ロシア連邦軍参謀本部情報総局
ロシア連邦軍参謀本部情報総局 GRU Generalnogo Shtaba | |
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Glavnoje Razvedyvatel'noje Upravlenije Главное Разведывательное Управление | |
ソ連時代からの連邦軍参謀本部情報総局の紋章 | |
組織の概要 | |
設立年月日 | 1918年 |
管轄 | ロシア連邦政府 |
行政官 |
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ロシア連邦軍参謀本部情報総局(ロシアれんぽうぐんさんぼうほんぶじょうほうそうきょく、ロシア語: Главное разведывательное управление, ラテン文字転写:Glavnoye Razvedyvatelnoye Upravleniye、英:Main Intelligence Directorate of the General Staff)は、ロシア連邦軍における情報機関。略してGRU(発音は英語でグルー、ロシア語の場合はゲーエルウー、ロシア語での略称は ГРУ)と呼ばれる。旧ソ連時代から存続している組織である。
目次
1 概要
2 組織
2.1 中央機構
2.2 部隊の情報機関
3 名称の変遷
4 歴代軍情報部長
5 現状
6 所属したことがある人物
7 脚注
8 関連項目
9 外部リンク
概要
組織上は、欧米列国と同様に参謀本部の一部署に過ぎないが、参謀系統を通した情報の収集のほか、スパイ活動、SIGINT、偵察衛星や特殊部隊スペツナズの運用も管轄しており、ソ連KGB(現在のSVRなど)と並ぶ強力な情報機関である。第二次世界大戦中のスパイ、リヒャルト・ゾルゲはGRUの管理下にあった。
GRUの総局長は参謀総長及び国防相に従属し、ロシア対外情報庁(SVR)やFSBと異なり、大統領に直接報告することはない。GRUの本部庁舎は、モスクワの旧ホドゥンキ地区、ホロシェフスコエ通りに位置するガラス張りの9階建ての建物である。GRU職員からは、ステクリャーシュカ(Стекляшка;ガラスビル)と呼ばれているが、一般にはアクワリウム(Аквариум;水族館)として知られている。
組織
以下の機構は、ドミトリー・プロホロフ著の"Империя ГРУ"(GRU帝国、2000年)を参照した。ただし、同書もビクトル・スヴォーロフの著書(1970年代の情報)を参考にしている。
中央機構
GRU総局長は上級大将で、参謀次長を兼任する。局長は中将、副局長、課長は少将。副課長、班長及び副班長は大佐。一般班員は、先任作戦将校と作戦将校職から成り、先任作戦将校は大佐、作戦将校は中佐。
- GRU総局長/参謀次長
- GRU指揮所
- 特別重要エージェント及びイリーガル・グループ
- 第一副総局長 - 全情報収集(エージェント諜報)部門を管掌
- 第1局 - 西欧諸国。5課を有し、各課は国ごとの班を有する。
- 第2局 - 北米・南米諸国
- 第3局 - アジア諸国
- 第4局 - アフリカ及び中東諸国
- 第5局 - 作戦・戦術情報。通常の参謀系統は、この局が管轄する。スペツナズを管理する特殊情報班が存在する。
- 第1課 - モスクワ
- 第2課 - 東西ベルリン
- 第3課 - 民族解放運動及びテロ組織
- 第4課 - キューバ
- 副総局長/第6局長
- 第6局 - 電子偵察局。SIGINT。特殊部隊OSNAZが存在する。
- 副総局長/情報部長 - 情報の処理・分析部門を管掌
- 第7局 - NATO担当。6課を有する。
- 第8局 - 特別指定国に関する業務
- 第9局 - 軍事技術
- 第10局 - 軍事経済、軍事生産及び売却、経済保安
- 第11局 - 戦略核戦力
- 第12局 - 不明(情報戦?)
- 副総局長/艦隊情報部長 - 各艦隊本部の情報局を管掌
- 副総局長/宇宙偵察局長
- 宇宙偵察局 - 偵察衛星によるIMINT
- 宇宙偵察局 - 偵察衛星によるIMINT
- 支援部署
- 運用・技術局
- 行政局
- 通信局
- 会計課
- 第1特殊課 - パスポート、身分証明書等の偽造
- 第8課 - 暗号及び暗号解読
教育施設としては、軍事外交アカデミーが存在し、スパイ・駐在武官・情報参謀が教育を受ける。
スペツナズは、2万5千人・24個大隊相当が存在する。
各国のロシア大使館にはGRUの支局が存在し、駐在武官もGRUの所属である。キューバのルールデスには、無線傍受センターが維持されている。
部隊の情報機関
部隊レベルの作戦・戦術情報は、GRU第5局の統制を受ける。
軍管区レベルでは、以下の主要5科から成る軍管区本部第2局(情報局)が担当する。
- 第1科:管区配属の軍級その他の部隊の情報科の業務を指導
- 第2科:管区担当地域のエージェント諜報
- 第3科:管区の偵察・破壊工作部隊の活動を指導
- 第4科:諜報情報の処理
- 第5科:電波偵察
軍級レベルでは、5班から成る軍本部第2科(情報科)が担当する。
名称の変遷
GRUは、軍政又は軍令機関の一部署であるため、その名称は目まぐるしく変わっている。
参謀本部総局第2補給総監課 (1917年11月~1918年5月)- 最高司令官本営附属革命野戦本部扇動・情報課 (1917年11月~1918年3月)
- 最高軍事会議作戦局情報班 (1918年3月~1918年9月)
- 軍事問題人民委員部作戦課情報班、全ロシア参謀本部作戦局軍事統計課 (1918年5月~1918年9月)
- ロシア革命軍事会議本部情報課 (1918年9月~10月)
- ロシア革命軍事会議野戦本部登録局、ロシア革命軍事会議野戦本部作戦局情報班 (1918年11月~1920年)
- ロシア革命軍事会議野戦本部作戦局第1課情報班、労農赤軍本部作戦局情報部隊、労農赤軍本部情報課 (1919年~1920年)
- 労農赤軍情報局 (1922年~1924年)
- 労農赤軍本部第4局 (1926年~1934年8月)
- 労農赤軍情報・統計局 (1934年8月~11月)
- 労農赤軍情報局 (1934年11月~1939年5月)
- 国防人民委員部第5局 (1939年5月~1940年6月)
- 赤軍参謀本部情報局 (1940年6月~1942年2月)
- 赤軍参謀本部情報総局 (1942年2月~9月)
- 赤軍参謀本部部隊情報局 (1942年9月~1943年2月)
- 赤軍参謀本部情報局、赤軍情報総局(国防人民委員部情報総局) (1943年2月~1945年6月)
- 赤軍参謀本部情報総局 (1945年6月~1946年)
- 軍参謀本部情報総局 (1946年~1947年)
- ソ連閣僚会議附属情報委員会 (1947年~1949年)
- 軍参謀本部情報総局 (1949年~1950年)
- ソビエト軍参謀本部情報総局 (1950年~1955年)
- ソ連軍参謀本部情報総局 (1955年~1991年)
- ロシア連邦軍参謀本部情報総局 (1991年~)
歴代軍情報部長
職名 | 氏名 | 階級 | 在任期間 | 出身校 | 前職 |
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登録局長 | セミョーン・アラロフ | 1918.11-1919.6 | ロシア帝国軍の将校 | 軍事委員 | |
セルゲイ・グセフ | 1919.6-1919.12 | 共産党員 | 共和国革命軍事会議議員 | ||
ゲオルギー・ピャタコフ | 1920.1-1920.2 | ||||
登録局長 | ウラジーミル・アウセム | 1920.2-1920.6 | 共産党員 | 登録局副局長 | |
登録局長 | ヤン・レンツマン | 1920.6-1921 | 共産党員 | 第15軍革命軍事会議議員 | |
情報局長 | アルヴィド・ゼイボト | 1921-1924 | 共産党員 | 登録局長代行 | |
情報局長 | ヤン・ベルジン | 1924.3-1935.4 | 共産党員 | 情報局副局長 | |
情報局長 | セミョーン・ウリツキー | 1935.4-1937.6 | 共産党員 | 自動車装甲戦車局副局長 | |
情報局長 | ヤン・ベルジン | 1937.7-1937.11 | 共産党員 | スペイン共和国軍主任軍事顧問 | |
情報局長 | セミョーン・ゲンディン | 国家保安上級少佐 | 1937.11-1938.10 | モスクワ指揮砲兵課程 | 情報局長代行 |
情報局長 | A.オルロフ | 1938.10-1939 | |||
第5局長 | イワン・プロスクロフ | 1939-1940.6 | |||
情報局長 | フィリップ・ゴリコフ | 中将 | 1940.6-1941.10 | 共産党員 | 第6軍司令官 |
情報局長 | アレクセイ・パンフィーロフ | 中将 | 1941.10-1942.8 | 共産党員 | 情報局副局長 |
情報総局長 | イワン・イリイチェフ | 中将 | 1942.8-1945.7 | 共産党員 | 情報局政治課長 |
情報総局長 | フョードル・クズネツォフ | 中将 | 1945.7-1947.9 | 共産党員 | 戦線情報局長 |
N.トルソフ | 1947-1949 | ||||
情報総局長 | マトヴェイ・ザハロフ | 1949-1952 | ペトログラード砲兵指揮官課程 | 参謀本部軍事アカデミー校長 | |
情報総局長 | M.シャリン | 大将 | 1952-1956 | ||
情報総局長 | セルゲイ・シュテメンコ | 大将 | 1956-1957 | セヴァストポリ軍事砲兵学校 | |
情報総局長 | M.シャリン | 1957-1958.12 | |||
情報総局長 | イワン・セーロフ | 1958.12-1963.1 | 共産党員 | KGB議長 | |
情報総局長 | ピョートル・イワシュチン | 上級大将 | 1963.1-1987.7 | 軍事飛行士学校 | KGB第一副議長 |
情報総局長 | V.ミハイロフ | 大将 | 1987.7-1991 | ||
情報総局長 | エフゲニー・チモーヒン | 大将 | 1991-1992.8 | ||
情報総局長 | フョードル・ラドゥイギン | 大将 | 1992.9-1997.5 | ハリコフ空軍学校 | 条約・法務局長 |
情報総局長 | ワレンチン・コラベリニコフ | 上級大将 | 1997.5-2009.4 | ミンスク高等技術高射ミサイル学校 | 情報総局副総局長 |
情報総局長 | アレクサンドル・シュリャフトゥロフ | 中将 | 2009.4-2011.12 | 情報総局第一副総局長 | |
情報総局長 | イーゴリ・セルグン | 上級大将 | 2011.12-2016.1 | ||
情報総局長 | イーゴリ・コロボフ | 上級大将 | 2016.2-2018.11 |
現状
2006年4月、参謀総長ユーリー・バルエフスキー上級大将は、軍情報機関の改編について表明した。国防省筋によれば、地上軍・海軍・空軍の軍種情報局が廃止され、各軍種情報局の機能は、参謀本部情報総局に移管される。各軍種には、情報局に基づき、大佐を長とする佐官6人から成る情報課が創設される(情報局時代は定数20人未満、局長は中将)。
アメリカの連邦捜査局(FBI)などは、2016年のアメリカ大統領選挙におけるヒラリー・クリントン陣営に対するサイバー攻撃(2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉)にGRUが関与していると断定。この報告に基づき、オバマ大統領は2016年12月、駐米ロシア外交官35人を国外追放する報告措置をとった[1]。
所属したことがある人物
セルゲイ・スクリパリ - スパイ容疑で逮捕された後、ロシアを出国。
脚注
^ 点検トランプ政権(4)火種「ロシアゲート」『読売新聞』朝刊2017年5月3日
関連項目
- ロシア対外情報庁
- スペツナズ
- ソ連国家保安委員会
- アメリカ国防情報局
- リヒャルト・ゾルゲ
- 赤いオーケストラ
外部リンク
Империя ГРУ(ロシア語) 『GRU帝国』。ドミトリー・プロホロフの著作
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