艦載ヘリコプター部隊として活動している。捜索救難に従事する部隊としては飛行艇を岩国航空基地に、救難ヘリコプター部隊を各地に配備している。そのほか、航空掃海ヘリコプターや輸送機の部隊も属している。 


冷戦終結以前は、太平洋戦争の教訓により、敵対勢力からの通商破壊活動に対して脆弱な海洋国家日本の弱点を補完するため、対潜戦と対機雷戦の戦術能力の向上を目指していた。対潜戦の能力はアメリカに次ぐ世界第2位の規模と能力を持っており、また、活動面積に対する対機雷戦能力は世界最高水準にあるとされる。


海上自衛隊はその特徴の一つに航空海軍としての一面がある[19]。艦載ヘリコプターと固定翼哨戒機からなる航空集団は航空部隊の中核となっており、自衛艦隊内におけるその人員比は航空集団が護衛艦隊に対し、常に過半数となる規模である。海上自衛隊は多数のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)を保有し、ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦は外国のヘリコプター空母と同様な外見の全通甲板を持つ。このように航空部隊が水上艦隊に対して優越した構成は、多数の空母と強襲揚陸艦を有するアメリカ海軍と海上自衛隊だけに見られる特色である[20][21]


1998年(平成10年)の北朝鮮によるテポドン1号打ち上げを受け始まった日米共同研究を経て、弾道ミサイル防衛(BMD)システムを導入した[22]。日本の採用した多層防衛システムのうち、海上自衛隊はイージスシステムを装備するイージス艦にBMD対応能力を付加し、RIM-161スタンダード・ミサイル3(SM-3)射程1200kmを利用するイージス弾道ミサイル防衛システムを導入している。



任務


海上自衛隊では、哨戒機、護衛艦、潜水艦を駆使して、年間24時間体制で、日本周辺海域の哨戒(パトロール)任務を実施している[5]。哨戒任務で確認した目標は、統合幕僚監部が毎日公表[3]している。哨戒範囲は排他的経済水域と防空識別圏を勘案して、海上自衛隊で独自に定めており、大湊基地、横須賀基地、佐世保基地、呉基地、舞鶴基地で区域を分担している。哨戒任務での捜索、監視の対象目標となるものは、他国の潜水艦や艦艇、海上プラント(石油プラットフォームなど)等である。不審な艦艇等の目標を探知したならば、哨戒機をスクランブル発進させ、また、艦艇を緊急出港し、継続的な監視体制に移行する。哨戒任務中も数々の訓練想定が隊員に付与されており、哨戒任務中の隊員は訓練と並行して、実目標の探知識別を行っている。哨戒任務で探知した情報は『世界の艦船』『朝雲新聞』『海上自衛新聞』などで公表されており、ロシア、中国の情報収集艦および海洋調査船に対する監視任務は、ほぼ年間を通じて常続的に実施されている。日本周辺のチョークポイント(間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡、南西諸島の宮古海峡、バシー海峡など)を通峡する諸外国の艦艇に対しては、特に厳重な監視体制を敷いている。通過した艦艇の種類や艦隊の規模によっては、報道機関や国民に対して公表することもある[23]


海上自衛隊は自衛隊単独あるいは同盟国・友好国の海軍と共同で、軍事演習を行う。時には、日本から遥かに離れた遠洋で行うこともある[24]


日本周辺海域で行われる近隣諸国の軍事演習に対しては、海上自衛隊に継続的な監視任務が指令される。この場合、航空会社に対しては、国土交通省から「NOTAM」が出され、民間船舶に対しては、海上保安庁から「航行警報」が出される。監視任務中の海自艦艇と航空機は、不測の事態に備えて高レベルの戦闘配備が下令されているといわれる。


2次的な対象目標として、不審船や遭難船舶の捜索を海上保安庁と協力して行う。軍事的目標ではない不審船舶であれば、第一義的には海上保安庁の担当となるが、海上保安庁の対処能力を超える場合は海上警備行動が発令され、海上自衛隊が対処することとなる[25]


震度5弱以上の地震や大規模災害が発生したならば、哨戒機が緊急発進する。津波に対する長大な海岸線の警戒監視任務では、日本国内でもっとも有効なユニットである。


救難飛行隊はUS-2、US-1、UH-60Jを使用して、患者輸送や海難事故の救難のための災害派遣に従事している。


2009年(平成21年)4月以降、ソマリア沖の海賊対策において、航行する日本の商船の護衛任務を行っている。派遣当初は海上警備行動及び警察官職務執行法を準用していたが、同年7月24日以降海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に切り替えて活動を継続している。



国内外の組織との関係



海上保安庁との関係





日本の排他的経済水域

  日本単独のEEZ



  韓国との共同開発区域



  周辺国との係争区域



海上保安庁は海上の安全および、治安の確保を図ることを任務とする国土交通省(旧運輸省)の機関(外局)であり、主に海難救助、交通安全、防災及び環境保全、治安維持が任務の内訳となるが、それ以外にも海洋権益(領海警備や海洋調査)も任務としている。一方、国外の艦艇に対応する任務は行政上別系統である防衛省の特別の機関である海上自衛隊が担当しており、船舶に対する任務を海上保安庁が担う[26]。海上自衛隊は防衛大臣による海上警備行動の発令によって初めて洋上の警備行動が取れる[27]


海上保安庁は第二次世界大戦敗戦後、高等商船学校出身の旧海軍予備士官が中心となり、1948年(昭和23年)5月設立された。これに対し、海上自衛隊の前身・海上警備隊は海軍兵学校を卒業した旧海軍の正規士官(海軍将校)が中心となり海上保安庁内に1952年(昭和27年)4月に設置された。


高等商船学校生は卒業時に海軍予備少尉又は海軍予備機関少尉に任官され、戦時に召集されると海防艦の艦長、特設艦艇の艦長・艇長、あるいはそれらの艦艇の機関長等として船団護衛、沿岸警備の第一線で活躍したほか、乗り組んでいた商船が船ごと軍に徴用されて危険海域の物資・兵員輸送業務に従事するなど、予備士官といえども海軍兵学校出身の正規士官に負けない働きをした。
しかし、優秀なエキスパートであっても予備士官は将校とはされず、有事の際には指揮権継承の優先権を軍令承行令に基いて、将校たる正規士官より下位とされた。


太平洋戦争(大東亜戦争)では高等商船学校出身者の戦死率が海軍兵学校出身者よりも高く、これが後に至るまで海上保安庁(高等商船学校出身者)と海上自衛隊(海軍兵学校出身者)の関係に禍根を残した。


1999年(平成11年)に能登半島沖不審船事件が発生し、事態が海上保安庁の能力を超えているとして海上自衛隊に初の海上警備行動が発動された。この時の反省を受け事件後に、海上保安庁と海上自衛隊との間で不審船対策についての「共同対処マニュアル」が策定され、長らく続いてきた両者間の疎遠な関係を改善する切っ掛けとなり、情報連絡体制の強化や両機関合同の訓練が行われるようになった。同時に海上警備行動発令下のROE(行動基準)、とりわけ武器の使用に関する隊員教育が行われるようになっている。海上警備行動は、「海上自衛官の制服を着た海上保安官」としての行動であり、警察官職務執行法に準じた行動が求められるためである。


ただし、自衛隊法第80条には、「内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」(第1項)、「内閣総理大臣は、前項の規定により海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れた場合には、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させるものとする。」(第2項)との規定があり、有事の際には海上保安庁の指揮権を一時的に防衛大臣に委ねることができる旨を定めている。


しかし、自衛隊法第80条に基づく海上自衛隊艦艇と海上保安庁船舶の統一運用は、指揮命令系統がまったく別であること、これを調整する諸規定が定められていないこと、船名艦名で同一のものが少なからず存在すること等から、不十分な状態にある。


また、海上保安庁法第25条は「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と海上保安庁を非軍事組織として強く定義している。この点が、準軍事組織であるコーストガード(アメリカ沿岸警備隊など)との大きな違いである。


海上保安庁では固定翼の練習機を配備していないため、操縦士の初等教育は海上自衛隊に委託されている。



日米同盟





アラビア海で米巡洋艦アンツィオに洋上補給中の「ましゅう(AOE-425)」(左)





ひゅうが (護衛艦)(前) ジョージ・ワシントン (空母)(後)


1960年(昭和35年)、国内での多くの反対を受けつつも成立した日米安保(新安保)体制は、成立後冷戦下におけるソ連の脅威に対して抑止力として機能し、同国の崩壊により結果として冷戦は日米を含む資本主義(自由民主主義)陣営の勝利に終わった。この間、日米両国は、1978年(昭和53年)、日本有事を想定したガイドラインを制定。冷戦後においても、湾岸戦争に引き続く、ペルシャ湾への掃海部隊の派遣、新ガイドライン、周辺事態法、平和安全法制等、日米同盟関係は段階的に発展を続けている。


海上自衛隊も、日本国憲法第9条との整合性という問題を抱えつつも、対潜水艦作戦、常続的監視、弾道ミサイル防衛能力等を生かし、また、統合運用による進展も経て、北朝鮮のミサイル対処など、日本の周辺地域で想定される有事に、限定的ながらも日米相互に補完する態勢を構築してきた。1996年(平成8年)の共同声明では同盟の意義を「アジア太平洋地域の平和と繁栄」と再定義をして現在に至っている[28]


また、2001年(平成13年)9月11日の米国同時多発テロ以降、日本はこれまでの国際環境の変化に応じて、自衛隊インド洋派遣、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣等、国際貢献に対して積極的な取り組みを実施している。日米同盟はこれらの国際的活動においても、日本の外交的側面、または自衛隊活動の運用、情報、ロジスティック面等について活動を支えている。今日の日米同盟は、このように「日本の防衛」「地域の安定」「国際社会における外交・安全保障施策の基盤」という、主に3つの側面においてその機能を有する。



アメリカ海軍との共同訓練


太平洋戦争において、大日本帝国海軍はアメリカ海軍との激戦でほぼ壊滅し、組織としても解体された。戦後は機雷処理と東西冷戦の激化により、日本はアメリカを主体とする連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の理解を得て、アメリカ海軍から艦艇を貸与・供与されて(タコマ級フリゲート→くす型護衛艦など)、海自の前身である海上警備隊、警備隊 (保安庁)を設置した。以降、海上自衛隊とアメリカ海軍とは良好な関係にあり、陸自・空自と比較して、自衛隊の3軍種の中でも極めて日米の相互運用性が高い。日米共同の対潜特別訓練は1958年(昭和33年)に始まった。また、米国派遣訓練は1963年(昭和38年)に潜水艦派遣が行われたのが最初である。さらに、1980年(昭和55年)以降は環太平洋合同演習にも参加している。



国際協力



海外派遣


湾岸戦争後の自衛隊ペルシャ湾派遣に始まり、自然災害やPKO派遣等による海外派遣の輸送の要として活動している。米軍のアフガニスタン攻撃の際は、海上での米軍支援のためインド洋に自衛隊の大型補給艦を派遣した(自衛隊インド洋派遣参照)


また、2009年(平成21年)より、ソマリア沖アデン湾にてジブチ共和国を活動拠点としたソマリア沖の海賊対処活動 (ソマリア沖海賊の対策部隊派遣参照)を実施している。



防衛交流







トラファルガーの海戦200周年で観閲するエリザベス2世英国女王に敬礼するDD-153「ゆうぎり」の隊員




トラファルガーの海戦200周年で観閲するエリザベス2世英国女王に敬礼するTV-3508「かしま」の隊員



海上自衛隊は、各国海軍との防衛交流を積極的に推進している。


1980年(昭和55年)以降は、米海軍主催でハワイ付近で実施されている多国軍事演習である環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加している。


海上自衛隊が日本海域で実施する観艦式に合わせて外国艦艇が来航するほか[29]、外国の観艦式に艦艇を派遣する。ロシア海軍300周年記念観艦式に参加するため、1996年(平成8年)7月には71年振りに海上自衛隊の艦船がウラジオストク港へ派遣された。また、これに対して、ロシア側も1997年(平成9年)6月に103年振りにロシア軍艦「ウラジーミル・ビノグラードフ」が東京港に来航した。


2006年(平成18年)10月3日から5日まで、第6回アジア太平洋潜水艦会議(APSC2006)を初めて海上自衛隊が主催した。この会議には、日、豪、加、中、コロンビア、仏、印、インドネシア、マレーシア、パキスタン、韓、露、シンガポール、タイ、英、米の16ヶ国海軍が参加した。同会議は2001年(平成13年)から毎年開催されている。


こうした交流は政治問題の影響を受けることもある。韓国は2018年10月11日に済州島沖で予定する観艦式に招待した海上自衛隊に、自衛艦旗(旭日旗)を降ろすよう要求。防衛省はこれを拒否して、10月5日に参加中止を発表した[30]



  • 諸外国海軍との共同訓練の開始時期などは自衛隊#防衛交流を参照。

  • 遠洋練習航海による交流は練習艦隊を参照。




主要な部隊・機関




John M. Richardson (admiral),Philip Jones (Royal Navy officer),武居智久第32代海上幕僚長





赤星慶治第29代海上幕僚長(中央)




海将旗




海上自衛隊の各地方隊の担当地域




艦の前で整列する海上自衛官たち


全般を統括する海上幕僚監部のもと、以下の主な部隊・機関がある[12]



部隊




  • 自衛艦隊(横須賀)


    • 護衛艦隊(横須賀)


    • 航空集団(厚木)


    • 潜水艦隊(横須賀)


    • 掃海隊群(横須賀)


    • 情報業務群(横須賀)


    • 海洋業務・対潜支援群(横須賀)


    • 開発隊群(横須賀)


    • 特別警備隊(江田島)




  • 横須賀地方隊(横須賀)

    • 父島基地分遣隊(小笠原諸島父島)



  • 呉地方隊(呉)


    • 阪神基地隊(神戸)


    • 由良基地分遣隊(由良)


    • 佐伯基地分遣隊(佐伯)




  • 佐世保地方隊(佐世保)


    • 下関基地隊(下関)


    • 沖縄基地隊(うるま)


    • 奄美基地分遣隊(瀬戸内)


    • 対馬防備隊(対馬)




  • 舞鶴地方隊(舞鶴)

    • 新潟基地分遣隊(新潟)



  • 大湊地方隊(むつ市)


    • 函館基地隊(函館)


    • 余市防備隊(余市)


    • 稚内基地分遣隊(稚内)




  • 教育航空集団(下総航空基地)


  • 練習艦隊(呉)


  • システム通信隊群(市ヶ谷)


  • 海上自衛隊警務隊(市ヶ谷)


  • 海上自衛隊潜水医学実験隊(横須賀)


  • 印刷補給隊(市ヶ谷)


  • 海上自衛隊東京業務隊(市ヶ谷)


  • 東京音楽隊(上用賀)



機関




  • 海上自衛隊幹部学校(目黒)


  • 海上自衛隊幹部候補生学校(江田島)


  • 海上自衛隊第1術科学校(江田島)(攻撃、船務要員養成)


  • 海上自衛隊第2術科学校(横須賀)(機関科要員養成)


  • 海上自衛隊第3術科学校(下総航空基地)(航空要員養成)


  • 海上自衛隊第4術科学校(舞鶴)(経理補給要員、事務官養成)


  • 海上自衛隊補給本部(十条)


    • 海上自衛隊艦船補給処(横須賀)


    • 海上自衛隊航空補給処(木更津)
      • 下総支処(下総航空基地)






自衛隊病院


海上幕僚長の指揮監督を受ける自衛隊病院



  • 自衛隊大湊病院(大湊)

  • 自衛隊横須賀病院(横須賀)

  • 自衛隊舞鶴病院(舞鶴)

  • 自衛隊呉病院(呉)

  • 自衛隊佐世保病院(佐世保)



人員及び教育


海上自衛隊は、陸空自衛隊と同じ階級制を用いており、陸空とは階級名に「海」が入ることだけが異なる。最下級は2等海士であり、最高位の海将まで16階級となっている。また、階級章は陸空がほぼ同等の形状であるのに対し、特に幹部においては袖章が基本となっている等、全く別の系統となっている[31]


人員は、海上警備隊の定員が約6,000名であった[32]のに対し、逐次増員され、2017年時点で定員45,364名、充足率92.9%となっている[33]


幹部教育については、防衛大学校及び幹部学校を中心に行われている。また航空学生制度により操縦士と戦術航空士の独自養成を行っている。



留学生受入


平成23年度時点、幹部学校等にタイ王国、シンガポール、オーストラリア、韓国各1名、インド2名の全6名を受け入れている。



隊員の主な職域




海上自衛隊の各服装。左から、海曹(2人)、海士(2人)の通常礼装夏服、航空服装、立入検査服装、消防服装、艦艇戦闘服装、消防服装(火炎防護衣)、航空整備服装(航空誘導服)


海上自衛隊では、特技(特定技能)の制度がある。これらの術科教育は術科学校等で行われる。



攻撃要員



  • 運用員 - ボースンともよばれ、甲板作業全般を担当する。

  • 射撃員 - 速射砲、揚弾機、ミサイル発射装置等の整備を担当する。

  • 射撃管制員 - 射撃指揮装置の操作と整備を行なう。

  • 魚雷員 - 魚雷および魚雷発射管、曳航具等の操作と整備を行なう。

  • 水測員 - ソナー及び関連機器の操作と整備を行なう。

  • 掃海機雷員 - 掃海艦艇などで掃海具等を取り扱い、機雷の敷設・除去作業などを行う。



航海・船務科要員



  • 航海員 - 艦が航行する際に必要な海図の選定及び作成や、操舵、旗流・手旗・発光などの視覚による通信なども担う。

  • 気象海洋員 - 気象・海洋観測、天気図などの作成、気象・海洋関係の情報の伝達などを行う。


  • 電測員 - CICでレーダーやESMの操作を行なう。

  • 電子整備員 - レーダーや通信装置などの整備を行なう。略号ET:electronics technician

  • 通信員 - 暗号通信の解読、隊内電報の接受、基地内通信システムの構築、整備などを行う。



機関科要員



  • 機械員 - 蒸気員(ボイラー員・汽機員)、ガスタービン員、ディーゼル員などに分類され、機関の操作、整備などの業務を行うほか、応急班員として機関室等の浸水・火災対処も担う。

  • 電機員 - 発電機の保守管理及び電機機器全般の整備を担当する。蛍光灯や電池までも受け持っている。

  • 応急工作員 - ダメージコントロールとよばれ、攻撃を受けた際の艦体の被害極限を担当しており、応急班員の分掌指揮を行うほか、工作作業(金属加工・木工加工・溶接作業など)や真水の管理も担っている。

  • 艦上救難員 - 艦上での航空機運用時における事故対処を主任務とする。基地勤務時は地上救難員とよばれる。選抜により、航空士として搭乗員配置がある。



航空要員




  • 操縦士 - 航空機の操縦を行なう。


  • 戦術航空士 - 固定翼哨戒機に搭乗し、戦術全般の指揮統制を行なう。


  • 航空士 - 海航空機に搭乗する飛行要員。主に一般隊員(海曹士)から選抜される。


  • 航空管制員 - 航空機の離着陸などに関する業務を行う。陸上基地のほか、ヘリ搭載艦での配置もある。

  • 航空機整備員 - 航空機体整備員 航空発動機整備員 航空電機計器整備員 航空電子整備員 航空武器整備員を指す。選抜により、航空士として搭乗員配置がある。

  • 航空基地要員 - 消防、警備など航空基地を運用する任務を行なう。



経理・補給・衛生要員



  • 経理員 - 任務において必要な経費などに関する業務を行う。

  • 補給員 - 部隊において必要な補給物品の請求・管理に関する業務を行う。

  • 衛生員 - 准看護師、救急救命士などの資格を持ち、部隊における隊員の健康管理・怪我等の応急処置等を行うほか、救難機の機上救護員としての勤務もある。

  • 給養員 - 部隊の隊員に対し給食を行う。栄養士、調理師免許も取得可能。



その他陸上要員等



  • 施設員 - 主に各基地設備の維持管理を行なう。滑走路の応急修理や除雪作業を専門的に請け負う機動施設隊も存在する。

  • 情報員 - 情報資料の収集、処理及び情報の配布、秘密保全、映像技術及び関連器材整備などに関する業務を行う。

  • 潜水員 - 職種には関係なくクーバ課程を修業したものには潜水の副特技(サブマーク)が付与される。潜水士免許取得も可能である。

  • 警備員 - 各地方隊の警備隊の陸警隊に所属する隊員を対象とした副特技。教育隊等の陸上警備教育を担当する教官も取得している。

  • 特別警備員 - 主に特別警備隊員が取得する。副特技だが、近年では主特技として持つ者もいる。

  • 体育員 - 教育隊や術科学校などで隊員の体育指導に当たる。副特技。

  • 車両員 - 各基地業務隊などの車両科に所属し、主に車両(トラック・大中型バス)による部隊間の輸送を行う。副特技だが、近年のアウトソーシング化により民間人の起用が増え、今後は徐々に消えていくものと思われる。


  • 音楽員 - 部隊の士気高揚や儀式・式典、および広報のために音楽の演奏を行う。資格は吹奏楽の技能を持つ者に限られていたが、近年ではピアノ奏者を技術海曹として受け入れる[34]など、多様化が進んでいる。


  • 警務員 - 部内の秩序を維持するための犯罪捜査、被疑者の逮捕等の司法警察業務を行う。


これらを含めて約50種類ある。



女性自衛官の職域



  • 2016年(平成28年)3月時点、潜水艦を除く全ての職域に勤務できる[35]

  • なお、2018年(平成30年)8月末、防衛省が潜水艦乗組員への女性自衛官の起用を検討し始めたと報道された[36]



特色・伝統・文化



歴史








海軍省の庁舎





警備隊の艦船





自衛艦旗(訓練支援艦ATS-4203「てんりゅう」)



1945年(昭和20年)9月2日の第二次世界大戦における日本の降伏に伴って、陸海軍(日本軍)は武装解除・解体された。終戦直後より海軍大臣米内光政は解体される海軍の再建を軍務局長保科善四郎に託していた。海軍省内の終戦処理の会議の中で海軍再建の意見が出され、翌年1月には再建研究を行うことを申し合わせる。その中には軍務局第三課長だった吉田英三もいた[37]


旧海軍においては、軍令部門である軍令部は解体され、軍政部門である海軍省も復員・航路啓開などの一部業務を引き継いだ第二復員省に縮小改編された。さらに復員の進展に伴って、翌1946年(昭和21年)には第一復員省(陸軍省)と統合され、内閣の外局たる復員庁、のちには厚生省の一部局(第二復員局)となった。


一方、第二次世界大戦中に敷設された日米両軍の機雷に対する航路啓開の必要から、非武装化された日本政府においても、旧海軍から引き継がれた掃海部隊がその任にあたっていた。その後、旧海軍の消滅に伴う洋上治安の悪化が深刻化した[32]ことから、1946年(昭和21年)には旧海軍由来の掃海部隊も取り込む形で、運輸省傘下の法執行機関として海上保安庁が設置された。ただし創設当時は、武装した海上保安機構に対する極東委員会での反発を考慮したGHQ民政局の指示を受け、巡視船が軍事用ではないと明示するため、排水量・武装・速力に厳しい制限が課されていた[38]


1948年(昭和23年)1月から厚生省の所管となった第二復員局で吉田英三ら3人は密かに軍備再建の研究にあたる。1950年(昭和25年)10月、アメリカ極東海軍よりフリゲート(PF)貸与に関する非公式の打診を受けて、野村吉三郎(元海軍大将、元外務大臣、元駐米大使)・保科善四郎および第二復員局の吉田ら元海軍軍人を中心に、海軍再興の研究は本格化する。しかし、日本政府要人からは海軍再建の良い反応は得られなかったため[39]、研究グループの交渉対象はアメリカ政府に移っていった。野村はその立場を生かしアーレイ・バーク米海軍少将らと信頼関係を築いていった[40]


1951年(昭和26年)1月の講和全権大使ジョン・フォスター・ダレス来日を機に、同年2月頃から研究グループ・野村・バーグ・GHQらによる海軍再建の話合いが進むようになる。日本政府や米国務省にも交渉の経緯は伝えられた。同年4月には研究グループによって新海軍の母体組織の制度的枠組みを示した特殊研究資料が作られる。この資料はY委員会における海上警備隊創設の基礎案となった[41][40]


1951年(昭和26年)10月19日、吉田茂内閣総理大臣と連合国軍最高司令官(SCAP)マシュー・リッジウェイ大将の会談において、フリゲート(PF)18隻、上陸支援艇(LSSL)50隻を貸与するとの提案が正式になされ、吉田首相はこれをその場で承諾した。そしてこれらの船艇受入れと運用体制確立のため、内閣直属の秘密組織としてY委員会が設置されて検討にあたった。Y委員会の委員は旧海軍軍人と海上保安庁職員より選任されており[32]、また、アメリカ側とも密に連携していた。Y委員会での検討の結果、これらの艦艇は、他の巡視船艇とは別個に、海上保安庁内に設置される専用の部局で集中運用されることとなり、サンフランシスコ平和条約発効直前である1952年(昭和27年)4月26日、海上警備隊が設置された[32]


同年8月1日、総理府の外局として保安庁が創設された。海上警備隊と航路啓開本部(掃海部隊)は警備隊として統合のうえで海上保安庁から分離され、警察予備隊とともに保安庁の傘下に入った[42]。そして1954年(昭和29年)7月、保安庁が防衛庁に移行するとともに、警備隊も海上自衛隊に発展改編された。この過程で、旧海軍の港湾施設、航空基地等は、そのまま海上自衛隊が引き継ぐことになった。中でも護衛艦「わかば」は、旧海軍の駆逐艦「梨(なし)」をそのまま海上自衛隊の護衛艦として運用し、旧海軍の伝統を継承する象徴となった。


海上自衛隊を管理する行政機関である防衛庁は、2007年(平成19年)1月9日に防衛省へ昇格した。



気風




海上自衛隊幹部の敬礼




出航時の伝統行事『帽振れ』


陸上自衛隊とは異なり、旧帝国海軍の伝統と文化を重んじる傾向にある。また、イギリス海軍の影響を受けた旧海軍の元士官(海軍兵学校・海軍機関学校出身者)たちが、アメリカ海軍関係者の支援を取り付けて海軍再建を主導したことにより、3つの海軍の伝統が混在している。


現在では旧海軍の標語でもある「スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」と「スマートネイビー」を標榜し、幹部候補生学校ではシーマンシップに基づいた「機敏(スマート)・着実(ステディ)・静粛(サイレント)」の「3S精神」の体得を掲げている[43][44]。これは、古今東西海軍艦艇が外国を訪問することによって、外交関係の親善を深める役割をも担ってきたことに由来する。自衛隊の中では海上自衛隊のみ初任幹部を海外に出して見聞を広めさせている(練習艦隊)。


海上自衛隊の敬礼は陸空と違い、狭い艦艇内で行われることを想定し、右肘上腕部を右斜め前約45度に出して肘を張らない特徴がある(狭い艦艇内で肘を張ると、擦れ違い敬礼の交換の際に相手とぶつかってしまうため)。しかし、場合により陸空と同様の肘を大きく張った敬礼が行われる事もある。


旧海軍の軍艦旗と全く同一の意匠を自衛艦旗の意匠として改めて採用し、日露戦争の日本海海戦を記念して制定された戦前の海軍記念日(5月27日)のイベント開催、5分前精神の徹底や信号喇叭による総員起こし、出航時の「帽振れ」、週末に海軍カレーを食べる習慣など、多くの文化を旧海軍から継承しており、その独特の気風を揶揄し「伝統墨守唯我独尊」ともいわれる[45]


旧海軍は飲酒に寛容なイギリス海軍に倣い、士官にはウィスキー(大日本果汁製)を兵卒には加給品として日本酒などを支給していた。海上自衛隊は艦内での飲酒を禁止していたアメリカ海軍の影響で、全面禁酒となり配給も中止された(ジョセファス・ダニエルズを参照)。


このほか、陸空では使用されない「士官」の語も「幹部自衛官」のほかに法令上も用いられている(士官#自衛隊参照)。


教育隊において水泳教育を徹底しており、全く泳げない者にも専用の訓練メニューを用意しほぼ全員が泳げるようにしている[46]



航空隊


航空自衛隊とは個別に海軍航空隊に相当する航空集団が存在し、航空学生制度により操縦士と戦術航空士を独自に養成している。


旧海軍航空隊では旧陸軍航空部隊や航空母艦とは別に、多数の陸上基地と陸上航空機を運用していた。海上自衛隊は航空基地の一部を引き継いでいるが、主な任務を海洋哨戒と捜索救難、対潜水艦攻撃としており、戦闘機や攻撃機、爆撃機は運用していない。空対艦ミサイルは航空自衛隊が装備している。また固定翼機を運用する航空母艦も保有しておらず、艦載機は全てヘリコプターである。イギリス軍では陸上基地の固定翼哨戒機を空軍が運用しており、第二次世界大戦後に空軍を創設した英連邦諸国でもこれに倣うことが多いが、海上自衛隊では独自運用とするなどアメリカ海軍の影響が強い。


導入している機種は哨戒機・救難機・輸送機・練習機の他、護衛艦の訓練支援のために標的曳航等を行う訓練支援機がある。世界的にも珍しく捜索救難専用の飛行艇を配備している。



陸上戦力


旧海軍は、上陸作戦や陸戦ができる有力な海軍陸戦隊を保有していた。諸外国では現在も、海兵隊に相当する部隊が海軍所属になっている例(中国人民解放軍海軍陸戦隊、ロシア海軍歩兵など)がある。海上自衛隊は特別警備隊という特殊部隊を有するものの、海兵隊に相当する水陸機動団は陸上自衛隊の所属である。


また12式地対艦誘導弾など自衛隊の地対艦ミサイルは陸自が運用している。



音楽





鶴岡八幡宮で演奏をする横須賀音楽隊


海上自衛隊で使われる信号喇叭の喇叭譜は一部を除いて旧海軍のものをそのまま使用しており、君が代の喇叭譜が陸海それぞれ別にあるという変則状態となっている。


海上自衛隊では陸空と同じく独自の音楽隊を編成しており、一般的な軍楽隊と同じく吹奏楽に重点が置かれているものの、ピアノ奏者を技術海曹として受け入れたり、声楽枠による採用を実施する(三宅由佳莉)など多様化が進んでいる。


儀礼曲として、観閲式や遠洋航海への出港などの際には『軍艦行進曲』が、葬送の祭には『命を捨てて』など旧海軍の曲がそのまま制定されている[47]。自衛隊発足後に制定された儀礼曲には『海のさきもり』などがある。


隊歌に準じた行進曲として、海上警備隊の発足当初から歌われていた行進歌『海をゆく』があったものの、本来隊歌として制定された曲ではなかったことや歌詞が時代に合わなくなったことから[48]、発足50周年となる2002年(平成14年)にメロディは変えず歌詞を公募したものに変更した曲を正式な隊歌として制定し、入隊式などで歌われる曲として位置づけられた[47][49]


海外派遣の際には見送りの曲としてアニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』のオープニングテーマが音楽隊により演奏される。



旧海軍の技術・伝統の承継


護衛艦や潜水艦の建造は、ジャパン マリンユナイテッド(源流は日本鋼管・IHI・日立造船等)、三菱重工業、川崎重工業などで行われる。いずれも、戦前から旧海軍艦艇を建造した経験をもつ企業、およびその後身である。


旧海軍の九七式飛行艇や二式飛行艇を製造し、飛行艇については世界随一の技術を有していた川西航空機は、戦後に新明和工業となり、戦前からの技術を受け継いで、UF-XS、PS-1、US-1、改良型のUS-1A、現行のUS-2と、途切れることなく飛行艇の開発・製造を続けている。


海上自衛隊創設50周年式典では、石川亨海上幕僚長が式辞で「われわれは、今後とも海軍のよき伝統を日本の財産として、堂々と継承してまいります。」と発言している。また、旧海軍の慰霊祭に海上自衛官が参列したり、音楽隊の派遣を実施したりすることもある。


日露戦争で日本が大勝した日本海海戦の旗艦で、発足前に横須賀港に係留されて記念艦となっていた「三笠」は、海上自衛隊の展示施設となっている。



その他


携帯電話の電波が届かない洋上でも、水上艦艇の乗組員が私有の携帯電話を使って家族らと電子メールできるよう、艦内通信環境の整備に乗り出したと『読売新聞』が2018年9月28日夕刊(社会面)で報じた。少子化の中で、志願者を減らさないことが背景にある。メッセージを無線LAN経由で管理サーバーにいったん集約することで、艦艇の位置や活動内容についての記述があれば送信を停止する。艦艇の行動が漏えいする懸念からこれまで外部との連絡は共用パソコンに限定されていた。潜水艦については従来通り、出航後の外部との私的通信は禁止される[50]



画像



海上自衛官




装備




脚注


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  1. ^ 自衛隊法第三条3項


  2. ^ 防衛省設置法第十九条


  3. ^ “呉海自カレー”. 海上自衛隊 呉地方隊. 2016年3月21日閲覧。


  4. ^ “UH-60J 救難ヘリコプタ(海自)”. 三菱重工業. 2016年3月21日閲覧。

  5. ^ abc海上自衛隊公式HP


  6. ^ 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について - 韓国海軍の艦艇へ英語で呼びかける際にJapan Navyと発言している。


  7. ^ 『よくわかる!艦艇の基礎知識』菊池雅之(イカロス出版、2008年)154頁


  8. ^ “Japanese navy may seek greater electronic, cyber warfare collaboration with US Navy”. Jane's Information Group (2016年2月18日). 2016年3月21日閲覧。


  9. ^ [1]第五管区海上保安本部総務課(2018年10月8日閲覧)。


  10. ^ ここまで出典:平成29年版防衛白書 資料10 主要艦艇の就役数


  11. ^ ここまで出典:平成29年版防衛白書 資料9 主要航空機の保有数・性能諸元

  12. ^ abcde「世界の艦船」2015年7月増刊(通巻819号)『海上自衛隊2015-2016』


  13. ^ 平成29年版防衛白書 資68 自衛官の定員および現員


  14. ^
    [2]



  15. ^ 海上自衛隊公式HPの「基地の所在地」を基に算出


  16. ^ 自衛艦隊HP 組織・編成


  17. ^ 落合 畯. “Operation Gulf Dawn(湾岸の夜明け作戦) (PDF)”. 海上自衛隊 掃海隊群. 2016年3月20日閲覧。


  18. ^ 海上自衛隊公式HP 「主な活動 - 24時間体制の警戒監視活動」


  19. ^ 『[世界の艦船』2011年11月の記事中で香田は空海軍と表現を用いている。


  20. ^ 香田洋二「護衛艦隊の誕生と発展 1961-2011」、『世界の艦船』2011年11月No.750。


  21. ^ "Military Balance 2011"では Naval Aviation の項目で人員9,800人と記載されている。


  22. ^ 平成27年版防衛白書 資料50 わが国のBMD整備への取組の変遷


  23. ^ 「ロシア艦艇28隻が宗谷海峡通過 冷戦後最多」日本経済新聞ニュースサイト(2018年9月4日)2018年10月8日閲覧。


  24. ^ 海自潜水艦、南シナ海で訓練 異例の公表…軍事拠点化の中国牽制 ベトナム要衝にも初寄港産経ニュース(2018年9月17日)2018年10月8日閲覧。


  25. ^ 平成27年防衛白書 第1章第1節 4 武装工作船などへの対処


  26. ^ 『実録「海猿」の世界 海上保安庁最前線』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2010年9月、P112。ISBN 978-4-86248-601-1。


  27. ^ 自衛隊法第八十二条


  28. ^ “日米安全保障共同宣言”. 外務省. 2016年3月21日閲覧。


  29. ^ 外国艦艇寄港(観艦式関連)(H27.10.9-18)海上自衛隊横須賀地方隊(2018年10月8日閲覧)。


  30. ^ 海自、韓国の観艦式に不参加 艦旗「降ろすの絶対ない」朝日新聞デジタル(2018年10月5日)2018年10月8日閲覧。


  31. ^ 防衛省「自衛官の階級」

  32. ^ abcd香田洋二「国産護衛艦建造の歩み」、『世界の艦船』第771号、海人社、2013年1月、 189-195頁。


  33. ^ 平成29年版 防衛白書


  34. ^ 被採用者の手記 (防衛省 情報検索サービス) 2012年2月17日閲覧


  35. ^ 女性自衛官の配置制限 (PDF)”. 防衛省公式サイト. 防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画の改定及び女性自衛官の配置制限の見直しについて. 防衛省 (2016年3月15日). 2018年9月17日閲覧。


  36. ^ “潜水艦に女性自衛官起用へ 広島の潜水艦教育訓練隊施設を改修し教育・訓練”. 産経WEST. 産経新聞 (2018年8月31日). 2018年9月17日閲覧。


  37. ^ 手塚正己(2010) 第三章の八、第六章の二


  38. ^ 読売新聞戦後史班編 「第2章 海上警備隊」『昭和戦後史「再軍備」の軌跡』 読売新聞社、1981年、174-256頁。ASIN B000J7W6JM。


  39. ^ 日本政府が当初において海軍再建に否定的であったのは、時の首相吉田茂が経済復興を優先させていたことと再軍備の動きが早期講和に不利になると考えていたからである。

  40. ^ abNHK取材班(2003) 第八章


  41. ^ 「(第二次)特殊研究資料」による制度的枠組の検討では、後述の通り海上保安庁の下に新海軍の母体組織を作りつつも、両者は実質的に分離されているという計画であった。


  42. ^ 掃海OB等の集い 世話人会 (2013年9月30日). “航路啓開史 (PDF)” (日本語). 2013年3月13日閲覧。


  43. ^ 幹部候補生学校:伝統


  44. ^ 幹部候補生学校:伝統


  45. ^ “自衛隊百科・自衛隊インビテーション(2月放送内容) テーマ:3自衛隊の特色、違い① 四文字熟語”. 防衛省 東北防衛局 (2013年2月). 2016年3月21日閲覧。


  46. ^ 水泳

  47. ^ ab儀礼曲の統一について(通達)改正 平成14年5月24日 海幕総務第2946号


  48. ^ 女性自衛官が増える中、歌い出しが「男と生まれ~ 」であった。


  49. ^ 海上自衛隊:海上自衛隊について:海上自衛隊とは:役割 - 海上自衛隊


  50. ^ “時代の「潮流」海自艦にも…私有携帯メールOK” (2018年9月28日). 2018年9月29日閲覧。




参考文献



  • 海上自衛隊50年史編さん委員会『海上自衛隊50年史-本編』防衛庁海上幕僚監部、2003年。

  • 海上自衛隊50年史編さん委員会『海上自衛隊50年史-資料編』防衛庁海上幕僚監部、2003年。


  • 阿川尚之『海の友情-米国海軍と海上自衛隊』中央公論新社[中公新書]、2001年。


  • NHK報道局自衛隊取材班 『海上自衛隊はこうして生まれた―「Y文書」が明かす創設の秘密~』 日本放送出版協会、2003年。


  • 増田弘「第2部 海上自衛隊の誕生」、『自衛隊の誕生 日本の再軍備とアメリカ』中公新書、2004年。

  • 手塚正巳『凌ぐ波濤-海上自衛隊をつくった男たち』太田出版、2010年。

  • ジェイムス・E.アワー『よみがえる日本海軍-海上自衛隊の創設・現状・問題点(上)』妹尾作太男訳、時事通信社、1972年。

  • ジェイムス・E.アワー『よみがえる日本海軍-海上自衛隊の創設・現状・問題点(下)』妹尾作太男訳、時事通信社、1972年。



関連項目




  • 自衛官 / 予備自衛官 / 曹士の能力活用


  • 自衛艦 / 護衛艦 / 海上自衛隊の航空母艦建造構想

  • 海上自衛隊の装備品一覧

  • 海上自衛隊艦艇一覧

  • 海上自衛隊の個人装備

  • 海上自衛隊の陸上施設一覧


  • 大日本帝国海軍 / 海上保安庁


  • 海上自衛隊の旗 / 軍艦旗 / 海上自衛隊の礼式


  • 海上自衛隊のC4Iシステム / 海上自衛隊の電子戦装置

  • 海軍カレー

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外部リンク







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