起訴
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
起訴(きそ)は、刑事訴訟における検察官による「公訴の提起」を指して用いられることが多いが、民事訴訟における原告による「訴えの提起」を指す場合もある(使用例・「二重起訴の禁止」など)。
目次
1 訴えの提起(民事訴訟法)
2 公訴の提起(刑事訴訟法)
2.1 在宅起訴
2.2 不起訴処分
3 関連用語
4 外部リンク
訴えの提起(民事訴訟法)
訴えの提起は、原告(原告訴訟代理人)が裁判所に訴状を提出して行う。訴えが裁判所に提起されると、被告への訴状の送達がなされ、その時点で訴訟が係属する。
対義語は「訴えの取下げ」である。
公訴の提起(刑事訴訟法)
詳しくは、「公訴」を参照のこと。
在宅起訴
在宅起訴(ざいたくきそ)とは、刑事訴訟法の被疑者が刑事施設に勾留(未決拘禁)されていない状態で起訴がなされることを言う。略式手続や、被告人が勾留されないまま公訴を提起された場合などに在宅起訴となる。
不起訴処分
刑事訴訟法248条により検察官は、事件について公訴を提起しないことができる。これを不起訴処分と言うが、この処分における裁定についての区分は事件事務規程75条2項に記載されており、以下の様になっている。
- (1) 被疑者死亡
- 被疑者が死亡したとき。
- (2) 法人等消滅
- 被疑者である法人又は処罰の対象となるべき団体等が消滅したとき。
- (3) 裁判権なし
- 被疑事件が我が国の裁判管轄に属しないとき。
- (4) 第1次裁判権なし・不行使
- 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号),日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書(昭和28年条約第28号)若しくは日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(昭和29年条約第12号)に基づき,我が国に第1次裁判権がないとき,又は前3号若しくは次号から第20号までのいずれかに該当する場合を除き我が国が第1次裁判権を行使しないとき(第1次裁判権を放棄したときを含む。)。
- (5) 親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し
- 親告罪又は告発若しくは請求をまって論ずべき罪につき,告訴,告発若しくは請求がなかったとき,無効であったとき又は取り消されたとき。
- (6) 通告欠如
- 道路交通法(昭和35年法律第105号)第130条の規定により公訴を提起することができないとき,又は同条の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
- (7) 反則金納付済み
- 道路交通法第128条第2項の規定により公訴を提起することができないとき又は同項(第130条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
- (8) 確定判決あり
- 同一事実につき既に既判力のある判決があるとき。
- (9) 保護処分済み
- 同一事実につき既に少年法第24条第1項の保護処分がなされているとき。
- (10) 起訴済み
- 同一事実につき既に公訴が提起されているとき(公訴の取消しがなされている場合を含む。)。ただし,第8号に該当する場合を除く。
- (11) 刑の廃止
- 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
- (12) 大赦
- 被疑事実が大赦に係る罪であるとき。
- (13) 時効完成
- 公訴の時効が完成したとき。
- (14) 刑事未成年
- 被疑者が犯罪時14歳に満たないとき。
- (15) 心神喪失
- 被疑者が犯罪時心神喪失であったとき。
- (16) 罪とならず
- 被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき,又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なとき。ただし,前2号に該当する場合を除く。
- (17) 嫌疑なし
- 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
- (18) 嫌疑不十分
- 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
- (19) 刑の免除
- 被疑事実が明白な場合において,法律上刑が免除されるべきとき。
- (20) 起訴猶予
- 被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
関連用語
- 略式手続
- 即決裁判手続
- 起訴猶予処分
- 付審判制度
- 検察審査会
外部リンク
- 検察庁
- 刑事事件の手続きの流れ