グラビアアイドル
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グラビアアイドル(和製英語: gurabia aidoru - gravure idol)とは、日本で発祥した女性のモデルの一種である。雑誌を主体に各種メディアで、セクシーなアイドルとして活動してグラドルとも略称される。英語では Pinup girl や bikini model が最も近い[1]。グラビア (Gravure) の本来語義は凹版版画の技法である。
目次
1 グラビアアイドルの特徴
1.1 表現手法
1.1.1 水着
1.1.2 着エロ
1.1.3 通常ファッション
1.1.4 コスプレ(お菓子系)
1.2 年齢層の拡大
2 グラビアアイドルの傾向
2.1 ファッションモデル系
2.2 特撮ヒロイン系
2.3 アイドルグループメンバー
2.4 その他(アナウンサー、声優など)
3 足跡
3.1 1970年 - 1980年代
3.2 1990年代
3.3 2000年代以降
4 ゴールデン・アロー賞「グラフ賞」
5 脚注
5.1 注釈
5.2 出典
6 関連項目
6.1 グラビアページを掲載している主な媒体
6.2 グラビアアイドル関連のプロジェクト・コンテスト
グラビアアイドルの特徴
グラビアアイドルの主な活動の場は、雑誌グラビアページやポスターなどであり、特に青年誌・ヤング誌などといった男性向け雑誌では、グラビアの被写体次第でも売れ行きが左右されるなど、非常に重要なファクターとなっている。そのような成立経緯から、セクシャルな想像を掻き立てる表現ができること、即ちセックスアピールという観点において優れていることなどが絶対的な条件であり大きな特徴である。
水着グラビアは当初アグネス・ラムなど、抜群のプロポーションを野持つ外国人モデルがその役を担っていた時代もあったが、後に日本人女性のプロポーションが欧米女性のそれへと近付いていくに連れて日本人のグラビアモデルが多くなり、そのほとんどが10代 - 30代までの日本人女性で賄われている。そういったグラビア誌専門のモデルを務める若い女性たちをグラビアアイドルと呼び、かつて日本の芸能界で主流であったアイドル歌手に代わる存在として世の男性に認知されるに至った。
前述の通り、グラビアページは男性向け雑誌への掲載を中心としており、「グラビアアイドル」は女性が一般的であるが、多様化するニーズに応える形で、女性向けの男性グラビアモデルも僅かではあるが登場し始めている[2]。
表現手法
現在のグラビアページの傾向としては、以下の4パターンに大別できる。
水着
度々触れているように、グラビアアイドルは主に男性誌グラビアを中心に起用される。そのうち水着は最も多いグラビア制作の手段であり、メインアイテムとして扱われている。元来雑誌グラビアとは男性が見て楽しむことを目的にしたものであり、性に対しての規制が厳しい日本では、セミヌードに代わるグラビア素材としてビキニなどの女性の体を隠す範囲の狭い水着を使うことを早くから行なってきた。また、グラビアモデルも局所を隠した状態ならば比較的自由に動けることもあり、それまでのセミヌード中心のアンダーな世界観を一気に開放的で明るいものへと変貌させた。撮影も初期の頃は浜辺やプールサイドなど、水着に合った環境でのロケーションが多かったが、次第に水着には全く関係性の無い場所、それこそ街中や店先、アミューズメント施設内においても水着グラビアを披露している場面が見受けられるようになっている。また、その昔は露出度の高い水着を人前で着ることや肌を晒す行為自体に抵抗感を覚える新人アイドルも数多くいたが、時代の変化に伴い、世の女性の感覚がオープンになったことと水着自体のファッション性が格段に上がった点も水着グラビアの普及・拡大に寄与したと見られる。
しかし年を経るに連れ、水着姿から連想される性的刺激に現代の読者層は次第に慣れてきてしまい、また、雑誌の売上もそれに歩調を合わせるように落ちていった。それでもグラビアは依然として男性誌の売上を左右する重要なコンテンツであることに代わりは無く、そのためグラビアアイドルの刷新だけでなく、水着以外の様々な趣向を凝らしたグラビアが多数生み出されることになる。
着エロ
その顕著な例が「着エロ」と呼ばれる過激なグラビアである。これは水着グラビアとヌードグラビアの中間に位置するもので、Tバック水着あるいは水着を着けずに手など体の一部や小物などで女性の局所を際どく隠した上で大股開きなどの挑発的なポーズを取り、わざと男性の性的衝動をより刺激するような写真が用いられており、また、水着に代わる「見せ下着」という一見しただけではビキニと区別の付かないカラフルな下着を着用したグラビアも増えている。こういったことが可能になった1つの要因として、かつての写真フィルムによる製版からデジタル処理された製版へと印刷技術が向上したことで、無理なポーズで女性の局所の一部が誤って写真に写ってしまった場合でもそのカットを簡単に画像修正出来てしまうことが挙げられる。この技術を使い、タレントのほくろや吹き出物、傷、虫刺され跡などを出版側の要望で修正する場合も多く見られる。
通常ファッション
一方で、所属事務所の戦略により将来的に本格派女優として売り出そうとしているタレントの清純なイメージを壊さぬように、あるいは当人が水着グラビアを敬遠した場合は、極力肌の露出を抑えた浴衣姿やワンピースといった普段着に近い通常ファッションの写真を使用した情緒的作品もアイドルに清純なイメージを求めているファンには好まれる傾向にある。また、水着グラビアは“卒業”したものの、グラビア活動を継続するタレントや、職業柄セクシーな露出を必要としないフリーアナウンサー・キャスターなどは概して通常ファッションやセクシーなドレスなどを着用したグラビアを披露している(後述)。
コスプレ(お菓子系)
最後の1つが「コスプレ」と呼ばれるもので、これはいわゆるおたくの「萌え」文化の影響を受けて生まれた表現方法である。元は漫画やアニメといった2次元世界の衣装を実際に作成し、自ら着用することでそのキャラクターになりきって仲間同士で楽しむ行為(通常彼らは「コスプレイヤー」と呼ばれる)であり、当初はコミックマーケットなどの同人誌即売会で一部の愛好者が着用し、流行り出したのが始まり。その後、インターネットの普及で自身のブログなどでコスプレをした写真を公開する自称「ネットアイドル」が急増した。そういったシチュエーションをそのまま雑誌グラビアに転用したのが「コスプレグラビア」である。これらは独特の世界観をグラビアに持ち込むことになった。また、コスプレの一環として、学校制服や体操着(ブルマーを穿く場合も)、スクール水着など、学校生活を想起させる手法がある。これらは「お菓子系」と呼ばれ、こちらは前述の清純なイメージを求める手法とは明らかに表現方法が異なり、衣類を着用しただけではなく、脱衣シーンやその後の見せ下着・水着姿を同時に披露したりとエロティックさを狙ったもの。得てしてそのモデルとなっているのは実際に現役の小学生から高校生である場合がほとんどで、20歳を過ぎたグラビアアイドルがこの分野に挑戦することは稀である。
年齢層の拡大
一般的に、グラビアアイドルのキャリアは短いとされてきた。1970年代から2000年代初頭にかけてのグラビアアイドルは、早ければ10代、遅くても大学卒業相当(22 - 23歳)の年齢でグラビアを卒業することがほとんどだった。
しかし、2000年代以降はその限りでなく、従来には見られなかった30歳を過ぎてもなおグラビアから撤退せずに第一線で活躍し続けるタレントが増えてきた。その流れを作ったと言えるのがほしのあきで、彼女は10代でファッション雑誌の専属モデルとしてデビューし、2001年頃からグラビアの仕事を始める。そして、20代後半に差し掛かった2000年代後半になると、これまで少なかった「年長グラビアアイドル」の草分け的存在として話題になる。
現在、グラビアアイドルとして活動するタレントの年齢層は、上は30代以上から下は10代前半までと、幅広くなってきている。前者については優木まおみなどのように大学を卒業してから、あるいは井上和香や壇蜜などのように社会人を経験した後に芸能界デビューする者も多く見受けられるようになったためである。後者については1990年代以降注目されるようになった、小学生から中学生の子役女優を指した「チャイドル」や「ジュニアアイドル」が度々水着でグラビアを飾っており、小池里奈や紗綾など、その流れを汲んだタレントのグラビアは根強い人気を維持している。しかし、中には10歳に満たない小学生がグラビアデビューを飾るケースも出てきており、しばしば児童ポルノに該当するとの指摘がなされるなど、批判の対象になる事例も少なくない(ジュニアアイドル#DVD撮影・発売における逮捕も参照)。
グラビアアイドルの傾向
一般的にグラビアアイドルは芸能界において知名度向上を図るためのステップの1つと捉えられており、ある一定ラインの年齢を過ぎたり、テレビドラマや映画においてヒロインなどの重要な役に起用され、人気に火が付いたのをきっかけに女優や歌手、ファッションモデルなどへの転身が計られ、自然とグラビア界からフェードアウトしていくのが通例である。
芸能界で活躍しているタレントの中にも、以前はグラビア活動を展開していた人物は決して少なくない。例えば仲間由紀恵、深田恭子、加藤あい、井川遥、綾瀬はるか、長澤まさみなど、また2010年代だと新垣結衣、有村架純、吉岡里帆などは出演作品に恵まれたこともあり、その後女優として大成、浜崎あゆみは一時の休業を経て、自ら作詞もこなせる歌手として再デビュー、日本を代表するアーティストへと成長した。また、優香、小池栄子、眞鍋かをり、中川翔子らはグラビア界を離れた後も女優業や司会業、コメンテーター、果てはお笑いタレント並みのコントまでこなせる幅広い適応能力が評価されて人気タレントになっていった。その一方で、グラビアアイドルとして一定の地位を確立した後も、あえてグラビアを(少なくともしばらくは)卒業せずにタレントや女優としての活動を並行して進める者もいる(一例として、井上和香、小倉優子、吉木りさ、おのののかなど)。
前述の通り、グラビアは何も水着だけには止まっておらず、通常ファッションによるグラビアも展開されている。かつては広末涼子、矢田亜希子、上戸彩らがこの路線で売り出されて成功しているが、同時にファンの落胆を招いている側面もある。しかし、その副産物的現象として、水着グラビアを見せること自体が極めて稀なそれらのタレントの水着が掲載された雑誌や写真集、テレホンカードなどは現在においても中古市場で高値で取引されている。
前述の通り、ほしのあきや磯山さやかの活躍がグラビアアイドルとしての平均寿命を飛躍的に上げることになり、本人の意欲とプロポーション維持を怠らなければグラビアでも活躍できる、という認識が広く生まれ、この後多くの高年齢グラビアアイドルが活躍の場を広げていくことになる。1967年生まれの桜井美春が41歳にしてグラビアアイドルとしてデビュー、「ほしのあきを超えた、最年長グラドル」として話題となった。また、2010年には1965年生まれで、1990年代にレースクイーンなどで活躍した岡本夏生が44歳にしてグラビアアイドルとしての活動を再開したことも話題になった。
ファッションモデル系
1990年代後半になると、ローティーン向けファッション誌の専属モデルを務め、同世代の少女たちに絶大な人気を誇ったタレントらが専属モデル卒業を機に、もしくは高校進学した時期に合わせて続々とグラビア界に進出させるという、いわゆる青田買いが増え始めた。これは、前述した「グラビアアイドルからの転身」とは逆の現象であり、これらのタレントは、新たに別のファッション誌などでモデルに起用されるまで、あるいはテレビドラマや映画などである程度女優としての経験を積むまでグラビア活動を継続している。古くは『ピチレモン』出身の榎本加奈子や酒井彩名、加藤あいなどがおり、酒井と加藤は新人グラビアアイドルを発掘することを目的とした日本テレビのプロジェクト『日テレジェニック』の第1回メンバーにも選出されている。2000年代に入ってもこの流れは続き、当時Seventeen(セブンティーン)誌の専属モデルとして人気を誇っていた榮倉奈々は現役専属モデルとして水着グラビアに挑戦しており、当時のティーン向けファッション誌では珍しいケースであった。その他にも、『ニコラ』で幾度となく表紙を飾った新垣結衣、岡本玲、川口春奈らも同誌卒業後にグラビアに進出した。
2016年ごろからは多くの女性モデルがグラビアに進出するようになり、「モグラ女子」と呼ばれムーブメントになっている(後述)。
特撮ヒロイン系
2002年に放送された特撮テレビドラマ『忍風戦隊ハリケンジャー』に出演していた長澤奈央と山本梓、『仮面ライダー龍騎』に出演していた森下千里らがビジュアル面から人気となってグラビアに取り上げられ、「特撮ヒロイン[* 1]→グラビア」という現在も続く路線が生まれた。以後、『スーパー戦隊シリーズ』からは木下あゆ美や逢沢りな、高梨臨らが、『平成仮面ライダーシリーズ』からは加藤美佳や秋山奈々、白鳥百合子、松本若菜、馬場ふみからがブレークのきっかけを掴んでいる。ただ、当該作品に出演する以前からグラビアで活動していたタレントも多く、中村知世や杉本有美、元アイドリング!!!メンバーの森田涼花、にわみきほ、秋山莉奈、内田理央などは既にグラビアアイドルとして地位を確立していた。
アイドルグループメンバー
モーニング娘。などのハロー!プロジェクト所属メンバーや、当時Dream(ドリーム)のメンバーだった長谷部優など歌手活動主体のアーティストがソロ活動を機に水着姿が中心の写真集やDVDをリリースする事例も増えている。中でも、今や国民的な人気を得たAKB48とその姉妹グループメンバーや乃木坂46と姉妹グループ欅坂46のグラビア界における活躍が目立つようになった。ただし、1970年代から1980年代にかけての女性アイドルが、歌手活動主体ながら同様の写真集を出していたことを考えると、特に新しい芸能活動の手法というものではない。
その他(アナウンサー、声優など)
また、グラビア界以外からの進出も増えている。1990年代からあった流れとしては、フリーアナウンサー・キャスターのそれで、根本美緒や杉崎美香、小林麻央、皆藤愛子らは、いずれも水着グラビアは無く露出は抑えめなものの、清楚で知的な雰囲気を醸し出し、一定のファンを獲得している。2010年代に入ると元日本テレビアナウンサーの脊山麻理子のように水着グラビアに進出する者も現れている。
スポーツの分野では、ビーチバレー選手(当時)の浅尾美和がそのアイドル並みのルックスの良さと鍛えられたしなやかな肢体が注目されて、オフシーズンの活動の一環としてグラビア活動をするようになり、水着写真集を発売、テレビ広告にも起用されるなどビーチバレーの知名度向上に一役買った。
2000年代後半からはその流れが加速し、特に声優界ではアイドル声優として絶大な人気を誇る平野綾、たかはし智秋、戸松遥などがいずれもグラビアアイドルと同様の水着姿を披露したことがあるほか、2010年代になると、内田真礼[3]、佐倉綾音[4]、水瀬いのり[5]、小倉唯[5]、斉藤朱夏[6]、逢田梨香子[7]、豊田萌絵[8]などのように、いわゆる一般の漫画雑誌などの巻頭グラビアに登場したり、水着姿を含む写真集を発表する声優も現れるようになった[* 2]。
また、この他にも、青森県八戸市の現職市議会議員・藤川優里が水着姿が収録された写真集やDVDを発売したことでも話題となった[* 3]。
足跡
1970年 - 1980年代
日本においての「グラビアアイドル(以下、特別な場合を除きグラドルに略記)」(ちなみにグラドルという呼称は90年代に始まるが、より広まったのは2000年夏より実話誌『ヴァッカ!』でスタートした「グラドル番付」からというのが定説)の歴史は、1970年代半ばより活躍したアグネス・ラム(ハワイ出身)に始まる。
この時代はグラビア誌面の雑誌は、『平凡パンチ』[* 4]、『週刊プレイボーイ』[* 5]などの週刊誌系のみで、飾っていたのは当時の女性アイドルと専任のヌードモデル達であった。女性アイドルのメインは、ほぼ全てがテレビ出演やコンサートでの歌手活動で「アイドル歌手」とも呼ばれ、彼女らのグラビアにおける水着披露は、歌手としての人気を獲得するプロモーションの一環に過ぎず、「あくまで本業は歌手」という前提であった。
1974年に小学館からA4大判のグラビア雑誌『GORO』が創刊される。それまでの雑誌グラビアが、どちらかと言えば読み物記事の添え物といったような扱いだったのに対し、『GORO』は表紙と巻頭グラビアを写真家篠山紀信が担当した。無名女性モデルのヌードからアイドル歌手、新進の若手女優を等価に扱った「激写」というグラビアコーナーを生み出し、これが世に受けてグラビア写真により大きな比重を置いた雑誌として成人男性読者を中心に大きな反響を呼ぶ。
1980年代前半当時の芸能界は、山口百恵引退後の第2期女性アイドル歌手ブームが起きていた時期であり、まだ世間的にも「女性アイドルがグラビアに載っている」という捉え方でしかなかった。アイドル歌手、クラリオンガールなどのキャンペーンガールや新人女優が、グラビアで水着を披露する割合が多かった。1982年には『スコラ』[* 6]が創刊した。
1984年、堀江しのぶがデビューする。堀江は後に巨乳アイドルブームの立役者となる野田義治[* 7]の秘蔵っ子であり、野田に「堀江を売り出すためにイエローキャブを創った」と言わしめるほどの存在だった。グラビアで人気を獲得した堀江は徐々にバラエティー番組やドラマ、映画へと活動の幅を拡げ、現代においても見られる「グラドル→マルチタレント」という流れの基礎を築いたが、4年後の1988年9月に、胃癌により23歳の若さで急逝。しかし、皮肉にも彼女の死が大きく報じられたことによりグラドルという存在を世に記す第一歩となり、その後野田が手掛けたかとうれいこや細川ふみえも、豊満で肉感的なスタイルを活かしてまずグラビアで人気を博した後、テレビ番組など活動の幅を拡げており、野田率いるイエローキャブはグラビア界で地位を確立した。
1990年代
1990年代に入ると、大手のオスカープロモーションがC.C.ガールズやシェイプUPガールズといった、セクシー路線に徹したアイドルグループを売り出し、こうしたセクシータレント及びグループが多数登場した。しかしながら、この時点でもグラビアアイドルという言葉は浸透しておらず、売り込む対象は一部の男性層に限られており、彼女達は(後年別な意味合いとなる)「セクシータレント」などと呼称をされていた。
1994年、この年にエポックメーキングな登場をしたのが雛形あきこである。2年前に俳優として芸能界デビューしていたがパッとせず、イエローキャブに移籍し水着グラビアを始めるとその素質が一気に開花。俗に「雛ポーズ」と呼ばれる両腕を絞り胸の谷間を強調するポーズで、一世を風靡しこれ以降の水着グラビアに、一定の方向性を示したと言える。
イエローキャブ系の巨乳グラドルが隆盛の中、細身で美乳という新しいタイプのグラドルとして、藤崎奈々子や山川恵里佳らを擁するアバンギャルドが台頭し、彼女らもグラビアでの成功を機にマルチタレントへとステップアップしている。また、この頃から大手プロダクションもグラビアアイドルを手掛けるようになり、ホリプロからは優香がデビュー、デビュー1年後の1998年にゴールデン・アロー賞のグラフ賞を受賞したのを皮切りに、1999年度には最優秀新人賞・放送新人賞を、2000年度にも放送賞を受賞、遂には2002年度に記念表彰のゴールデングラフ賞を受ける快挙を成し遂げて、グラビアアイドルの地位向上に大きく貢献した。
2000年代以降
2000年以降、アイドル系の新しいグッズアイテムとしてトレーディングカードが登場、グラドルの有力商品グッズの1つとして定着していった。
グラビアアイドルのバラエティ番組への本格的進出が顕著になり、特にMEGUMIや若槻千夏をはじめとする「芸人並にしゃべれて面白いリアクションができるグラビアアイドル」の出現がグラビアアイドルの裾野を広げる大きなきっかけとなった。なお、この頃から大抵の番組では俗に「グラビアアイドル枠」と言われるものが設けられ、お笑い芸人達に混じり番組を盛り上げる役としてお茶の間の人気を獲得していく。
しかし2000年代中盤以後、『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)の新規参入や『漫画アクション』(双葉社)『ヤングキング』(少年画報社)の復活といったものはあるものの、グラビア業界の市場規模の拡大については陰りが見え始めた。主な原因として、少子化によるグラビア誌の購買人口の減少や出版不況による紙媒体の衰退が挙げられる。2008年夏には『週刊ヤングサンデー』が『ビッグコミックスピリッツ』に編入される形で休刊され、2010年の始めには『sabra(サブラ)』が紙媒体からWEBサイトへ移行した。更に2010年ごろから、AKB48などのグループ・アイドルやファッション誌のモデルらが雑誌の表紙やグラビアページ、更には先述したバラエティ番組の「グラビアアイドル枠」に登場するようになり、既存グラドルの活躍の場が失われたことも挙げられる[9]。
一方、2016年ごろからは、グラビアアイドルとしてもファッションモデルとしても活躍する人物が「モグラ女子」として注目されるようになった。馬場ふみか、久松郁実、内田理央、大川藍、泉里香、武田玲奈、石川恋、朝比奈彩、松元絵里花、武田あやな、松本愛、大澤玲美らが活躍している[10]。
また、プロアスリートに転向する例もあり、中原未來はガールズケイリン選手への転向を目指し芸能界を引退後、日本競輪学校の入学試験に合格。在学中に競輪選手資格検定にも合格し、2018年7月より本名の日野未来としてガールズケイリンでプロデビューを果たした。プロレスリング転向組も多く2010年代以降、愛川ゆず季、まなせゆうな、万喜なつみ、白川未奈らがいる。
ゴールデン・アロー賞「グラフ賞」
社団法人日本雑誌協会雑誌芸能記者クラブ主催の「ゴールデン・アロー賞」には、日本雑誌写真記者会が選考する「グラフ賞」という賞があり、もともとその年度で最も雑誌のグラビアを飾り話題を提供した被写体が受賞者に選出されるのだが、1998年度(第36回)受賞の優香以降は、グラビアアイドルの登竜門的な賞となっている。
- 1998年度(第36回):優香
- 1999年度(第37回):本上まなみ
- 2000年度(第38回):釈由美子
- 2001年度(第39回):井川遥
- 2002年度(第40回):吉岡美穂
- 2003年度(第41回):井上和香
- 2004年度(第42回):岩佐真悠子
- 2005年度(第43回):安田美沙子
- 2006年度(第44回):ほしのあき
- 2007年度(第45回):南明奈
受賞者は自動的に翌年度の「雑誌愛読月間」[* 8]イメージキャラクターに起用される。いずれもその時代を反映したフォトジェニックであり、受賞者を改めて見ることで一般大衆が求めるグラビアの傾向やその推移が見て取れる。また他のミスコンのように同性の視線を意識してか均整の取れたプロポーションの持ち主が選ばれやすいのが特徴。また受賞者は、ミスマガジンなどのキャンペーンの受賞者であることなどから、実績、活動に対しては非常に厳しい評価がされている。
ゴールデン・アロー賞は第45回を以て終了したが、雑誌愛読月間イメキャラの選出は2013年度まで行われた(2009年度以降は佐々木希、桜庭ななみ、武井咲、剛力彩芽、能年玲奈を起用)。ゴールデン・アロー賞終了後のイメキャラはグラドルから若手女優へとシフトしており、2012年度はグラドル勢で孤軍奮闘していた吉木りさが、2013年度はそのエロティックなキャラクターが広く話題となり女性ファッション誌にも出演機会があった壇蜜が落選している。なおAKB48および姉妹グループのメンバーは、2009年頃より雑誌グラビアを席巻するようになり各メンバーの一般的な知名度も上がっているが、選出者はなかった。
脚注
注釈
^ 悪役も含む。
^ これとは別に、いくつかの声優雑誌では、(特に巻頭特集などで)インタビューページよりもグラビアページの方にページが割かれている傾向が強いことが少なからず存在している。一例として『声優アニメディア』『声優パラダイスR』『B.L.T VOICE GIRLS』などが該当。
^ ただし、藤川は大学時代にタレント活動の経験がある。
^ 1964年創刊、マガジンハウス刊
^ 1966年創刊、集英社刊
^ 講談社のち分社
^ 現、サンズエンタテインメント会長
^ 2000年度までの名称は「雑誌月間」。2014年度以降も企画そのものは継続する。
出典
^ “グラビアアイドルって英語でなんて言うの? - DMM英会話なんてuKnow?” (日本語). DMM英会話なんてuKnow?. http://eikaiwa.dmm.com/uknow/questions/4606/ 2018年6月11日閲覧。
^ “イケメン マップメイト”. プロダクションM.A.P.. 2010年9月14日閲覧。[リンク切れ]
^ “内田真礼:ヤングジャンプの巻頭グラビアに”. まんたんウェブ. 2017年9月17日閲覧。
^ “佐倉綾音:人気声優が「マガジン」初表紙 京都で“和”グラビア”. まんたんウェブ. 2017年9月17日閲覧。
- ^ ab“水瀬いのり&小倉唯:「マガジンポケット」でグラビア公開 オフショットも”. まんたんウェブ. 2017年9月17日閲覧。
^ “斉藤朱夏:「ラブライブ!サンシャイン!!」声優が「ヤンジャン」グラビアに”. まんたんウェブ. 2017年9月17日閲覧。
^ “逢田梨香子:“声優界最高の美女”が再び「ヤンジャン」表紙に はじける素肌!”. まんたんウェブ. 2018年4月30日閲覧。
^ “豊田萌絵:「ユーフォ」声優の写真集が重版 水着も話題で売り切れ店続出”. まんたんウェブ. 2017年9月17日閲覧。
^ 『グラビアアイドル「幻想」論』・双葉新書・織田祐二著
^ SEXY美ボディに男女双方が夢中!馬場ふみか・久松郁実・大川藍…“モグラ女子”の勢いがスゴい
関連項目
関連項目が多すぎます。関連の深い項目だけに絞ってください。必要ならば一覧記事として独立させることも検討してください。(2018年10月) |
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- 手ブラ
- バラエティーアイドル
お菓子系アイドル - お菓子系アイドル一覧
ジュニアアイドル一覧 - 過去のジュニアアイドル一覧
- グラビアアイドル一覧
- 水着キャンペーンガール
- レースクイーン
グラビアページを掲載している主な媒体
秋田書店 - 週刊少年チャンピオン・ヤングチャンピオン・ヤングチャンピオン烈
学研パブリッシング - BOMB
コアマガジン - ブブカ (雑誌)
講談社 - 週刊少年マガジン・週刊ヤングマガジン・月刊ヤングマガジン・フライデー (雑誌)・週刊現代
光文社 - FLASH (写真週刊誌)
集英社 - 週刊プレイボーイ・週刊ヤングジャンプ
小学館 - ビッグコミックスピリッツ・週刊ポスト・週刊少年サンデー・週刊ヤングサンデー(2008年7月休刊)・サブラ(2010年1月休刊)
少年画報社 - ヤングキング ※一時期掲載無し
新潮社 - 「月刊」シリーズ(-2010年)
スクウェア・エニックス - ヤングガンガン
竹書房 - 月刊キスカ
東京ニュース通信社 - B.L.T.
徳間書店 - アサヒ芸能
日本ジャーナル出版 - 週刊実話
白泉社 - ヤングアニマル・ヤングアニマル嵐
扶桑社 - SPA!
双葉社 - 週刊大衆・EX大衆・漫画アクション
文藝春秋 - 週刊文春(「原色美女図鑑」)
ワニブックス - UP to boy
グラビアアイドル関連のプロジェクト・コンテスト
ミス・アップ(ワニブックス『UP to boy』、1986年-)※一時期中断
ミスiD(講談社、2013年-)
ミスマガジン(講談社『週刊少年マガジン』『週刊ヤングマガジン』合同、2001年-2011年)
サキドルエースSURVIVAL(週刊ヤングジャンプ、2012年-)
ゲンセキ (グラビア)(週刊ヤングジャンプ、2015年-2017年)
グラビアJAPAN(集英社『週刊プレイボーイ』・『週刊ヤングジャンプ』合同、2009年-2011年)
全国女子高生制服コレクション(週刊ヤングジャンプ、1992年-2008年、2014年、2018年)
ミス週プレ(週刊プレイボーイ、2005年-2006年)
ミスアクション(漫画アクション、1987年-)※一時期中断
ミスFLASH(FLASH、2006年-)※2010年は開催無し
ミスヤングチャンピオン(ヤングチャンピオン、2010年-)
乙女学院(小学館、2008年-)
YS乙女学院(週刊ヤングサンデー、2004年-2008年)※コンテストとしては2006年-2008年
日テレジェニック(日本テレビ、1998年-2015年)
フジテレビビジュアルクイーン(フジテレビ、1992年-2002年)
テレ朝エンジェルアイ(テレビ朝日、2001年-2004年)
ファイブスターガール(ポニーキャニオン、1997年-2006年)
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