英国国立医療技術評価機構
National Institute for Health and Care Excellence | |
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NICE Logo | |
執行型非政府部門公共機関概要 | |
設立年月日 | 1999年 |
継承前組織 |
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管轄 | 英国保健省 |
本部所在地 | 英国ロンドン、マンチェスター |
ウェブサイト | www.nice.org.uk |
イギリスの国立医療技術評価機構(こくりついりょうぎじゅつひょうかきこう、英: National Institute for Health and Care Excellence, NICE)は、イギリス保健省配下の執行型非政府部門公共機関の一つ。イングランドNHSとウェールズNHSに属する[1]。
NICEの発行するガイドラインは4つの領域に及び、「国民保健サービス(NHS)が用いる医療技術」(新薬や普及薬の使用、治療法、手順)、「臨床適用」(疾患および徴候別ごとの手技、治療法の適応)、「健康づくりと防疫の公的機関向けガイドライン」がある[2]。ガイドラインは様々なケースを想定して効果性と費用対効果が評価されている[3]。健康アウトカムの尺度には主に質調整生存年(QALY)が用いられる[3]。これらガイドラインの対象は、公式には英国イングランドに限定されるが、しかしウェールズ、スコットランド、北アイルランドでも活用されている[4]。
かつてイングランドやウェールズの医療は「郵便番号を使った宝くじ(Postcode lottery)」と酷評されていた。それは患者が受けられる治療の品質が、在住地域のNHSプライマリヘルスケアによりけりだった為である。その払拭のため、ブレア政権にてNICEが設立され[5]、NICEは臨床ガイドライン開発のためのロールモデルとして国際的に高い評価を受けている。
NICEの卓越点の一つは、ある医療技術について費用対効果のラインを明示的に定義したことである[3][6]。またNICEは、健康資産管理のパイオニアとして重要な役割を果たしており、 2008年4月に NICE International を設立し、外国政府と医療制度について連携を深めている[7]。
目次
1 歴史
2 臨床ガイドライン
3 出典
4 関連項目
5 参考文献
歴史
- 1999年 - 国立臨床評価機構(National Institute for Clinical Excellence)として設立。
- 2005年4月 - 健康推進機構(Health Development Agency)を併合し、National Institute for Health and Clinical Excellence(NICE)に改組。[4][8][9]。
- 2012年 - Health and Social Care Act 2012法制定によりNational Institute for Health and Care Excellence (NICE)に改組。NICEはソーシャルワークに対してもEBM手法によるガイドライン作成および品質基準制定の責務を負う[4]。関連機関としてNICEソーシャルケア共同センター(NICE Collaborating Centre for Social Care、NCCSC)が立ち上げられる。
臨床ガイドライン
様々な疾患について、NICEは最も適切な治療手順の評価を行なっている。様々な治療法に対して「医学的効果(患者にとっての最適選択)」と「経済的コスト」の両面から評価を下している。
NICEはいくつもの国立共同研究センター(The National Collaborating Centre)、王立医学学院、専門機関、患者と介護者の団体らと、共同でガイドラインを策定している。これらのセンターには、国立ガン共同センター(National Collaborating Centre for Cancer)、 国立急性期・慢性期臨床ガイドラインセンター(National Clinical Guidelines Centre for Acute and Chronic Conditions]])、 国立女性・児童保健共同センター(National Collaborating Centre for Women and Children´s Health)、国立メンタルヘルス共同センター(National Collaborating Centre for Mental Health)などがある[10]。
国立共同研究センターは、臨床ガイドライン作成を任とするガイドライン作成グループ(Guideline Development Group)を立ち上げている。このグループは医療専門家・患者及び介護の代表者・技術専門家で構成される。ガイドライン草稿の作成前に、彼らによってガイドライン項目のエビデンス(競合製品との臨床評価など)が評価される。
その後ガイドライン草稿について、ステークホルダー団体によって2回の意見聴取が行われる。2回の意見聴取期間を経て、独立したガイドラインレビューパネルによってガイドラインがレビューされ、ステークホルダーによる意見を聴取し、これらの意見が反映されていることを確認する。
それを経て、グループは勧告をまとめ上げ、国立共同研究センターとして最終ガイドラインを発行する。そしてNICEに送付され公式なガイドラインとなり、NHSのガイダンスとして適用される。
またクリニカルパスの開発にも着手し、NICE Pathwayとしてガイダンスされている。
出典
^ “The National Institute for Clinical Excellence (Establishment and Constitution) Order 1999” (プレスリリース), Office of Public Sector Information, (1999年2月2日), http://www.opsi.gov.uk/si/si1999/uksi_19990220_en.pdf 2009年9月18日閲覧。
^ About NICE
- ^ abc「英国国立保健医療研究所(NICE)における社会的価値判断-NICEガイダンス作成のための諸原則 (第二版)-」、『保健医療科学』第62巻第6号、国立保健医療科学院、2013年12月、 667-678頁、 NAID 110009808441。
- ^ abc“Who we are”. 英国国立医療技術評価機構. 2015年7月1日閲覧。
^ 森臨太郎「連載英国医療事情 第15回 英国医療事情 ナイス!なガイドライン」、『日経メディカル』、日経BP、2006年3月18日。
^ Schlander, Michael (2007). Health Technology Assessments by the National Institute for Health and Clinical Excellence. New York: Springer Science+Business Media. pp. 245. ISBN 978-0-387-71995-5. http://www.springer.com/public+health/book/978-0-387-71995-5 2008年11月13日閲覧。.
^ Cheng, Tsung-Mei (2009年9月15日). “Nice approach”. Financial Times. http://www.ft.com/cms/s/0/5be67610-9ce2-11de-ab58-00144feabdc0,s01=1.html?nclick_check=1 2009年9月18日閲覧。
^ “The National Institute for Clinical Excellence (Establishment and Constitution) Amendment Order 2005” (プレスリリース), Office of Public Sector Information, (2005年3月7日), http://www.opsi.gov.uk/si/si2005/20050497.htm 2009年9月18日閲覧。
^ “The Special Health Authorities Abolition Order 2005” (プレスリリース), Office of Public Sector Information, (2005年3月7日), http://www.opsi.gov.uk/si/si2005/20050502.htm 2009年9月18日閲覧。
^ NICE website - Collaborating Centres
関連項目
- イギリスの医療
保健省 (イギリス) / 国民保健サービス
- 根拠に基づく医療
- クリニカルパス
質調整生存年(QALY)
医療技術評価(HTA)
ドイツ医療品質・効率性研究機構(IQWiG)
フランス高等保険局(HAS)
参考文献
- NICE Official website
- NICE annual conference and exhibition
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