和泉郡
和泉郡(いずみぐん)は、かつて和泉国・堺県・大阪府にあった郡。泉郡と表記することも多く、近世にはほとんど泉郡と表記されている。
目次
1 郡域
2 歴史
2.1 古代
2.1.1 郷
2.1.2 式内社
2.2 中世
2.3 近世
2.4 近代
3 参考文献
4 脚注
5 関連項目
郡域
1880年(明治13年)に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の行政区画では概ね以下の区域に相当する。
- 和泉市
泉大津市(埋立地を除く)
岸和田市(内畑町、大沢町)
泉北郡忠岡町(埋立地を除く)
歴史
古代
- もとは河内国に属した。
716年(霊亀2年) - 和泉監に属す。
740年(天平12年) - 再び河内国に属す。
757年(天平宝字元年) - 和泉国に属す。
郷
『和名類聚抄』に記される郡内の郷。
- 信太郷
- 上泉郷
- 下泉郷
- 軽部郷
- 坂本郷
- 池田郷
- 八木郷
- 山直郷
- 掃守郷
- 木島郷
式内社
『延喜式』神名帳に記される郡内の式内社。
神名帳 | 比定社 | 集成 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
社名 | 読み | 格 | 付記 | 社名 | 所在地 | 備考 | |
和泉郡 28座(並小) | |||||||
男乃宇刀神社 二座 | ヲノウトノ | 小 | 男乃宇刀神社 | 大阪府和泉市仏並町 | |||
博多神社 | ハカタノ | 小 | 伯太神社 | 大阪府和泉市伯太町 | |||
夜疑神社 | ヤキノ | 小 | 夜疑神社 | 大阪府岸和田市中井町 | |||
泉穴師神社 二座 | -アナシノ | 小 | 泉穴師神社 | 大阪府泉大津市豊中町 | 和泉国二宮 | [1] | |
兵主神社 | 小 | 兵主神社 | 大阪府岸和田市西之内町 | ||||
粟神社 | アハノ | 小 | 合祀:大津神社 | 大阪府泉大津市若宮町 | |||
曽祢神社 | ソネノ | 小 | 曽彌神社 | 大阪府泉大津市曽根町 | |||
泉井上神社 | -ヰノヘノ イツミノヰノウヘノ | 小 | 泉井上神社 | 大阪府和泉市府中町 | |||
阿理莫神社 | アリホノ アリマ | 小 | 阿里莫神社 | 大阪府貝塚市久保 | |||
山直神社 | ヤマナヲノ -ナホ | 小 | 山直神社 | 大阪府岸和田市内畑町 | |||
矢代寸神社 二座 | ヤシロノ- | 小 | 矢代寸神社 | 大阪府岸和田市八田町 | |||
穂椋神社 | ホクラノ | 小 | 合祀:春日神社 | 大阪府和泉市三林町 | |||
和泉神社 | イツミノ | 小 | 和泉神社 | 大阪府和泉市府中町 | 泉井上神社境内社 | ||
楠本神社 | クスモトノ | 小 | 楠本神社 | 大阪府岸和田市包近町 | |||
淡路神社 | アハチノ | 小 | 淡路神社 | 大阪府岸和田市摩湯町 | |||
意賀美神社 | オカミノ | 小 | 意賀美神社 | 大阪府岸和田市土生滝町 | |||
波多神社 | ハタノ | 小 | 波多神社 | 大阪府岸和田市畑町 | |||
積川神社 五座 | ツガハノ ツミ- | 小 | 鍬 | 積川神社 | 大阪府岸和田市積川町 | 和泉国四宮 | [2] |
丸笠神社 | マロカサ | 小 | 丸笠神社 | 大阪府和泉市伯太町 | 伯太神社境外社 | ||
旧府神社 | フルフノ キウフ | 小 | 鍬 | 舊府神社 | 大阪府和泉市尾井町 | 信太森神社境外社 | |
聖神社 | ヒシリノ | 小 | 鍬 | 聖神社 | 大阪府和泉市王子町 | 和泉国三宮 | [3] |
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中世
13世紀頃 - 八木、山直、掃守、木島の4郷を南郡として分割。
近世
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が、○は寺社等の除地(領主から年貢免除の特権を与えられた土地)が、◆は御旅所(同左)が存在。なお旧高旧領取調帳では岸和田藩領分が助松村、一条院村、宇多大津村の3村にあり、後に岸和田県管轄と記載しているが、「大阪府全志」[1]や「角川地名辞典」などではこれらもすべて岸和田藩預地だったとする。(85村)
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
幕府領 | 幕府領(小堀数馬支配所) | 3村 | ○福瀬村、○北田中村、○岡村 |
幕府領(松永善之助支配所) | 1村 | ●槙尾山 | |
幕府領(岸和田藩預地) | 1村 | ○宇多大津村 | |
幕府儒官林氏 | 1村 | 尾井千原村 | |
一橋徳川家 | 39村 | ○池田下村、○坂本村、坂本新田、伏屋新田、○万町村、○浦田村、舞村、○上代村、○上村、○王子村、○富秋村、○太村、○◆中村、○千原村、○二田村、○北曽根村、○南曽根村、○森村、南王子村、○今在家村、○桑原村、○府中村、○黒鳥村、○池浦村、○辻村、○穴田村、○虫取村、○長井村、宮村、○上馬瀬村[2]、○下馬瀬村[2]、○寺田村、○寺門村、○今福村、○観音寺村、○小田村、○内畑村、○箕形村、綾井村[3] | |
藩領 | 下総関宿藩 | 15村 | ○室堂村、○和田村、○黒石村、鍛冶屋村、○平井村、○納花村、○春木村、○久井村、○下宮村、○国分村、○唐国村、○●松尾寺村、○内田村、○九鬼村、○小野田村 |
和泉吉見藩 | 8村 | ○父鬼村、○若樫村、○南面利村、○善正村、○大野村、○仏並村、○坪井村、●○大沢村[4] | |
和泉伯太藩 | 4村 | ○春木川村、○伯太村、○板原村、○下条大津村 | |
大和小泉藩 | 4村 | ○池上村、○肥子村、○豊中村、○北出村 | |
山城淀藩 | 4村 | 井ノ口村、○忠岡村、○高月村、○和気村 | |
和泉岸和田藩 | 2村 | ○助松村、○一条院村 | |
幕府領・藩領 | 幕府領(小堀)・関宿藩 | 1村 | ○三林村 |
その他 | 熊本藩家臣長岡氏・医師施薬院宗伯・幕府儒官林氏・一橋徳川家 | 1村 | ○尾井村 |
寺社除地 | 1村 | 小野新田 |
近代
1868年(慶応4年)
1月22日 - 新政府が大坂町奉行の管轄地域に大坂鎮台を設置。幕府領・旗本領などを管轄。
1月27日 - 大坂鎮台を大坂裁判所に改称。
5月2日 - 大坂裁判所が廃止され、大阪府の管轄となる。
6月22日 - 大阪府のうち和泉国の管轄地域が分立し、堺県が発足。
- 明治初年
吉見藩領のうち仏並村および大野村の一部が堺県の管轄となる。- 幕府領のうち福瀬村・北田中村が吉見藩の管轄となる。
1869年(明治2年)
- 2月 - 関宿藩領が堺県に移管。
- 8月 - 一橋徳川家領が堺県に移管。
1870年(明治3年)
- 2月 - 岸和田藩預地が堺県に移管。この時堺県へ移管された村名には助松村、一条院村、宇多大津村も含まれ、本郡内の岸和田藩領(または預地)は消滅[1]。
1871年(明治4年)
7月14日 - 廃藩置県により藩領が吉見県、伯太県、小泉県、淀県となる。
11月22日 - 第1次府県統合により全域が堺県の管轄となる。
1874年(明治7年)1月22日 - 大区小区制の堺県での施行により、和泉国第2大区となる。
1875年(明治8年) - 上馬瀬村・下馬瀬村が合併して馬瀬村となる。(84村)
1880年(明治13年)
4月15日 - 郡区町村編制法の堺県での施行により、行政区画としての和泉郡が発足。堺区大町東4丁の祥雲寺に「湊郡役所」が設置され、大鳥郡とともに管轄したが、まもなく「大鳥和泉郡役所」に改称。
1881年(明治14年)2月7日 - 第2次府県統合により大阪府の管轄となる。郡役所を大鳥郡長承寺村に移転。
1887年(明治20年) - 辻村・長井村が合併して我孫子村となる。(83村)
1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の各村が発足。特記以外は現・和泉市。(17村)
信太村 ← 太村、中村、上村、舞村、上代村、王子村、尾井村、富秋村、小野新田
上条村 ← 助松村、千原村、尾井千原村、森村、綾井村、南曽根村、北曽根村、二田村(現・泉大津市)
国府村 ← 府中村、井ノ口村、肥子村、和気村、小田村
大津村 ← 下条大津村、宇多大津村(現・泉大津市)
穴師村 ← 池浦村、豊中村、板原村、我孫子村、穴田村、宮村、虫取村(現・泉大津市)
忠岡村 ← 忠岡村、馬瀬村、北出村、高月村(現・忠岡町)
南王子村(単独村制)
郷荘村 ← 今在家村、観音寺村、桑原村、一条院村、坂本村、寺門村、今福村
伯太村 ← 伯太村、池上村、黒鳥村
北池田村 ← 池田下村、坂本新田、伏屋新田、室堂村
北松尾村 ← 唐国村、寺田村、箕形村、内田村
南池田村 ← 納花村、万町村、和田村、三林村、浦田村、鍛冶屋村、平井村、国分村、黒石村
南横山村 ← 父鬼村、大野村
東横山村 ← 福瀬村、岡村、九鬼村、槙尾山、善正村、南面利村
西横山村 ← 小野田村、下宮村、北田中村、坪井村、仏並村
南松尾村 ← 久井村、春木村、松尾寺村、若樫村、春木川村
山滝村 ← 内畑村、大沢村(現・岸和田市)
1896年(明治29年)4月1日 - 郡制の施行により、大鳥郡・和泉郡の区域をもって泉北郡を設置。同日和泉郡廃止。
参考文献
角川日本地名大辞典 27 大阪府- 旧高旧領取調帳データベース
大阪府全誌 巻一
脚注
- ^ ab井上正雄, 『大阪府全志 巻之一』, 426-429頁 (1922年).
も同様である。
- ^ ab記載は馬瀬村1村。
^ 「旧高旧領取調帳」では大鳥郡として記載。
^ 寺社領は牛滝村として別に記載。
関連項目
- 消滅した郡の一覧
- 出水郡
先代: ----- | 行政区の変遷 - 1896年 | 次代: 泉北郡 |
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