ライアー












リュラーを持つアポロン


リュラーリラライアーライア(古典ギリシア語:λυρα、英・仏:lyre、独:Lyra、Leier、伊:lira)は、弦楽器である。本来は古代ギリシアの竪琴(撥弦楽器)を意味するものであったが、後に形態の近いいくつかの楽器をこの名で呼ぶようになった。


中世ヨーロッパにおいてlyra、 liraなどの名称は、撥弦楽器のみならず似た形状の弓で弾く擦弦楽器にも用いられるようになった。これにはフィドルから発展した一族も含まれる。一方、lyra、 Leierはハーディ・ガーディを指すようになり、Leierはさらに転じて「手回しオルガン(バレル・オルガン)」の意味にまでなった。また別に、(古代ギリシアの)リュラー型の枠を持った打楽器の一種でリラを名乗るもの(ベルリラ)まで現れ、しばしば混乱を招いている。


古代ギリシアにおいて朗読会はリュラーで伴奏された。




目次






  • 1 歴史


  • 2 徽章


  • 3 構造


  • 4 種類


    • 4.1 現代のライアー




  • 5 関連項目


  • 6 外部リンク





歴史


ギリシア神話によると、リラを発明したのは若き神ヘルメースである。彼は大亀の甲羅 (khelus) を動物の皮革とアンテロープの角で覆った。リュラーはアポローン的中庸と平静さの徳と関連づけられた。これはディオニュソス的な笛が恍惚と昂揚と対照をなすものである。


この楽器の実際の起源としては、南欧、西アジア、北アフリカの各地が挙げられている。リュラーを持つ半神(英雄?)譚はリュディア帝国に接する小アジア(現在のトルコ)沿岸部のアイオロス系またはイオニア系のギリシア人植民地にみられる。また、別のギリシア人入植地であるトラキアはオルペウス、ムーサイオス(EN)、タミュリス(EN)のような神話上のリュラーの名人の生まれ故郷であると信じられてきた。


古代ギリシア人がエジプトの箱形弦楽器をキッサルあるいはキタラーと呼んだことから判るように、彼ら自身、ギリシアの楽器との類似性に気づいていた。古代エジプト文明の全盛期は古代ギリシア文明を遡ること5世紀であり、キッサルが生まれたのもその頃であろう。かくして我々は、リュラーの元となる楽器が古代ギリシア文明以前にギリシアの近隣諸国(トラキア、リュディア、エジプト)のいずれかに存在し、そこからギリシアにもたらされたのであると推論することができる。



徽章


リュラーは楽器の象徴で使われることがあり、欧米の軍楽隊の徽章になっていることも多い。


日本でも古くは帝国陸軍の軍楽部襟部徽章 、および陸上自衛隊音楽科の職種き章になっている。また、消防音楽隊や警察音楽隊、海上保安庁音楽隊でもリュラーは徽章になっている。



構造




リュラーを演奏する女性。古代ギリシア風のポーズで1913年に撮影されたもの


リュラーのフレームは中空の共鳴箱からなっており、そこから二本の腕が立ち上がる。この腕も中空になっている場合がある。両腕はいずれも外側前方に曲がっていて、横木によって上端で連結されている。根元にも横木があり弦の振動を共鳴箱に伝えるブリッジになっている。上端の横木とブリッジまたはブリッジのさらに下にあるテイルピースとの間にガット弦を張る。各弦の長さは大きく異ならないが、単位長あたりの質量(太さ)と張力が異なる。これらの点は現代のギターやヴァイオリンといった弦楽器と共通である。最低音が奏者から一番遠くになるように構える。調弦法には二種類あり、竜頭を締める方法と、横木に弦をかける位置を変える方法があった。おそらくは両者が併用されたのであろう。


弦の数は時期によって異なり、土地土地でも異なったかもしれない。4、7、10弦のものが愛好された。指板が用いられたことを支持する文献的証拠は全く存在しない。弓が使われたこともありえない。平らな響板がそれを許さなかった(訳註、クラシックギターをチェロの弓で弾くことを想像せよ)。一方、撥は普通に用いられた。右手で持ち高音弦(弦の上部?)を弾いた。使用しない場合はリボンで楽器に結ばれていた。左手の指は低音弦(弦の下部?)に触れた。


英雄時代のギリシアでリュラーが何弦で調弦法がどうだったかを示す証拠はない。プルタルコスは、オリュンポスとen:Terpanderでは朗読会にわずか3弦のものが用いられたという。テトラコルドを二倍にすることで、4弦の楽器から7ないし8弦の楽器がもたらされたように、トリコルドと6弦のリュラーとが関連づけられる。この6弦リュラーは多くのギリシアの古い花瓶に描かれている。楽器の細かい部分をきちんと表現するのはいささか面倒なことである点を考えると、これが正確な描写であるとはいいきれないが、わざわざ異なった弦の数にするとも考えにくい。右手の撥で弾いた弦を、左手の指で押さえる姿が常に描かれている。古代ギリシャ文明が今知られているような姿をとる前は、リラの調弦においては幅広い自由と地域性が認められたのだろう。この点は古くから半音階や四分音が利用されていたことによって裏付けられており、いにしえの豊穣と、音調を洗練していこうとするアジア的な傾向とを示すものと思われる。



種類


リュラー(リラ)は今日でもギリシャのいくつかの地方では主要な民族楽器となっている。例えばクレタ島や北ギリシア(マケドニア)のポンティア人地域である。このタイプのリラは奏者の大腿の上に垂直に構えられ、ヴァイオリンと同様に弓を用いて演奏される。



  • ギリシアの古典的リュラー


    • フォルミンクス(EN)

    • キタラー



  • 他の民族楽器

    • クレータのリュラー

    • エチオピアのクラルkrar - 五もしくは六弦の竪琴。エチオピアやエリトリアで使われる撥弦楽器。五音音階に調律される。現代のクラルにはエレキギターのようにアンプ(電気的増幅装置)のついたものも存在する。伝統的には通常、木製で、布・ビーズによって飾り付けをされる。 クラルはしばしば居ごこちのよい食事の楽しい付属物として、ラブソングと世俗的な歌に伴われアズマリazmariと呼ばれる楽器演奏家兼歌手によって奏でられる。





現代のライアー




現代のライアー。2018楽器フェアブース「A-02 浜松市」にて。


この楽器は、20世紀前半に、音楽家であり、治療教育者であったエドモンド・プラハトEdmund Pracht によって生み出された新たなものである。この場合は、一般にLeier「ライア」または「ライアー」と呼ばれる(発音的には「ライア」が近い)。彼がスイスにあるシュタイナー教育の治療教育の現場で働いていたことから、スイス、ドイツを中心としたシュタイナー教育で用いられるようになった。現在は教育楽器としてよりは、演奏楽器としてドイツを中心に世界中に広まっている。胴はゆがんだドーナツ形をしており、その一辺から他辺へ、平行に半音階に弦が張られている。弦はすべて金属弦が使われている。ピアノの白鍵にあたる弦と黒鍵にあたる弦とで張る高さが異なっており、白鍵は高く。黒鍵は低く張られる。右手は楽器の表から白鍵を、左手は裏からドーナツの穴にあたる部分を通して黒鍵と一部の白鍵の弦を演奏する。音域の違いで、アルトライア、ソプラノライアなどがある。スタジオジブリのアニメ映画『千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」の伴奏で用いられたことでも知られる。ドイツを中心に、いくつかのライアメーカーが製造している。



関連項目



  • アウロス

  • キタラー

  • フォルミンクス



外部リンク


  • A spell for lyre players



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