光波ホーミング誘導





ミサイルの誘導方式 > 光波ホーミング誘導

本項では、光波を媒体としたホーミング誘導について述べる[1]




目次






  • 1 概要


  • 2 パッシブ方式


    • 2.1 赤外線誘導


      • 2.1.1 目標の特性


      • 2.1.2 検知器の世代


      • 2.1.3 走査パターンと変調


        • 2.1.3.1 直線走査式


        • 2.1.3.2 回転走査式


          • 2.1.3.2.1 ハンブルクシステム


          • 2.1.3.2.2 コニカルスキャン


          • 2.1.3.2.3 十字配列探知器




        • 2.1.3.3 ロゼッタ探知器






    • 2.2 画像誘導




  • 3 セミアクティブ方式


    • 3.1 セミアクティブ・レーザー・ホーミング




  • 4 対抗策


  • 5 歴史


  • 6 主な赤外線誘導弾


    • 6.1 空対地誘導弾


    • 6.2 空対空誘導弾


    • 6.3 携帯型地対空誘導弾




  • 7 脚注


    • 7.1 注釈


    • 7.2 出典




  • 8 参考文献





概要


目標から返ってくる光波をシーカーで検知し、その方向に操舵することで、目標を捉える方式である。操舵においては、ほとんどが比例航法(PN)あるいは増強比例航法(APN)を採用している。


電磁波のなかでも、光波は電波(特にマイクロ波)と比して、より小さな装置で運用できる一方、周波数としての特性上から大気圏内の透過性が低く、従って目標を探知できる距離がより短いという欠点がある。このことから、光波ホーミング誘導方式の兵器は、電波ホーミング誘導よりも短い射程で、より軽便なものとして運用される傾向にある。また検知が困難という特性もあり、短距離での交戦には有効でアメリカ軍の過去25年間の被撃墜の90%は赤外線誘導ミサイルによる撃墜とされる[2]



パッシブ方式



赤外線誘導


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K-13空対空ミサイルのシーカー部。第1世代のIRH誘導システムである。




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IRIS-T空対空ミサイルのシーカー部。第4世代のIRH誘導システムである。



赤外線誘導(英語: Infrared homing guidance, IRH誘導)は、目標が発する赤外線(InfraRed, IR)を赤外線センサによって捉え、目標を追尾して命中させる誘導方式[3]


発射後の誘導プロセスがミサイル内で完結するためにファイア・アンド・フォーゲット能力を備えており、誘導装置が比較的小型・軽量であることからミサイルの小型化も可能で、誘導プロセスが簡略であるため母機のレーダーが貧弱でも問題なかった。目標が大きな熱源となるエンジンを持つ対空ミサイルで主用されている。また、検知波長の変化や誘導システムの進歩に伴い、対艦ミサイルや対戦車ミサイルへの採用例も出始めている[1]


赤外線は、周波数の特性上、電波よりも大気圏内での透過性が低い。このことから、旧西側諸国においては、視程外射程のAAMにはレーダー誘導を、視程内射程のミサイルにはIRH誘導を採用していることが多い。一方、旧東側諸国においては、標的の回避を困難にして命中確率を向上させるために、レーダー誘導と赤外線誘導の2種のミサイルを同時に発射する戦法をとることから、視程外射程のAAMにもIRH誘導を採用している場合がある[4]


赤外線シーカーはレーダーとは異なり受動的な装置であるのでロックオンされても気付くのが困難で射程は視認できる範囲内で射程距離が短いという短所があるものの、過去25年間のアメリカ軍の被撃墜の90%は赤外線誘導ミサイルによるものである[5]。熱追尾ミサイルの先端またはヘッド上の赤外線センサーパッケージは、シーカーヘッドとして知られている。空対空赤外線誘導ミサイル発射のためのNATOの略式コードはFox Twoである[6]



目標の特性


黒体からの輻射のピークの波長が温度に反比例するという法則(ウィーンの変位則)があることから、目標から放射される赤外線の周波数は、その温度に規定される[7]




車両・艦艇

数度程度高い車体/船体と、やや高温の機関部から構成されており、約10µmをピークとする放射がある。アスペクト角によって放射強度が大きく変化するほか、特に長距離での捕捉においては地球の曲率の影響を強く受ける[1]

背景は地表、海面等から構成されており、コントラストが比較的小さく、クラッターの影響が大きい[1]


航空機・巡航ミサイル

航空機では、多くの場合、機体の後部において高温のジェットエンジンやその排気による放射が、また前縁を中心に機体全体において空力加熱(空気に機体がぶつかることで断熱圧縮される)による放射がある。

  • 排気によるもの: 機体後部の排気口の3マイクロメートル(µm)程度をピークとして、後方に排出されるジェット排気(プルーム)においては、加熱された二酸化炭素ガスを中心として、5µm程度までの赤外線が放射される。

  • 空力加熱によるもの: ほぼ10µm帯(波長8〜12µm)に相当する。



背景は空や雲、地平線/水平線などにより構成されており、比較的大きなコントラストがある。

弾道ミサイル


大気圏再突入時、再突入体は極超音速(IRBMでも秒速2km程度、ICBMであれば秒速約7km程度)となることから、空力加熱により数千度以上に加熱され、短い波長の放射を多く出す。



検知器の世代


IRH誘導システムは、技術進歩に伴い、下記のように発展してきた。



第1世代

もっとも初期のIRH誘導システムは、硫化鉛(PbS)焦電素子による、非冷却型の赤外線センサを採用していた。検知波長はおおむね1〜3マイクロメートル(µm)の近・短波長赤外(N/SWIR)帯域であり、これは、ジェット排気口の赤外線放射帯域におおむね相当する。このため、第1世代IRH誘導システムは空対空射撃時、それもジェット排気口そのものを視界に捉えることができる後方象限からしか目標を捕捉することができなかった。また、その捕捉は非常に不安定なものであり、目標が機動していた場合、比較的容易に捕捉が解除されてしまった。

このため、後には、熱雑音を低減して感度を向上させるため、センサーを冷却する措置が導入されるようになった。ただしそれでも、攻撃のためには後方象限に位置している必要があった[7]。冷却システムとしては、小型ミサイルではジュール=トムソン効果を利用したものが主流だが、大型ミサイルでは冷媒を循環させるクローズドサイクル式が採用されることもある[1]

第2世代

硫化鉛(PbS)焦電素子に続いて実用化されたのが、アンチモン化インジウム(InSb)やセレン化鉛フォトダイオードなどを受光素子とした量子型(冷却型)赤外線センサであった。この赤外線センサは、PbSによるものより波長が長い中波長赤外(MWIR)帯域を検知することができた[1][7]

これによって、排気口そのものではなく、ここから排出されたプルームの探知が可能となった。プルームへの探知はアスペクト依存性が大きいとはいえ、機体のほぼ全周に渡って捕捉でき、全方位交戦能力を実現できた[7]。また、フレアへの耐性も優れていた[1]

また続いて実用化されたテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)を用いた赤外線センサであれば、中波長赤外線に加えて、長波長赤外線にも対応できた。この2波長センサは空気力学的に加熱された航空機外板や常温の目標を追尾できたほか、赤外線妨害技術への抗堪性向上(IRCCM能力の増強)効果もあった[7]

第3世代

1980年代より、集積回路とマイクロプロセッサの技術進歩による赤外線センサの多素子化によって、赤外線画像(Imaging InfraRed, IIR)誘導システムが出現しはじめた。画像認識技術の導入により、IRCCM能力は飛躍的に向上し、誘導精度も向上した。また上記の通り、常温目標にも対応できる赤外線センサが登場したこともあり、対空以外にも、対艦・対地・対戦車などへの応用も広がった[1]

この時期には、オフボアサイト射撃能力も重視されるようになった。オフボアサイトとは正面から大きく逸れた位置に存在する敵性機に対し、照準もしくは攻撃を行う事で、ミサイルシーカー探知角度の拡大や中間誘導の導入による発射後に目標を捕捉する(LOAL)の実現によりこれを可能とした。オフボアサイト射撃能力を十分に発揮するためには、機体側にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装備するなど、アビオニクスの変更が必要となる。近年は冷却の不要な非冷却式赤外線撮像素子を備えた機種が開発、運用されつつある。



走査パターンと変調


初期の探知器の撮像素子は指向性が殆んどなく、おそらく100°以上の広い視野からの光を受け入れていた。その視野内のどこかに位置する標的は同じ出力信号を作り出した。弾頭の効果のある範囲内に標的に接近する事が探知器の目的なので探知器は視野をより小さい角度内に狭めるための装置を要する。これは通常、ある種の望遠鏡の焦点に撮像素子を置くことによって達成される。これは相反するため矛盾を抱えることに繋がる。視野が狭ければより正確になり、追尾を改善するための背景雑音の除去に役立つものの、視野が狭くなりすぎると標的が視野外に出てしまって見失う可能性がある。命中半径への誘導に効果があるためにはおそらく1°の追尾確度が理想的であるが、標的を継続的に追尾するためには10°以上の視野が望ましい。
この状況は容易な追尾を志向するために比較的広視野の使用と受信信号を何らかの方法で処理して誘導の精度の向上を得る複数の設計の使用をもたらす。一般的に探知装置全体は広視野で標的を追尾できるジンバル上に設置され、探知器とミサイルの機体との間の角度が誘導補正のために使用される。これは撮像素子が見る角度である瞬間視野(IFOV)、および全体の視野(オフボアサイト能力として知られる)の概念をもたらし、探知器全体の動きを含む。探知器は即座に動けないのでミサイルの飛行方向を横切って急速に移動する標的はIFOVから外れる可能性があり、それは通常、秒毎の角度で示される。



直線走査式

いくつかの初期のドイツの探知器では垂直と水平のスリットが検出器の前で動くことで走査する直線走査が使用された。スリットの幅は大きすぎても小さすぎても駄目なので直線走査式には固有の精度限界があり、さらに、二重往復運動は複雑で機械的に信頼性が低く、一般に2つの別々の検出器を使用しなければならない。



回転走査式

最も最初期に使用された探知器は回転走査チョッパー或いはレティクル探知器と呼ばれた。これらは赤外線検出器の前に走査パターンに応じて模様が描かれた透明な板を一定の回転数で回転することにより標的の像を周期的に遮断した。信号の変動と回転角を参照して信号の変動が最小になる(ミサイルの進行方向の中心に標的が位置する)ように操舵する[8]



ハンブルクシステム

ハンブルクシステムだ第二次世界大戦中に開発された簡略化された装置で回転する円盤の半分は黒く塗られ、残り半分は透明だった。検出器から見て時計回りに回転すると標的からの熱線を受け取った検出器によって正弦波の信号が生成され、視野の周縁部程、信号が強くなるためPID制御で円盤の角度を参照して操舵する。後にこの概念は発展してサイドワインダーミサイルの原型になった。



コニカルスキャン

回転走査式の概念はコニカルスキャンで大きく向上した。この配置は固定されたレティクルが検出素子の前にあり、小型のカセグレン式反射望遠鏡が焦点面に位置する。望遠鏡の副鏡は軸外し光学系で回転する。これによりレティクルそのものを回転するよりもレティクルの周囲を回転する標的の像が向上した[9]


探知器の反射鏡は5°傾斜していてミサイルはミサイルの正面に位置するように標的を追尾する。反射鏡の回転で標的の像は反対方向に反射されるのでこの場合には像はレティクルの中心部から5°ずれた位置に移動する。そのため標的を中心部に捕捉しても生成される信号はレティクル上を横切る。同時に回転走査式では中心部での連続した出力は0である。



十字配列探知器

十字配列探知器はレティクルの動きを模して物理的な検出器の配置を工夫したものである。旧式の光電素子は通常は円形であるが、製造技術の発展により如何なる形状にも加工出来るようになった。十字配列システムでは通常は4個の長方形の検出器が十字型に配置される。走査は概念的にはコニカルスキャンで標的の画像が回転中にそれぞれの検出器を横切る[10]


標的が視野の中央部に位置する場合には標的の画像は検出器の周囲を一周して同じ相対点でそれらを横切る。これにより、各検出素子からの信号は特定の時点で同一のパルスになる。ただし、標的が中央に位置していない場合には、前と同様に画像の通過が相殺される。この場合、分離された検出器間の距離は、信号の再現の間の遅延を変化させ、中心線からより遠い画像についてはより長く、そしてより近い場合はより短くなる。反射鏡に接続された回路は、コニカルスキャンの場合のように、制御のためにこの推定信号を生成する。検出器からの信号を制御信号と比較して必要な補正が行われる[10]



ロゼッタ探知器

ロゼッタ探知器pseudoimagerとしても知られコニカルスキャンと似ているがバラ曲線を描くために反射鏡またはプリズムが追加される[11]。固定角のコニカルスキャンと比較してロゼッタパターンはより高角度で走査するための像が向上する。



画像誘導


画像(英語: electro-optical, TV)誘導とは、ミサイル先端に搭載されたビデオカメラで終末誘導を行う誘導方式である。
撮像素子として電荷結合素子(CCD)のような二次元アレイを使用することで命中精度が高くなり、デコイを識別できるようになるが、信号処理量が大幅に増える。先進的な画像処理技術を導入することにより標的の形状の識別が可能になり、より優先順位の高い標的や脆弱な箇所を選択して命中することも可能になる。近年のAIM-9X、ASRAAM、04式空対空誘導弾、IRIS-T、中国のPL-10 SRAAMやイスラエルのPython-5では装備している。


画像誘導は、



  • 命中精度がCEP3~6mと高い

  • GPSと違って移動目標にも使える

  • レーザー誘導と違って母機は発射後に現場を離脱できる

  • 対艦・対地の2つの場面で使用できる

  • 命中の瞬間を画像で確認できるので戦果確認の手間を省ける

  • レーダー誘導よりも電波妨害に強い


などの長所を持つ。一方で、



  • GPSと違いロックに手数がかかり多数の同時発射に向かない

  • GPS・レーザー誘導より高価である

  • 視野が狭くレーダー式より中間誘導に精度が求められる

  • 超音速ミサイルには使いにくい


などの短所を持つ。


また可視光・赤外線のいずれであれ、画像認識誘導では、単に目標に命中させるというだけでなく、着弾位置の指定が可能となりうるというメリットがある。これは、例えば対艦攻撃に使用した場合は敵艦の舵機室などを攻撃したり、航空阻止攻撃においては橋の任意の場所を爆破することにより、効果的に無力化しうるということを意味する。


AGM-62 ウォールアイのような初期の機種は、センサーこそ可視光画像方式であったとはいえ、誘導には手動指令が必要であった。その後、一旦画像内の目標像を人間が指示すればコンピューターが画像認識してロックし、以後、目標と背景をコンピューターが自動的に識別して目標を自律追尾する画像認識誘導へと改良された。これによって母機は発射後にすぐ離脱可能になった。また当初は、母機が発射前に目標に接近してロックオン作業をする必要があったが、その後、母機が目標に接近せずにロックできるようになった。この場合、ロックせずに発射したミサイルが、GPSやINSによる中間誘導で目標に近づき、目標付近で光学センサーを起動、画像を無線で後方の母機へ伝送し、遠隔操作でロックオン作業を行うことになる。この種の方式を採用した機種としては、西側ではSLAMがもっとも初期のものであるが、その後実用化されたタクティカル・トマホークでは、画像情報の伝送経路として衛星データリンクを使用することにより、発射母体とミサイルとの距離が1,000km以上離れていても、遠隔操作による目標捕捉が可能となっている。



セミアクティブ方式



セミアクティブ・レーザー・ホーミング



セミアクティブ・レーザー・ホーミング(英語: Semi-Active Laser Homing, SALH)は、発射母体(あるいは他の照射機)のレーザー目標指示装置から目標に対してレーザー光を照射し、目標からの反射光をミサイルのシーカーで捉えることで、その方向へミサイルを誘導する方式である。


光波を使用して弾体を誘導するという概念はアメリカ合衆国特許第2,015,670号アメリカ合衆国特許第2,309,329号のように1930年代から既に存在していたが、初期の研究はおおむね赤外線ホーミング誘導に注力していた。1950年代にベル研究所でレーザーが開発された事により、実現性が高まった。1962年よりアメリカ陸軍レッドストーン兵器廠においてレーザー誘導技術の開発が開始されており[12]、この研究は、後にアメリカ空軍に移管され、1967年には航空システム部(Aeronautical Systems Division)において、ペイヴウェイ計画(Project Paveway)としてレーザー誘導爆弾の開発へと繋がっていった[12]。アメリカ軍においては、第二次世界大戦時より無線誘導爆弾を使用していたが、レーザー誘導爆弾は命中精度及び信頼性が高く、水平飛行のみならず降下中からの投下も可能であるなど、柔軟度が高い利点があった[12]。1968年には、量産発注が行われている[12]


レーザー誘導方式は、ミサイルの誘導方式としては比較的古典的なものであるが、初期においては、指令誘導の一種である半自動指令照準線一致誘導方式(SACLOS)などのビームライディング方式(LOSBR)が採用されているものが多かった。しかしこの場合、指令誘導という原理上、射程が長くなるのに伴って誘導誤差が増加し、特に移動目標に対する射撃精度において問題があった。これに対し、SALH方式は、比例航法(PN)ないし増強比例航法(APN)によるホーミング誘導であるため、ミサイルが目標に近接すればするほど誘導精度が向上するという長所があるが、一方で、操舵のための演算はミサイル側で行なうことから、技術的にはより高度で、高価となる欠点もある。


なお、LOSBR方式と同様に、SALH方式においても、照射機はレーザー誘導兵器が命中するまでレーザーの照射を続ける必要がある。これは電波ホーミング誘導におけるセミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)方式とも通底する問題である。このことから、発射母体の生残性を向上させるため、発射母体とは別に、レーザー照射機を無人航空機に搭載したり、あるいは地上の特殊部隊に配備する場合もある。


命中するまで常にピンポイントで照射し続けなければならないので高速で移動する目標や濃霧や豪雨のような悪天候下で視界が悪い場合には適さない。



対抗策


パッシブ式、セミアクティブ式共にフレアやAN/ALQ-144(英語版)汎用赤外線妨害計画(英語版)の一環としてDirectional Infrared Counter Measures(英語版)や民間航空機用では民間航空機ミサイル防衛システム(英語版)フライトガード(英語版)Northrop Grumman Guardian(英語版)のような光波妨害技術によって無力化が可能。



歴史


赤外線誘導の歴史は事実上第二次世界大戦前にまで遡る。最初の赤外線装置の実験は第二次世界大戦前に実施され、第二次世界大戦中にドイツの技術者達は熱線追尾と近接信管のミサイルの開発を進めていたものの、間に合わなかった。同時期に日本ではケ号爆弾が開発されていた。これは撃ち放し式の誘導弾としては最初期の機種で実践には投入されなかったが足跡を残した。真の実用的な設計はコニカルスキャンの導入と真空管の小型化を待たなければならなかった。対航空機用の赤外線システムは1940年代末に着手されたものの、電子機器の性能が追い付いていなかった事と、ロケットの分野全体が非常に新しいため、実用化されたのは1950年代半ばだった。これらの初期の機種は大きな限界があり、1960年代の戦闘では非常に低い成功率だった。1970年代から80年代に開発された機種は長足の進歩を遂げ、撃墜率は大幅に向上した。1990年代以降の最新の機種では、視野外射程能力を備えた機種や地上の車両を対象にする機種もある。



主な赤外線誘導弾



空対地誘導弾


  • ケ号爆弾


空対空誘導弾



  • AIM-4C/D (GAR-2A/B)

  • ファイアストリーク

  • サイドワインダー

  • R-60



携帯型地対空誘導弾



  • FIM-43

  • 9K32

  • 9K34

  • 9K38 イグラ

  • スティンガーミサイル

  • HN-5

  • 9K38 イグラ

  • 91式携帯地対空誘導弾

  • ミストラル

  • HN-6



脚注


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注釈





出典




  1. ^ abcdefgh防衛技術ジャーナル編集部 2006, pp. 23-55.


  2. ^ Large Aircraft Infrared Countermeasures-LAIRCM 


  3. ^ 防衛省 1971, p. 46.


  4. ^ ガンストン & スピック 1985, pp. 19-28.


  5. ^ Turpin, Lauri (2009年2月5日). “Large Aircraft Infrared Countermeasures-LAIRCM”. 440th Airlift Wing, USAF. 2019年1月9日閲覧。


  6. ^ MULTISERVICE AIR-AIR, AIR-SURFACE, SURFACE-AIR BREVITY CODES, Air Land Sea Application (ALSA) Center, (1997), pp. 6, オリジナルの2012-02-09時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20120209014757/http://www.dtic.mil/doctrine/jel/service_pubs/lbrevity.pdf 2008年2月23日閲覧。 

  7. ^ abcdeアダミー 2018, pp. 368-411.


  8. ^ Deuerle 2003, pp. 2401-2403.


  9. ^ Deuerle 2003, pp. 2404-2405.

  10. ^ abDeuerle 2003, p. 2407.


  11. ^ Strickland, Jeffrey (2012). Missile Flight Simulation. Lulu. pp. 21–22. 

  12. ^ abcdPeter deleon (1974年). “THE LASER-GUIDED BOMB: CASE HISTORY OF A DEVELOPMENT”. UNITED STATES AIR FORCE PROJECT RAND. 2016年8月6日閲覧。




参考文献



  • 防衛技術ジャーナル編集部 「第6章 搭載電子機器技術」『兵器と防衛技術シリーズ1 航空機技術のすべて』 防衛技術協会、2005年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
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  • 防衛技術ジャーナル編集部 「第2章 光波ホーミング誘導」『兵器と防衛技術シリーズ3 ミサイル技術のすべて』 防衛技術協会、2006年、23-55頁。
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  • ガンストン, B、スピック, M 『図解 現代の航空戦―エア・パワー最前線』 原書房、1985年。
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  • 防衛省 (1971年). “防衛省規格 弾薬用語 (PDF)”. 2018年7月8日閲覧。

  • アダミー, デビッド 『電子戦の技術 拡充編』 東京電機大学出版局、2014年。
    ISBN 978-4501330309。

  • アダミー, デビッド 『電子戦の技術 新世代脅威編』 東京電機大学出版局、2018年。
    ISBN 978-4501332907。




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