五禅支




五禅支(ごぜんし、巴: pañcaṅgika, パンチャンギカ五支)とは、仏教における色界の禅定、すなわち初禅以降の四禅において生じる(残存する)5つの心所の総称。


種類は以下の通り[1]




  • (じん、vitakka, ヴィタッカ) - 認識対象把握


  • (し、vicāra, ヴィチャーラ) - 認識対象維持


  • (き、pīti, ピーティ) - 喜悦


  • (らく、sukha, スカ) - 安楽


  • 一境性(いっきょうしょう、ekaggatā, エーカッガター) - 集中



禅定(四禅)との関係


五禅支の内の「一境性」が、禅定(四禅)における集中が深まった状態としての三昧(samādhi、サマーディ)の本体となるものであり、これを他の五禅支によって(五蓋など煩悩から)護り、強めつつ、段階的に他の五禅支を除去していき、強化された「一境性」単独状態にしていくプロセスが、禅定(四禅)である[1]


まず、五下分結を絶って欲界から脱し、色界の初禅に入った段階では、五禅支の全てが揃った状態にある。ここから尋・伺の二支を捨てることで第二禅に入り、喜を捨てることで第三禅に入り、最後に楽を捨てることで第四禅に入ることになる。



















































五蓋との関係


禅定(四禅)における心所の構成要素である五禅支と、その妨げとなる煩悩としての五蓋は、ちょうどトレードオフ(入れ替え)の関係にある。


五禅支と五蓋の対応関係は、以下の通り[5]

































五禅支

五蓋


(じん、vitakka, ヴィタッカ)

惛沈睡眠(こんじんすいみん、thīna-middha, ティーナ・ミッダ) - 倦怠・眠気


(意識を保てていれば倦怠・眠気は起きない)

(し、vicāra, ヴィチャーラ)

(ぎ、vicikicchā, ヴィチキッチャー) - 疑い

(意識が対象から外れなければ、疑いは起きない)

(き、pīti, ピーティ)

瞋恚(しんに、byāpāda, ビヤーパーダ) - 悪意・憎しみ


(らく、sukha, スカ)

掉挙悪作(じょうこおさ、uddhacca-kukkucca, ウッダッチャ・クックッチャ) - 心の浮動・後悔


一境性(いっきょうしょう、ekaggatā, エーカッガター)

貪欲(とんよく、kāmacchanda, カーマッチャンダ) - 渇望・欲望


したがって、(四無量心(慈悲の瞑想)や仏随念などによって)五蓋を抑えつつ、五禅支を高めていくことで、近行定、そして安止定としての禅定に入って行きやすくなる。



出典




  1. ^ ab五禅支 - パオ森林僧院法話メモ


  2. ^ Bodhi, Bhikku (2005). In the Buddha's Words. Somerville: Wisdom Publications. pp. 296–8 (SN 28:1-9). ISBN 978-0-86171-491-9. 


  3. ^ “Suttantapiñake Aïguttaranikàyo § 5.1.3.8” (Pali). MettaNet-Lanka. 2007年6月6日閲覧。


  4. ^ Bhikku, Thanissaro (1997年). “Samadhanga Sutta: The Factors of Concentration (AN 5.28)”. Access to Insight. 2007年6月6日閲覧。


  5. ^ 五蓋と五禅支の対応 - パオ森林僧院法話メモ









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