フェルミ粒子


































フェルミ粒子(フェルミオン)
組成
素粒子、クォーク
粒子統計
フェルミ粒子
世代
第一、第二、第三世代
相互作用
強い相互作用
弱い相互作用
電磁相互作用
重力相互作用
反粒子
反クォーク、陽電子など
スピン
{displaystyle hbar }の半整数倍

フェルミ粒子(フェルミりゅうし)は、フェルミオン(Fermion)とも呼ばれるスピン角運動量の大きさが{displaystyle hbar }の半整数 (1/2, 3/2, 5/2, …) 倍の量子力学的粒子であり、その代表は電子である。その名前は、イタリア=アメリカの物理学者エンリコ・フェルミ (Enrico Fermi) に由来する。




目次






  • 1 複数のフェルミ粒子の系


  • 2 フェルミ粒子の例


  • 3 参考文献


  • 4 関連記事





複数のフェルミ粒子の系





フェルミオンの二粒子状態に対応する反対称な波動関数


場の量子論から、半整数スピンを持つ粒子は2つの同種粒子を入れ替えたとき波動関数の符号が変化しなければならないという性質がある。つまり同種の複数のフェルミ粒子からなる系の全波動関数は、どの2個の粒子の交換に対しても反対称となる。つまり、系の全波動関数をψ、i番目の粒子の座標をxiとしたとき、


ψ(…,xi,…,xj,…)=−ψ(…,xj,…,xi,…){displaystyle {psi }(ldots ,x_{i},ldots ,x_{j},ldots )=-{psi }(ldots ,x_{j},ldots ,x_{i},ldots )}

のように i 番目と j 番目の粒子を入れ替えると、波動関数の正負が逆転する。


すなわち、2つのフェルミ粒子があってそれぞれの1粒子の波動関数が φ, χ と表せるなら、2つのフェルミ粒子の全波動関数は単に


ψ(x1,x2)=ϕ(x1)χ(x2){displaystyle psi (x_{1},x_{2})=phi (x_{1})chi (x_{2})}

ではなく、この入れ替えについての性質から


ψ(x1,x2)=ϕ(x1)χ(x2)−ϕ(x2)χ(x1){displaystyle psi (x_{1},x_{2})=phi (x_{1})chi (x_{2})-phi (x_{2})chi (x_{1})}

と表されなくてはならない。


仮に2つのフェルミ粒子が同じ1粒子波動関数をとると


ψ(x1,x2)=ϕ(x1)ϕ(x2)−ϕ(x2)ϕ(x1)=0{displaystyle psi (x_{1},x_{2})=phi (x_{1})phi (x_{2})-phi (x_{2})phi (x_{1})=0}

2つのフェルミ粒子が同じ状態にある時は、ψ = 0という結果が得られる。すなわち、フェルミ粒子は、1つの体系内で2個の粒子がある同じ量子状態になることが許されない。すなわち、フェルミ粒子はパウリの排他原理に従う。この規則から導かれる熱平衡状態にある同種のフェルミ粒子からなる体系が従う量子統計をフェルミ=ディラック統計という。



フェルミ粒子の例


フェルミ粒子に属する粒子には、クォークやレプトンである電子やミュー粒子、ニュートリノがある。また、3つのクォークからなる複合粒子であるバリオンに属する陽子や中性子もフェルミ粒子である。



参考文献





  • 長岡 洋介 『統計力学』 岩波書店〈岩波基礎物理シリーズ〉、1994年。ISBN 978-40-0007927-1{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。

  • ガシオロウィッツ 『量子力学Ⅰ』 林 武見、北角 新作(共訳)、丸善出版、1998年。ISBN 978-4-621-04529-9。



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