戦うか逃げるか反応
闘争・逃走反応(とうそう・とうそうはんのう、英語: fight-or-flight response)は、1929年にウォルター・B・キャノンによって初めて提唱された動物の恐怖への反応である[1][2][3]。闘争か逃走か反応、戦うか逃げるか反応ともいい、戦うか逃げるかすくむか反応(fight-or-flight-or-freeze response)、過剰反応(hyperarousal)、急性ストレス反応(acute stress response)とされることもある。『火事場の馬鹿力』と訳されることもある[4]。
キャノンの説によると、動物は恐怖に反応して交感神経系の神経インパルスを発し、自身に戦うか逃げるかを差し迫るという。この反応は、脊椎動物あるいはその他の生物でストレス反応を引き起こす一般適応症候群の初期段階として後に知られるようになった。
目次
1 身体的な反応
2 関連項目
3 脚注
4 外部リンク
身体的な反応
恐怖などのストレッサーの刺激が視床下部、下垂体に伝達し副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)が分泌され、アドレナリンとコルチゾールが放出される。その結果以下の変化が起きる[5]。
心臓・肺機能強化(心拍数上昇、血圧上昇、呼吸数上昇、気管拡張など)- 体の多くの部分の血管収縮、 筋肉向けの血管拡張
脂肪やグリコーゲン等の代謝エネルギー源の放出
胃などの消化機能阻害・停止
膀胱の弛緩
勃起の阻害
涙腺と唾液腺の阻害
瞳孔散大(散瞳)
聴覚喪失- 周辺視野の喪失(視野狭窄)
脊髄反射の脱抑制
振戦(ふるえ)
- 生理学的機能の変化
- 体の他の部分に回る血を抑制し、優先的に筋肉に血が供給される。
- 筋肉に血やエネルギー等を供給するため、心拍や呼吸が早くなり、血圧が高くなる。血糖値が上昇する。脂肪の燃焼が促進される。
- 怪我した際の血液凝固作用が高まる。
- 筋肉が、より早く、より強く動けるように緊張状態になる。
関連項目
- 視床下部-下垂体-副腎系
- ヤーキーズ・ドットソンの法則
不安障害/パニック発作/社交不安障害/恐怖症
いじめ/職場いじめ
凍結挙動/擬死(タヌキなどにみられる死んだふり)- 腰が抜ける:強い興奮や恐怖、極度に緊張したストレス状態が続いた後に平常心に戻った時などに起きる症状。自律神経の一つである交感神経が働いて感情が高ぶり脈拍が早くなると血管が収縮し、背中の筋肉である脊柱起立筋をうまく働かせることができなくなった状態[6]。
脚注
^ harvardsquarelibrary: W. B. Cannon Bodily Changes in Pain, Hunger, Fear and Rage: An Account of Recent Researches into the Function of Emotional Excitement, Appleton, New York, 1915
^ Cannon, Walter (1929). Bodily changes in pain, hunger, fear, and rage. New York: Appleton.
^ Bracha, H.S. et. al. (2004). Does "Fight or Flight" Need Updating? in Psychosomatics, 45:448-449, October 2004.
^ 火事場の馬鹿力(Weblio辞書)
^ Henry Gleitman, Alan J. Fridlund and Daniel Reisberg (2004). Psychology (6 ed.). W. W. Norton & Company. ISBN 0-393-97767-6.
^ “腰が抜ける”は本当なのかメカニズムを大解剖!(R25)
外部リンク
- http://www.diana.dti.ne.jp/~som-e/main-h18.html
- http://www.health-info.jp/relaxation/kokoro/stress.4.htm
- http://jsam.jp/jsam_domain/journal/online/pdf/51-1-2.pdf