国際列車
国際列車(こくさいれっしゃ)とは、国境を跨いで2か国以上を営業運転する列車である。
ヨーロッパには数多く存在し、アジア、アフリカ、北アメリカなどにも存在する。ここでは特に断らない限り旅客列車の国際列車について記述する。
目次
1 特徴
1.1 出入国管理
1.2 サービス
2 主な国際列車
2.1 ヨーロッパ
2.1.1 高速鉄道
2.1.2 その他の長距離列車
2.1.3 その他
2.2 旧ソ連→ロシア
2.3 東アジア
2.4 東南アジア
2.5 南アジア
2.6 西アジア
2.7 アフリカ
2.8 北アメリカ
3 脚注
4 参考文献
5 関連項目
特徴
出入国管理
列車が国境を越えるためには一般に出入国管理の手続きが必要である。これにはいくつかの方法が存在する。
一つは、それぞれの国の領土内の国境手前にある駅を国境駅とし、出国時はまず国内側の国境駅で旅客に対する出国審査などが行われ、列車の国境通過後に相手側の国境駅で入国審査が行われる。また国境の一方側の駅のみを国境駅とし、出国と入国の手続きを同時に行なうこともある。手続きは車内で行なわれることもあるが、一旦乗客全員が列車から降りなければならないケースも存在する。
また国境駅を設けず、もしくは国境駅を通過する列車で、国境から離れたターミナル駅での乗車、下車の際に手続きを行なう例もある。夜行列車で夜間に国境を通過する場合には、車掌がパスポートなど必要書類を預かり乗客が寝ている間に手続きを行なうこともある。
ヨーロッパのシェンゲン協定加盟国相互間では出入国手続きは原則として不要である。これ以外にも出入国管理が事実上行なわれていない例もある。
サービス
国際列車は、2つ以上の国を跨ることから、各国の車両が混合して連結されていたり、2つ以上の言語による車内アナウンスが行われることがあるなど、いわゆる「国際色」が強い。
主な国際列車
ヨーロッパ
多数の国が国境を接し、古くから鉄道網の発達しているヨーロッパでは、高速鉄道や長距離夜行列車からローカル線や通勤列車に至るまで多様な国際列車が運行されている。
高速鉄道
ユーロスター : ロンドン(イギリス) - パリ(フランス)、ブリュッセル(ベルギー)など
タリス : パリ - ブリュッセル - アムステルダム(オランダ)、ケルン(ドイツ)など
TGV, ICEの一部系統
その他の長距離列車
ユーロシティの各系統
チザルピーノ : ヴェネツィア(イタリア) - ジュネーヴ、バーゼル(スイス)など
ベネルクストレイン : アムステルダム - ブリュッセル
railjet : ミュンヘン(ドイツ) - ウィーン(オーストリア) - ブダペスト(ハンガリー)
インターシティの一部系統
ユーロナイトの各系統(夜行)
エリプソス(夜行)
アルテシアナイト(夜行)
その他多数。
その他
タンド線(イタリア、フランス国境のローカル線)
バーゼル都市圏のSバーン(スイス、ドイツ、フランス)
など。
またかつて運行されていたが現在では廃止もしくは他の事業者、列車種別に変更された国際列車として、国際寝台車会社(ワゴン・リ)、ミトローパの列車群やトランス・ヨーロッパ・エクスプレス(TEE)、オリエント急行がある。
旧ソ連→ロシア
- 133・350列車 : キエフ(ウクライナ) - ウラジオストク
東西急行(Ost-West-Express) : パリ(フランス) - ベルリン(ドイツ) - モスクワ(ベラルースキー駅)
ポロネーズ号 : ワルシャワ(ポーランド) - ミンスク(ベラルーシ) - モスクワ(ベラルースキー駅)
レフ・トルストイ号 : ヘルシンキ(フィンランド) - サンクトペテルブルク - モスクワ(レニングラーツキー駅)
ウズベキスタン号 : モスクワ(カザンスキー駅) - タシケント(ウズベキスタン)
カザフスタン号 : モスクワ(パヴェレツキー駅) - アルマトイ(カザフスタン)
東アジア
東アジアでは長距離の国際列車がいくつか運行されている。
K3/4次列車 : 北京(中国) - ウランバートル(モンゴル) - モスクワ(ヤロスラフスキー駅)
K23/24次列車 : 北京 - ウランバートル
ボストーク号 : 北京 - 満洲里 - モスクワ
K27/28次列車 : 平壌(朝鮮民主主義人民共和国) - 北京- 平壌 - ハサン - モスクワ
Z5/6次列車・T8701/8702次列車 : 北京西 - 南寧 - ハノイ(ベトナム)
K9795/9796次列車 : ウルムチ南(中国・新疆ウイグル自治区) - アルマトイ(カザフスタン)
K7023/7024次列車 : ウラジオストク・ハバロフスク - ハルビン東(ハルビン東行きはウスリースク駅でウラジオストクとハバロフスクから来た車両を連結 ハルビン東発の列車はその逆コースをたどる)
東南アジア
東南アジアではタイからシンガポールまで線路が繋がっており、この経路で国際列車が運行される。
バンコク(タイ) - クアラルンプール(マレーシア) - シンガポール(ただし、全区間を運行するのは「イースタン&オリエンタル・エクスプレス」のみで、定期旅客列車はタイ国有鉄道がバンコク(フワランポーン駅) - マレーシア、ペナン州のバターワース駅間に一日一往復、マレー鉄道がクアラルンプール駅 - タイ、ソンクラー県のハートヤイ駅間に一日一往復を運転しているに過ぎない)2015年7月1日、ウッドランズ・チェック・ポイント~JBセントラル駅を結ぶ「Shuttle Tebrau」が7往復運行を開始した。この列車の走行距離は2.1kmで、2015年現在、定期旅客国際列車としては世界最短距離である。
また、2009年3月からはメコン川に架かるタイ=ラオス友好橋を渡る鉄道が開業し、一日二往復、下記の国際列車がタイ国有鉄道により運行されている[1]。
ノーンカーイ駅(タイ) - ターナレーン駅(ラオス) (この列車の走行距離は同区間の6.2kmのみで、「Shuttle Tebrau」運行開始までは、定期旅客国際列車としては世界最短距離であった)
南アジア
インドとパキスタンは長い国境で接しているが、陸上で通過可能なのは一か所のみである。
コルカタ(インド) - ダッカ(バングラデシュ)
ラホール(パキスタン) - アムリトサル(インド)
西アジア
トルコとイラン、シリアの間に国際列車が運行されている。
アフリカ
内陸国と海を結ぶ形の国際列車がいくつか運行されている。
ダカール(セネガル)- バマコ(マリ) : ダカール・ニジェール鉄道
ダルエスサラーム(タンザニア) - カピリムポシ(ザンビア) : タンザン鉄道(南アフリカのケープからジンバブエのヴィクトリアフォールズ橋でダルエスサラームまで渡るロボスレイルの世界最高級の豪華列車[2]と謳う定期旅客国際列車「プライド・オブ・アフリカ」は、2年に1度は船舶なども利用してエジプトのカイロまで運行されている[3])
アビジャン(コートジボワール) - ワガドゥグー(ブルキナファソ) : アビジャン・ニジェール鉄道
北アメリカ
アメリカ合衆国とカナダの間には国際列車が数系統存在する。
ニューヨーク(アメリカ・ニューヨーク州) - モントリオール(カナダ・ケベック州) : "Adirondack"- ニューヨーク - トロント(カナダ・オンタリオ州) : "メープルリーフ号(The Maple Leaf)"
シアトル(アメリカ・ワシントン州) - バンクーバー(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)
脚注
^ 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』(柿崎一郎著、京都大学学術出版会、2010年)p.337
^ “Steam safari: African animal-spotting on world's 'most luxurious train'”. CNN (2014年11月12日). 2018年6月23日閲覧。
^ “https://www.huffingtonpost.com/afktravel/11-memorable-train-journeys_b_8373936.html”. ハフポスト (2015年10月27日). 2018年6月23日閲覧。
参考文献
Thomas Cook European Rail Timetable October 2009. Thomas Cook. (2009). ISSN 0952-620X.
Thomas Cook Overseas Timetable September/October 2009. Thomas Cook. (2009). ISSN 0144-7475.
- 『ヨーロッパ鉄道の旅』 「地球の歩き方」編集室、ダイヤモンド・ビッグ社〈地球の歩き方 BY TRAIN〉、2007年。ISBN 978-4-478-05355-3。
- 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』(柿崎一郎著、京都大学学術出版会、2010年)
関連項目
- 大陸横断鉄道
- 国際連絡運輸
ユーレイル(加盟22か国)- 日韓共同きっぷ
航空路(航空)