レイティング
レイティング、レーティング (rating) は、対象となる物事に対して、ある基準に基づき、等級分けや数値化をおこなったものである。語源の rate には、見積もる・評価するという意味がある。
同じレーティングと呼ばれていても分野が違えば、評価の対象も表し方も異なる。
目次
1 等級分け
1.1 性的表現などの検閲
1.1.1 各国・分野の実例
1.2 日本の実例
1.3 アメリカの実例
2 レイティング機関の一覧
2.1 格付け
2.1.1 企業・債権
2.1.2 レストラン
3 数値化
3.1 視聴率・聴取率
3.2 競技
3.2.1 ボードゲーム
3.2.2 3人以上
3.2.3 競馬
3.2.4 アメリカンフットボール
4 脚注
5 関連項目
等級分け
性的表現などの検閲
コンテンツは、そのコンテンツが一定の公共性や不特定多数の民衆の目に触れる/手に取られる機会を持つ場合に、それを鑑賞する層に対して望ましくない表現がなされていないかどうかを鑑賞者が事前に判断できるよう、一定の基準に沿って等級分けのレイティングがなされ、表示される。
いわゆる「18禁」「○○歳以上推奨」指定のように「年齢の下限」に対して区分を行うことが多く、表現内容と対象年齢層とを対比させた表現規制基準が使われる。ただし少数例として、保護者の許可や同伴、学籍の有無などを、年齢制限に併用することもある。
多くのジャンルや業界においてレイティングの取り決めとそれを司る機関が存在するが、ほとんどは業界の利益を守ることを目的として作られた自主規制基準である。しかし、「年齢の上限による制限」はそれらでは設けられていない。
世界の国によっては、映画のように、ドラマやアニメを始めとした番組には年齢指定があり、番組放映開始前に対象年齢案内を表示したり、放映中に画面の隅にマークが表示されている。
各国・分野の実例
日本の実例
日本では、衛星放送で放送される番組やチャンネルの一部に、20歳・18歳・15歳・12歳等のレイティングが設定されているものがある。20歳のもの(スカパー!では「成人向け番組」と呼ぶ)を視聴するためには身分証明書による、年齢確認が必要である。「視聴年齢制限」の場合、チューナーの設定で、設定した年齢の番組では暗証番号を入力しないと視聴できないよう制限することができる。[1][2][3]
また、漫画にもレイティングが設けられている地域が日本以外にもある。日本で設定されておらず、全年齢が買える漫画でも暴力や性描写などの表現に引っかかりMature指定(日本だと成人向けに相当する)された物もある(少女漫画でも『快感♥フレーズ』などがそれに該当する)。そのため、現地出版社で自主的に修正される例もある(当然日本の原作者の許可を受けている)。
テレビ放送作品においては、日本では子供番組扱いの仮面ライダー龍騎をアメリカでリメイクしたKAMEN RIDER DRAGON KNIGHTは、アメリカの放送規定では視聴年齢に制限がでてしまうため、一部を変更する(倒されても死んではいないと明確に描写したり、実弾を発射していた銃がビームを出すアニメーション的な銃に変更)など対策を取る例もある。また遊戯王シリーズはアメリカでは全年齢向けに指定されているため、アメリカの倫理規定に合わせるため作中でキャラクターが死んでしまうシーンは「Shadow Realm(闇の世界)」に送られると言うことになっている。ほか出血シーンや子供にとって性的過ぎる場面は映像を修正・カットしたうえで放送された。似たような例は他国でもあり、年齢制限指定を避けるために、不適切なシーンを自主的にカット、修正する場合がある。例えば『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は南米で放送された際、暗示的なベッドシーン・骨が砕ける・人が燃えるなどの過激なシーンがカットされて放送された。(その他の海外の規制についてはアニメ#日本国外の規制等の事例も参照)
コンピュータゲームにおけるコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の例を見ると、現在のところ加入は義務としていないために一部のPCゲームメーカーは加入しておらず、ESRBのような機能を完全に果たしていない。ものづくり国家のコンセプト等から、経済産業省により、日本版ESRBを意識した映像コンテンツ倫理連絡会議設立のための準備を始めている。
アメリカの実例
アメリカではアメリカ映画協会やアメリカ・レコード産業協会といった業界団体による自主規制としてのレイティングや、非営利団体、ウェブサイトなど外部からのレイティングが行われている。有害性以外の観点として、Lexile指数の得点などを基準とした発達水準に応じた適正年齢表示もレイティングの一種として存在する[4]。
レイティングはあくまでも自発的・私的な警告であり、レイティングを理由としてコンテンツへのアクセスを妨げる事は合衆国憲法修正第1条に抵触する問題が生じる[4]。アメリカ映画協会対スペクター事件など、レイティングを根拠とした未成年者のコンテンツの視聴や購入を禁じた自治体条例や州法が、連邦裁判所によって無効とされた例もある。
レイティング機関の一覧
映画のレイティングシステム
- 映倫規定(映画)
映画倫理委員会(映倫)
- 映倫規定(映画)
- ビデオ媒体のレイティングシステム
- 映画作品
映画倫理委員会(映倫)
オリジナルビデオ
映像倫理協議会(映像倫)
日本ビデオ倫理協会(NEVA、ビデ倫)
アダルトビデオ(→倫理審査団体と「インディーズ」)
日本ビデオ倫理協会(NEVA、ビデ倫)
コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS、ソフ倫)
ビジュアルソフト・コンテンツ産業協同組合(VSIC)
日本映像ソフト制作・販売倫理機構(JVPS、制販倫)
コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)
全日本ビデオ倫理審査会(AJVS、全審)
日本倫理審査協会(JEJA、日倫)
- 映画作品
コンピュータゲームのレイティングシステム
コンシューマーゲーム、一部のパソコンゲーム
コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)
パソコンゲーム
コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS、ソフ倫)
コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)
出版物
- 「有害図書」を参照
webコンテンツのレイティングシステム
インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)
Platform for Internet Content Selection(PICS)
格付け
優良さを評価し、いくつかの階級に分類する。
企業・債権
投機対象としての企業や債権は、格付け機関により格付け(レーティング)される。
レストラン
ミシュランガイドなどが有名。
数値化
視聴率・聴取率
放送分野では、ある時刻やある番組を視聴または聴取する者の割合をある基準で表した数値をレーティングと呼ぶ。テレビでは視聴率、ラジオでは聴取率と訳す。この値は、その放送に対する視聴者、聴取者母体の注目度、関心度を表す指標のひとつとして用いられる。
ただし、このレーティングとは無関係に、この分野にも検閲のレーティングはある(ただし日本の地上波放送にはない)。
競技
競技者の戦績の評価を、さまざまな基準で指数化したもの。特に順位付けがなされたものはランキングと呼ばれる。
ボードゲーム
「レーティング」の表記のほうが多く用いられるため、以下では「レーティング」と表記する。
国際チェス連盟 (FIDE) は、チェスプレイヤーの強さをイロレーティングで指数化している。ただし、インフレ問題があるためグリコレーティングなどの改良案がある。
将棋倶楽部24をはじめとするネット将棋では、イロレーティングを簡略化したレーティングが採用されることが多い。これらのレーティングは、段級位制と並行して使用されており、ほとんどの場合、段級位の基準がレーティングで定められている。
また、将棋のアマチュア大会で使われているレーティングは、その殆どが日本アマチュア将棋連盟の公認を受けた全国統一のイロレーティングである。
3人以上
イロレーティングでは複数人の対戦を直接数値化することが出来ないため、マイクロソフトはオンラインゲーム用として、3人以上にも対応したTrueSkillを開発した。
競馬
競馬のレイティングとは「位置付け」を意味し、個々の馬が競走で示したパフォーマンスを数値化したものである[5]。
競走馬の競走成績を指数化する方法として、競馬において負担重量にハンデ差をつける競走が存在していたのに擬えてフリーハンデという手法が取られていた。
それを指数化に改めたものとしてレイティング方式が取られるようになった。国際統一基準に基づく場合は、指数を1ポンドと仮定し、標準的なダービー優勝馬が140とされていた[要出典]が、会議で決定されるためか、なかなか140を超える馬が現れないという事態を引き起こした。短距離から順にS・M・I・L・E(通称スマイル)と合わせて評価される。
アメリカンフットボール
アメリカンフットボールで、選手(特にクォーターバック)の活躍の度合いを示す指数として使われる。パス成功率、被インターセプト率、獲得ヤードなどから算出される。満点は158.3で、90を超えていれば優秀であるとされている。
脚注
^ 成人向け番組を視聴できないように制限したい - スカパー!オンラインカスタマーセンター
^ アイコンの詳しい説明 - 番組表(スカパー!)
^ 番組表 - WOWOWオンライン
- ^ abデボラ・コールドウェル=ストーン アメリカ図書館協会知的自由部(編)「格付けシステムに関する法律」『図書館の原則』改訂4版 第1刷 川崎良孝ほか訳 日本図書館協会 2016年 ISBN 9784820416050 pp.157-160.
^ “重賞競走等レーティング” (日本語). 日本中央競馬会. 2011年7月13日閲覧。
関連項目
- 格付け
- ランキング
- リッカート尺度
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