高山植物







ハクサンイチゲの群落 白馬岳


高山植物(こうざんしょくぶつ)とは、一般には森林限界より高い高山帯に生えている植物のことを指す。広義には高山帯だけではなく亜高山帯に生育する植物も含める。




目次






  • 1 定義


  • 2 特徴


  • 3 高山植物の種類


    • 3.1 日本の高山植物


      • 3.1.1 双子葉植物


      • 3.1.2 単子葉植物


      • 3.1.3 裸子植物






  • 4 レッドリストの高山植物


  • 5 ギャラリー


  • 6 脚注


  • 7 関連図書


  • 8 外部リンク





定義


高山に生育するから高山植物と呼ぶわけではない。例えば、北海道の礼文島や利尻島では森林限界が低いため、北アルプスで標高2,500メートル付近に生育している高山植物を平地や海岸近くでも見ることができる。


より狭義には、高山帯に固有の植物を高山植物と言う。つまり低山帯や丘陵帯にも生えているが、適応の幅が広いので高山帯にも生えている植物は高山植物と呼ばない。ただし、実際には高山へ向かう間に見かける草花も、すべて高山植物と言ってしまう場合が多く、高山植物図鑑の表記でもよく見かける。



特徴


高山植物の生育環境は、冬季の積雪と平均気温の低さ、一日の最高気温と最低気温の温度差が大きいこと、風が強いこと、貧弱な養分の土壌、陽射しが強く特に紫外線が多いこと、など多くの点で植物の生育には厳しいことが多い。よってその環境に応じた様々な特徴をそなえている。たとえば、地下茎や根が発達している割に茎や葉が小さく、樹木であっても、ほとんど草並の背丈で、地表に密着してクッション状に成長する。成長が可能な期間が短いため、一年草は少なく、多年生の草本が多い。また、全体に毛が多いものもよくある。これは、植物体表面を寒気から遮断することや、強い日差しから本体を守る役割があると見られる。
日本にはそれほど顕著な例はないが、植物体全体が、表面の毛によってほとんど覆われ、まるで綿クズのように見える例もある。


また、植物体に比して花が大きく、派手なものが多い。植物の活動が夏に限られるため、ほとんど全種が同じ時期に花をつけ、一面に花が並ぶようすをお花畑とよぶ。


日本の場合、多くの高山植物は近縁種を北海道以北に持っている。これは、日本がより寒かった時代(氷河期)にここまで分布していた植物の生き残り、すなわち氷河遺存種(レリック)であると考えられる。富士山は日本の最高峰であるが、真の高山植物はほとんどない。これは富士山が比較的新しい時代に、低い山から高くなって形成され、そこに氷河期の植物相が入り込むことがなかったためである


したがって、かつては高山植物の分布は山から山へとつながっていたのであろうが、現在ではそれぞれの山の山頂付近に限定され、分布は島のように孤立している。そういった経過を経て、現在では島の生物と同じように、それぞれの山で固有種に分化していることが多い。北岳のキタダケソウや白馬岳周辺と硫黄岳のウルップソウなどがその一例である。植物の保護のために、立ち入り禁止区域に侵入したり触れたりするのを、避けることが望まれる。



高山植物の種類



日本の高山植物




双子葉植物




コマクサ(御嶽山 継子岳)




  • イワウメ科

    • イワウメ, コイワカガミ



  • キキョウ科

    • イワギキョウ, チシマギキョウ



  • キク科

    • ウサギギク, タカネヤハズハハコ, タカネニガナ, チョウカイアザミ, ハヤチネウスユキソウ, ヒメウスユキソウ, ミヤマアズマギク, ミヤマアキノキリンソウ



  • キンポウゲ科

    • シナノキンバイ, ミヤマオダマキ, ハクサンイチゲ, ツクモグサ, ミヤマキンポウゲ, タカネキンポウゲ, キタダケソウ



  • ケシ科
    • コマクサ





ヨツバシオガマ(立山室堂平)




  • ゴマノハグサ科

    • タカネシオガマ, ミヤマクワガタ, ミヤマシオガマ、ヨツバシオガマ



  • サクラソウ科

    • ハクサンコザクラ, ユキワリソウ



  • シラネアオイ科
    • シラネアオイ



  • スミレ科

    • キバナノコマノツメ, タカネスミレ



  • タヌキモ科

    • ムシトリスミレ, コウシンソウ



  • タデ科

    • オンタデ, ウラジロタデ



  • ツツジ科

    • イワヒゲ, シラタマノキ, ミネズオウ, クロマメノキ, アオノツガザクラ, キバナシャクナゲ, ハクサンシャクナゲ, コケモモ, アカモノ, ツガザクラ, ウラシマツツジ



  • ナデシコ科

    • イワツメクサ, タカネツメクサ, センジュガンピ, タカネミミナグサ, チョウカイフスマ



  • バラ科

    • ミヤマダイコンソウ, チョウノスケソウ, ミヤマキンバイ, タカネナナカマド, チングルマ



  • フウロソウ科

    • ハクサンフウロ, タカネグンナイフウロ





イワベンケイ(南アルプス 北岳)




  • ベンケイソウ科
    • イワベンケイ



  • マメ科

    • イワオウギ, オヤマノエンドウ



  • ミズキ科
    • ゴゼンタチバナ



  • ユキノシタ科

    • シコタンソウ, ミヤマダイモンジソウ, クモマグサ, ウメバチソウ



  • リンドウ科

    • ミヤマリンドウ, トウヤクリンドウ



  • スイレン科
    • ヒツジグサ




単子葉植物



  • ラン科

    • ハクサンチドリ, タカネサギソウ, テガタチドリ




クロユリ(南アルプス 北岳)




  • ユリ科

    • キヌガサソウ, クロユリ, クルマユリ, コバイケイソウ, ショウジョウバカマ



  • イネ科
    • ミヤマアワガエリ



  • カヤツリグサ科
    • ワタスゲ




裸子植物



  • マツ科
    • ハイマツ



レッドリストの高山植物


一部の種は環境省や各県のレッドリストに指定されている[1]。南アルプスの高山帯では、地球温暖化に伴う気温上昇などにより、ニホンジカやニホンカモシカなどが高所まで上がり高山植物を食い尽す食害を受けている地域がある[2]




ギャラリー


白花


黄花


青、紫、桃色


果実



脚注


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  1. ^ “日本のレッドデータ検索システム”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年4月20日閲覧。


  2. ^ “南アルプス高山植物保護ボランティアネットワーク”. 静岡県 (2010年4月28日). 2011年4月20日閲覧。




関連図書



  • 『日本の高山植物』 山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年8月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
    ISBN 4635090191。

  • 『花の百名山地図帳』 山と溪谷社、2007年5月。
    ISBN 9784635922463。



外部リンク



  • 白馬岳花図鑑 (白馬館)

  • 乗鞍岳の高山植物 (飛騨高山観光)

  • フラボンの山野草と高山植物の世界(写真他)




























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