増殖 (YMOのアルバム)
『増殖』 | ||||
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YMO の EP | ||||
リリース | 1980年6月5日 | |||
録音 | 1980年 STUDIO "A" THE STUDIO DOO WAP | |||
ジャンル | テクノポップ ニュー・ウェイヴ | |||
時間 | 29分19秒 | |||
レーベル | アルファレコード | |||
プロデュース | 細野晴臣 | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
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チャート最高順位 | ||||
YMO 年表 | ||||
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『増殖』収録のシングル | ||||
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増殖 - X∞Multiplies (Alfa YMO1) は、YMOの4作目のアルバム。
目次
1 背景
2 リリース
3 アートワーク
4 ツアー
5 収録曲
6 曲解説
6.1 A面
6.2 B面
7 スタッフ・クレジット
7.1 参加ミュージシャン
7.2 スタッフ
8 リリース履歴
9 脚注
背景
前作『パブリック・プレッシャー』の成功に気を良くしたアルファレコードは、同様のライヴ盤のリリースを要請したが、メンバーはそれを拒否し、代案として本作のリリースを提案した。
高橋幸宏は本アルバムは「ボーカルもの」をやりたいという明確なイメージを作成前に持っていた。さらに、当時好んで聴いていたラジオ番組『スネークマンショー』を細野晴臣に聴かせたところ、細野も気に入り、曲の間にコントを挟むギャグ・アルバムを作ることを細野が決めた。[2]
多くの曲を作成する時間もないことから10インチのミニアルバムとなった。[2]
収録されたスネークマンショーによるコントは1976年から1980年にかけて放送されたラジオ番組『スネークマンショー』からのものや、同番組に出演していた伊武雅刀、小林克也、桑原茂一らとYMOのメンバー等によるものであった。収録されたコントは同番組で放送されたものだが、すべてこのアルバム用に録りなおしている。
リリース
1980年6月5日にアルファレコードからリリースされた。
当初は10万枚限定盤の予定であったが、20万枚以上の予約が入ったため通常生産盤としてリリースされ、アルバムは特殊段ボールケースにセットして販売された(通常の12インチアルバムとサイズを合わせるため)。レコード番号は「YMO-1」であるが、バンドの名称が番号に採用されるのは異例なことであった。
YMOの結成20周年企画盤として、スネークマン・ショーの桑原茂一プロデュースにより、CD版の装丁などを『増殖』そっくりに真似た『増長』がリリースされた(1998年)。収録された楽曲や曲順はほぼそのままで、コント部分を爆笑問題と長井秀和が全く内容を変えて演じている。
アートワーク
ジャケットで使われたYMOメンバー3人の人形は、当時3人がテレビCMで出演していたフジカセットの新聞広告で使われていたものであった。
材質は前面の数体がFRP製[3]で、それ以外はFRPの個体から複製した塩化ビニール製である。また、2008年に復刻されて市販されている。
ツアー
本作のリリース後にはツアーは行われなかったが、リリース前の1980年3月21日から5月7日にかけて行われた国内ツアーのテクノポリス2000-20で収録曲である「ナイス・エイジ」と「シチズンズ・オブ・サイエンス」が演奏されている。そして1980年10月11日のニューシアター(オックスフォード)を皮切りにワールドツアー「YELLOW MAGIC ORCHSTRA WORLD TOUR '80』が行われている。
収録曲
全編曲: イエロー・マジック・オーケストラ。 | ||||
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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1. | 「ジングル“Y.M.O.”」(JINGLE "Y.M.O.") | イエロー・マジック・オーケストラ | 0:20 | |
2. | 「ナイス・エイジ」(NICE AGE) | クリス・モスデル | 高橋ユキヒロ、坂本龍一 | 3:46 |
3. | 「スネークマン・ショー」(SNAKEMAN SHOW) | 1:56 | ||
4. | 「タイトゥン・アップ」(TIGHTEN UP (Japanese Gentleman Stand Up Please!)) | Billy Buttier | Archie Bell | 3:41 |
5. | 「スネークマン・ショー」(SNAKEMAN SHOW) | 2:05 | ||
6. | 「ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン」(HERE WE GO AGAIN ~ TIGHTEN UP) | 1:07 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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7. | 「スネークマン・ショー」(SNAKEMAN SHOW) | 1:26 | ||
8. | 「シチズンズ・オブ・サイエンス」(CITIZENS OF SCIENCE) | クリス・モスデル | 坂本龍一 | 4:29 |
9. | 「スネークマン・ショー」(SNAKEMAN SHOW) | 2:08 | ||
10. | 「マルティプライズ」(MULTIPLIES) | エルマー・バーンスタイン、イエロー・マジック・オーケストラ | 2:56 | |
11. | 「スネークマン・ショー」(SNAKEMAN SHOW) | 3:45 | ||
12. | 「ジ・エンド・オブ・エイジア」(THE END OF ASIA) | 坂本龍一 | 1:32 | |
合計時間: | 29:19 |
曲解説
A面
ジングル“Y.M.O.” - JINGLE "Y.M.O."
- ラジオ番組のジングルを模した曲で、小林がラジオDJ風のトークを聞かせた後、次の曲に切れ目なしに続く。ドラムはモーグIII、ベースと「パン!」となるパーカッションはプロフェット5を使用している。坂本龍一は単にジングルということで、職業作家みたいなノリで書いたものとコメントしている[2]。1999年リリースの細野晴臣監修のベストアルバム『YMO GO HOME!』ではディスク1冒頭で単独で使用され、2003年にリリースされた坂本龍一監修のベストアルバム『UC YMO』ではこのつなぎをそのまま再現している。
ナイス・エイジ - NICE AGE
- アルバム作成前にA&Mレコードからの依頼でアメリカ用シングルとして「シチズンズ・オブ・サイエンス」と共にレコーディングされた(ただし、アメリカのマーケティングにそぐわないという理由でリリースはされていない)[2]。曲中でニュース速報を読んでいるのは元サディスティック・ミカ・バンドのボーカリスト福井ミカである。本作の録音当時、イエロー・マジック・オーケストラはポール・マッカートニーとのセッションを予定していたが[4]、来日したポールが大麻不法所持によって逮捕勾留されたため、セッションが不可能となってしまった。その時のポールの妻リンダのメッセージが曲中のニュース速報である。速報中で読み上げられる「22番」とはポールの拘置所内での番号であり、同じく「Coming Up Like A Flower」は同じ年の4月に発売されるポールのシングル「カミング・アップ」で歌われるフレーズである。シングル『タイトゥン・アップ』のB面にも納められている。イントロ部分は『どちら様も!!笑ってヨロシク』スペシャルゲストクイズの衝立登場時に使用されている。
スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
- スネークマン・ショーでのコント名「KDD」。「ミスター大平」とは大平正芳のパロディーであり、大平が会社名の「KDD」を言いにくそうにしているのはKDD事件のパロディーである。
タイトゥン・アップ - TIGHTEN UP (Japanese Gentlemen Stand Up Please!)
- 詳細は「タイトゥン・アップ」を参照。
スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
- スネークマン・ショーでのコント名「ミスター大平」。コント「KDD」の続きで、大平が英語があまり話せなかったことを利用し、日本人を冒涜するという内容。
ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン - HERE WE GO AGAIN ~ TIGHTEN UP
B面
スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
- スネークマン・ショーでのコント名「ここは警察じゃないよ」。麻薬中毒者と逮捕しに来た警官のやり取りである。アメリカのコメディアン、チーチ&チョンの作品に直接的なインスパイアを受けて作られている。桑原はスネークマン・ショーで麻薬撲滅キャンペーンを行っており、このコントは麻薬の醜さを表現するために幾つか作られたコント(中には前述のポール・マッカートニー逮捕を題材にした「ポールマッカートニー取調室」が存在する)のうちの1つである。ちなみに姉妹編に「エディはここにいないよ」が存在する。
シチズンズ・オブ・サイエンス - CITIZENS OF SCIENCE
- 「ナイス・エイジ」と共にアメリカ用シングルとしてレコーディングされた。途中にクリス・モスデルが歌っている部分(というより台詞)がある。ライヴでの同部分は坂本がヴォコーダーを用い担当した。
スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
- スネークマン・ショーでのコント名「林家万平」。林家万平は林家三平のパロディであり、中国公演で通訳を介して落語を行っている設定のコントである。
マルティプライズ - MULTIPLIES
- 当時スペシャルズ等の台頭でムーブメントとなっていたスカを意識した生演奏主体の作品で、本盤および米国発売のベストアルバムのタイトルとなった曲。発売時のクレジットは「作曲:イエロー・マジック・オーケストラ」だったが、冒頭で『荒野の七人』のメロディーを使用したことから問題が生じ(細野は後年「バーンスタインはしっかり者ですから」とのコメントを残している)、現在は作曲者名が変更されている。
スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
- スネークマン・ショーでのコント名「若い山彦」。コントに登場する番組名「若い山彦」は当時のNHK-FMの若者向け音楽番組『若いこだま』のパロディである。コントの中でYMOを褒めるものの相手にされていないのはYMOの3人である。本作は『それいけスネークマン』で1979年4月17日に放送された「続・若い山彦」の改作であり、それはYMOの代わりに井上瑤のグルーピー上がりの女評論家が加わるという内容である。なお、スネークマン・ショーでは「続々・若い山彦」という続編も存在する。
ジ・エンド・オブ・エイジア - THE END OF ASIA
- 元々は坂本のオリジナルアルバム『千のナイフ』の収録曲だが、YMOの初期ライブでも頻繁に演奏されている。このアルバムでのバージョンは非常に日本的なアレンジが施されている。坂本は、東海道五十三次や歌川広重の浮世絵をイメージしていて、初期からやりたかったことだったとコメントしている(このアレンジを「街道もの」と呼んでいる)。途中のヴォイスは伊武雅刀によるもの。三味線の音色はコルグPS-3100、その他はプロフェット5で演奏されている。
スタッフ・クレジット
参加ミュージシャン
- イエロー・マジック・オーケストラ
スネークマンショー
小林克也/コントパート、ボイス(「タイトゥン・アップ」、「ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン」)
伊武雅刀/コントパート、ボイス(「タイトゥン・アップ」、「ジ・エンド・オブ・エイジア」)
桑原茂一/コントパート
クリス・モスデル - ボイス(「シチズンズ・オブ・サイエンス」)
大村憲司 - エレクトリック・ギター(「ジングル"Y.M.O."」及び「ジ・エンド・オブ・エイジア」以外の音楽パート)
サンディー - バック・アップ・ボーカル(「ナイス・エイジ」、「シチズンズ・オブ・サイエンス」)
福井ミカ - ボイス(「ナイス・エイジ」)
松武秀樹 - コンピューター・プログラミング
スタッフ
細野晴臣 - プロデューサー
Y.M.O. - ディレクター、ミックス・エンジニア
桑原茂一 & THE STUDIO DOO WAP - スクリプター
吉沢典夫 - レコーディング・エンジニア
小池光夫 - レコーディング・エンジニア
齊藤篤 - レコーディング・エンジニア
寺田康彦 - レコーディング・エンジニア
田中ミチタカ - レコーディング・エンジニア
小池光夫 - ミックス・エンジニア
市田喜一 (CINQ ART) - 人形造形
高橋ユキヒロ - 人形コスチュームデザイン
鋤田正義 - 写真撮影
上条喬久 - アート・ディレクション
川添象郎 - エグゼクティブ・プロデューサー
リリース履歴
No. | 日付 | 国名 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 最高順位 | 備考 |
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1 | 1980年6月5日 | 日本 | アルファレコード | LP・CT | YMO-1 (LP)・ALC-22001 (CT) | 1位 | LP盤は10インチの特殊形状 |
2 | 1990年2月25日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-12 | ||
3 | 1992年 | オランダ | Roadrunner Records | CD | LS 9149 2 | - | |
4 | 1992年 | アメリカ合衆国 | Restless Records | CD | 7 72708-2 | - | |
5 | 1994年6月29日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-9041 | - | |
6 | 1998年1月15日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-5218 | - | |
7 | 1999年9月22日 | 日本 | 東芝EMI | CD | TOCT-24236 | - | 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:田中知之 |
8 | 2003年1月22日 | 日本 | ソニー・ミュージックハウス | CD | MHCL 207 | 55位 | 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様 |
9 | 2003年 | イギリス、カナダ | エピック・レコード | CD | 513448 2 (UK)・EK 91848 (CA) | - | |
10 | 2010年9月29日 | 日本 | ソニー・ミュージックダイレクト | ブルースペックCD | MHCL-20103 | 195位 | 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD |
脚注
^ 『オリコン・チャートブック LP編 昭和45年 - 平成1年』オリジナル・コンフィデンス、1990年、74頁。ISBN 4871310256。
- ^ abcd『イエロー・マジック・オーケストラ』アスペクト刊、2007年
^ 公開当時は「エクアール樹脂製」と紹介されていた。
^ のちに高橋がラジオ番組で「ポール・マッカートニーとのセッションは予定されていなかった」と発言。[要出典]坂本も「ポールがスタジオA(YMOがレコーディングしていたスタジオ)に見学に来る」と発言している(ただし坂本は2003年発売のUC YMOに収録された同曲の解説において「もしポールが捕まってなければ、アルファスタジオに遊びに来て、YMOとセッションしてたかもしれないんですが…。」とも発言しており、それが実際のことであったのか、坂本の希望であったのか、また後年言われ続けていた事を反映したのかどうかは不明)。
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