ホンダ・J型エンジン
J型エンジン(Jがたエンジン)は、本田技研工業で製造されている大型車種用のV型6気筒ガソリンエンジンである。
目次
1 機構
1.1 VTEC
1.2 VCM
1.3 EARTH DREAMS TECHNOLOGY
2 歴史
3 バリエーション
3.1 現在
3.1.1 J35A
3.1.2 J35Y
3.1.3 J37A
3.2 過去
3.2.1 J25A
3.2.2 J30A
3.2.3 J32A
4 過去の搭載車種
5 脚注
6 関連項目
7 外部リンク
機構
VTEC
- J25A/J30A/J32A/J35A/J37A
V型6気筒エンジンとしてはC型の後継にあたる。出力取出軸端からの回転方向が反時計回り[1]のレイアウトをC型エンジンから踏襲しているが、ホンダがこれ以降に開発した機種も順次反時計回りの駆動方式に変更されていった。
吸・排気バルブは共に2個ずつ設け、ロッカーアームを介し開閉される。そのロッカーアームには可変バルブタイミング・リフト機構が装備され、さらに動弁系のフリクションを低減するため摺動部にローラー機構を使用している。なお、低速域[2]で吸気バルブのうち片方を休止させる「VTEC-E」に類似した仕様もある。点火プラグが燃焼室の天井中央部に取付けられており、カムシャフトを避けるために上側を排気バルブ側に傾けている。シリンダーブロックはアルミ製で、バンク角はC型の90度からV6エンジンとして一般的な60度へ改め、回転バランスを向上させた。
燃料供給装置はPGM-FI仕様のみで、インテークマニホールドの各気筒のポートにインジェクターが取付けられたマルチポイント式で、暖機時にインテークマニホールドから2次エアを供給し、燃料の霧化を促進するAAI(エアアシストインジェクター)が装備されている。インテークマニホールドに可変吸気装置が装備されている仕様があるほか、後述するVCM仕様以降ではエキゾーストマニホールドが無く、シリンダーヘッド内で隣り合う排気ポートが集合し、その直後に排気ガスを浄化する三元触媒が装備されている。
VCM
- J30A/J35A/J35Z/J35Y
高出力と低燃費とをより高い次元で両立するために、可変バルブタイミング・リフト機構を応用し、低負荷時に一部気筒の吸排気バルブを休止させることにより擬似的に排気量を可変させ、合わせて吸・排気のポンピングロスも低減させている。2003年発表の4代目インスパイアにリアバンクを休止するVCMが初採用された。2007年発表のインスパイア並びに北米仕様アコードでは6気筒-4気筒−3気筒と使用気筒数を変化させる新型VCMが初採用された。リアバンク側では4気筒モードで1気筒休止、3気筒モードで3気筒休止を実現するためロッカーシャフトは4系統の油圧経路を持つ。2012年発表の8代目北米仕様アコードでは気筒休止は3気筒モードのみだが、吸気側に低回転、高回転でのバルブタイミング切り換えVTECを採用した。リアバンクでは気筒休止を含めVTEC切り替えが3ステージとなる。2013年発表のアキュラ・RLXでは、リアバンク側で異軸であったVCM切り替えとVTEC切り替えを、同軸とするシンクロピストンピン構造による3段階のバルブリフトを実現している。
気筒休止時には、一部気筒のみが燃焼エネルギーを発生するためエンジン振動とこもり音が増大する。エンジン振動を吸収させるために、液封エンジンマウントに内蔵したアクチュエーターを打ち消すように作動させる、アクティブコントロールエンジンマウントを採用している。こもり音を低減させるために、室内にこもり音と逆位相の音を発生して打ち消す、アクティブノイズコントロールを採用している。
EARTH DREAMS TECHNOLOGY
- J35Y
2014年までに各車両カテゴリーで燃費No.1を目指し、2020年までにCO2排出量を2000年比で30%の低減を目指すために投入される次世代革新技術で、燃料供給方式に筒内直接噴射(直噴)が採用されている。加えて、VTECやVCMに新動弁機構を採用するなどにより、燃費は10%、出力は5%程度向上している。
歴史
1996年に発表されたアキュラ・CLに、3,000ccのJ30Aが初めて採用された。
1998年10月15日に発表された3代目インスパイア及び2代目セイバーに、2,500ccのJ25Aと低回転時1バルブ休止機構を備えた3,200ccのJ32Aが採用された。
1999年6月3日に発表されたラグレイトに、3,500ccのJ35Aが採用された。
2003年6月18日 に発表された4代目インスパイアに、気筒休止機構(VCM)を備えたi-VTECのJ30Aが採用された。
2004年10月7日に発表された4代目レジェンドに、国産車自主規制の280PSを超え、300PSを達成したJ35Aが採用された。
2006年9月13日に発表された2代目MDXに、3,700ccのJ37Aが採用された。
2007年に発表された5代目インスパイア、北米仕様アコードに3段階のVCMを備えたJ35A(北米仕様アコードはJ35Z)が採用された。
2009年にフェイスリフトされたアキュラ・TLに吸排気ともにVTECを採用したJ37A2が採用された。
2012年1月11日に発表された9代目アコード(北米仕様)に、EARTH DREAMS TECHNOLOGYを投入した3,500ccのJ35Yが採用された。
2013年に発表されたアキュラ・RLXに、筒内直接噴射(直噴)仕様のJ35Yが採用された。
バリエーション
現在
J35A
- VTEC
- 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,471cc
- 内径×行程:89.0mm×93.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(RR5 エリシオン・プレステージ)
- 最高出力:221kW(300PS)/6,200rpm
- 最大トルク:353N·m(36.0kg·m)/5,000rpm
リッジライン(YK1)
TL(UA8)- BF175A/BF200A/BF225A(船外機)
- VCM
- 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,471cc
- 内径×行程:89.0mm×93.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(CP3 インスパイア)
- 最高出力:206kW(280PS)/6,200rpm
- 最大トルク:342N·m(34.9kg·m)/5,000rpm
オデッセイ(RL5 北米仕様)
パイロット(YF3/4)
クロスツアー(TF1/2)
J35Y
- Multi-point injection
- 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,471cc
- 内径×行程:89.0mm×93.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(北米仕様 アコード)
- 最高出力:207kW(278hp)/6,200rpm
- 最大トルク:342N·m(252lb·ft)/4,900rpm
- アコード(北米仕様)
- Direct injection
弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,471cc
- 内径×行程:89.0mm×93.0mm
- 燃料供給装置形式:筒内直接噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(RLX)
- 最高出力:231kW(310hp)/6,500rpm
- 最大トルク:376N·m(272lb·ft)/4,500rpm
- RLX
J37A
- 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,664cc
- 内径×行程:90.0mm×96.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(UA9 TL)
- 最高出力:227kW(309PS)/6,300rpm
- 最大トルク:370N·m(37.7kg·m)/5,000rpm
MDX (YD2)- TL(UA9)
ZDX(YB1)
過去
J25A
- 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:2,495cc
- 内径×行程:86.0mm×71.6mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(UA4 インスパイア)
- 最高出力:184kW(200PS)/6,200rpm
- 最大トルク:296N·m(24.5kg·m)/4,600rpm
J30A
- VTEC
- 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:2,997cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(TA3 アヴァンシア)
- 最高出力:158kW(215PS)/5,800rpm
- 最大トルク:272N·m(27.7kg·m)/5,000rpm
- VCM
- 弁機構:SOHC i-VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:2,997cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(RR3 エリシオン)
- 最高出力:184kW(250PS)/6,000rpm
- 最大トルク:309N·m(31.5kg·m)/5,000rpm
J32A
- 弁機構:SOHC VTEC ベルト駆動 吸気2 排気2
- 排気量:3,210cc
- 内径×行程:89.0mm×86.0mm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(PGM-FI)
- 参考スペック(UA6 TL)
- 最高出力:201kW(266PS)/6,200rpm
- 最大トルク:323N·m(32.9kg·m)/5,000rpm
過去の搭載車種
- J25A
インスパイア/セイバー(UA4)
- J30A
CL(YA2)
オデッセイ プレステージ(RA5)- オデッセイ(RA8/9)
アヴァンシア(TA3/4)- インスパイア(UC1)
エリシオン (RR3/4)
- J32A
- インスパイア/セイバー(UA5)
TL(UA5/6)- CL(YA4)
- J35A
- ラグレイト/オデッセイ 北米仕様(RL1,3)
- MDX(YD1)
- パイロット(YF1/2)
レジェンド/RL(KB1)- TL(UA7)
サターン・ヴュー(Z63)- インスパイア(CP3)
- エリシオン プレステージ(RR5/6)
- J37A
- レジェンド/RL(KB2)
脚注
^ JIS B 8001 Archived 2009年5月24日, at the Wayback Machine.においては「逆時計回り」と呼称。
^ エンジン回転数の正式名称はエンジン回転速度。 JIS B 0108-1による。
関連項目
- VTEC
- i-VTEC
- VCM
- ホンダのエンジン型式一覧
- C型エンジン
外部リンク
本田技研工業(オフィシャル)
アキュラ(オフィシャル)
テクノロジー・ダイジェスト J35A(オフィシャル)
テクノロジー・ダイジェスト J30A(オフィシャル)
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P型 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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小型車用 | E型(IMAシステム併用) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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中型車用 | A型 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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