パイソン (ミサイル)






前方にあるのがパイソン5


パイソンは、イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社で開発された短距離空対空ミサイル。前作のシャフリル1および2の経験を生かして開発された。初期型はパイソン3であり、発展型のパイソン4および5がある。




目次






  • 1 概要


    • 1.1 来歴


    • 1.2 パイソン3


      • 1.2.1 PL-8




    • 1.3 パイソン4


    • 1.4 パイソン5




  • 2 派生型


  • 3 採用国


  • 4 諸元表


  • 5 参考文献・脚注


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク





概要



来歴


第四次中東戦争までに、イスラエルはAIM-9Bを改良したシャフリル2を開発・生産・運用していた。1970年代前半よりシャフリル2の後継のミサイルとして、パイソン3の開発が開始された。シャフリルが2まであったために、パイソンは3からの名称となっている。



パイソン3





F-15D バズに装備されたパイソン3


パイソン3は、シャフリル2よりも射程が延長され、全方位能力を有するようになった。前部に4枚のカナードを持ち、後部に4枚の安定翼を持つ。1982年のレバノン侵攻で実戦使用もなされている。中国でもパイソン3をライセンス生産し、PL-8として制式化されている。射程は15km。



PL-8




PL-8を装備したJ-11B


中国の西安東機械工場によるライセンス生産型。1982年にライセンス契約が結ばれ、八号工程の計画名で1983年9月15日から技術移転を開始、1989年4月には技術移転を完了し、運用に入った。
以下の型式がある。





PL-8


イスラエルより輸入したもの。

PL-8A

イスラエルより輸入した部品でノックダウン生産したもの。

PL-8B

完全なライセンス生産型で、すべての部品を国内製造している。また、改良も加えられており、シーカーをPL-9C(en)のものに変更し、ヘルメット装着目標指示システムと連動できるようにしている[1]

PL-8H


弾頭を10kgに軽量化した地対空ミサイル型。中国航空輸出入公司(CATIC)によって開発された。






パイソン4




F-15D バズの翼下に装備されたパイソン4


1990年代より配備開始。前部に4枚ずつ2組のカナードを持ち、後部に4枚の安定翼を持つ。センサーは赤外線と紫外線のデュアル・バンドに対応し、対妨害能力を向上、HMSによるヘルメット・サイト照準にも対応する。撃墜率を上げるためレーザー信管と着発信管の2つの近接信管を搭載している。



パイソン5




パイソン5


2000年代より配備開始。前部に4枚ずつ2組のカナードを持ち、後部に4枚の安定翼を持つ。慣性航法装置を内蔵し、発射後ロックオン(LOAL)能力を備え、全方位能力のほか、自機後方象限を含む全方位への発射能力を有する。誘導方式はデュアル・バンドに対応した赤外線画像誘導。オフ・ボアサイト能力も優れており、センサー角は100°を有する。射程は20km。ボーイング社のUCAVに搭載される空対空兵器の候補に挙がっており、少数がサンプルとしてアメリカに輸出されている。また、SPYDER-MR用としてブースターを装備し射程を延ばしたパイソンMRと呼ばれるモデルがある[2]



派生型




スパイダー・システムの内、ミサイル発射機


本ミサイルの派生型としてSPYDER = Surface-to-air PYthon and DERby 地対空ミサイルシステムがあり、ダービーおよびパイソン5が地対空ミサイルとして用いられる。



採用国




2本のパイソン3を装備した中国海軍所属のJ-8戦闘機




  • アルゼンチンの旗 アルゼンチン - パイソン4を購入。


  • イスラエルの旗 イスラエル - 開発国。


  • インドの旗 インド - 2007年にパイソン4を100発購入。


  • エクアドルの旗 エクアドル - 1996年にパイソン3を60発、2001年にパイソン4を50発購入。


  •  コロンビア - 2005年にパイソン3とパイソン4をそれぞれ25発購入。2011年にパイソン5を100発購入。


  • シンガポールの旗 シンガポール - 2004年にパイソン4を600発購入。


  • タイ王国の旗 タイ - 1990年にパイソン4を400-500発購入。


  • 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 - PL-8としてパイソン3をライセンス生産。


  •  チリ - 1997年にパイソン3を120発、2011年にパイソン4を280発購入。


  • ブラジルの旗 ブラジル - 2001年にパイソン3を400発、2011年にパイソン4を200発購入。


  • ベネズエラの旗 ベネズエラ - 2004年にパイソン4を54発購入。


  •  ボリビア - パイソン3を購入。


  •  南アフリカ共和国 - 1989年にパイソン3を購入。V3S スネークという型式と愛称が与えられていた。2008年4月に退役。


  •  ルーマニア - パイソン3を購入。



諸元表




上よりシャフリル1、シャフリル2、パイソン3、パイソン4、パイソン5























































パイソン3
パイソン4
パイソン5
直径
15cm
16cm
全長
295cm
310cm
全幅
80cm 50cm 64cm
重量
120kg
103.6kg

弾頭重量
11kg
推進方式

固体燃料ロケット
誘導方式

赤外線ホーミング(IRH)

二波長光波ホーミング(IR/UVH)

赤外線画像(IIR)
射程
15km
20km以上
飛翔速度

M3.5
M4以上




参考文献・脚注






  • Carlo Kopp (1997年4月). “Fourth Generation AAMs - The Rafael Python 4” (英語). 2011年6月18日閲覧。



  1. ^ 軍事研究2015年2月号P.40-41


  2. ^ Python-MR



関連項目



  • シャフリル

  • ダービー



外部リンク




  • Python-5 brochure ラファエル社公式


  • Python-3/4/5 GlobalSecurity.org

  • Python-3

  • Python-4




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