日野・ポンチョ






ポンチョ(2代目ロング)側面LED式大型行先表示機搭載車
BDG-HX6JLAE 横浜市営バス


ポンチョ (Poncho) は、ジェイ・バスが製造し、日野自動車が販売している路線用小型ノンステップバス。


愛称の由来は、ポンと乗ってチョこっと行くことから。また衣服のポンチョにもかけている。


2002年から2005年に発売された半国産の初代ポンチョと、2006年以降発売されている純国産の2代目ポンチョ (HX系) の2種類があるが、本項では両者を扱う。




目次






  • 1 初代


  • 2 2代目 (HX系)


    • 2.1 ADG-HX6J系/BDG-HX6J系


    • 2.2 SKG-HX9J系/SDG-HX9J系


      • 2.2.1 電気バス




    • 2.3 2DG-HX9J系(現行車種)




  • 3 注釈


  • 4 出典


  • 5 関連項目


  • 6 外部リンク





初代




日野・ポンチョ(初代)VF3ZCPMAC
VF3ZCPMAC-Kanachu-Chi107-Eboshi.jpgVF3ZCPMAC-Kanachu-Chi107-rear.jpg
神奈川中央交通/茅ヶ崎市えぼし号


日野・ポンチョ(初代)背面ドア付
NishiTokyoBus B202 Hamurun.jpgNishiTokyoBus B202 Hamurun rear.jpg
西東京バス/羽村市はむらん

初代ポンチョは欧州製の小型バスに対抗してつくった半日本製バスで、シャーシ・エンジンはフランスのPSA・プジョーシトロエン製、ボディーは日野グループ製となる。この仲介役はトヨタであるが、当時、トヨタ・アイゴで合弁関係となったPSAに対する配慮の一環といわれている。


シャシは前輪駆動となっているのが特徴で、欧州では「プジョー・ボクサー」・「シトロエン・ジャンパー」、「フィアット・デュカート」にも使われているものである。


サスペンションは前輪がストラット + コイルスプリング、後輪がリジッドアクスル + 半だ円リーフスプリングとなっており、現在主流の空気バネによるニーリング機構を備える車両とは異なっている。


またエンジンもフロントエンジンを採用している点で特徴的である。93kW(127PS)のインタークーラー・ターボ付き2.8リッター直列4気筒ディーゼルエンジンを横置きし、変速機は5速マニュアルトランスミッションのみのラインナップとなる。


これらの仕様が示すように、構造的にはミニバンやデリバリーバンなどと同様、乗用車の延長である。


車両のサイズは全幅2 m×全長5.8 mで、客室フロア全体がノンステップとなっている。なお、登場当初は日野車体工業でボディー架装が行われていたが、日野自動車といすゞ自動車のバス製造事業が統合されてジェイ・バスが発足した後は、製造がトヨタテクノクラフトに移管された。


また仕様が簡略化されており、車種も絞られているのが特徴で、後面ドア付を含めても2仕様だけであり、価格も単一(1,530万円)、行先表示もユーザーが方向幕装置などを希望しなければ差し込み式となる。


発売開始は2002年で、2003年には車椅子の乗降に便利な背面ドア(バックドア)付仕様が追加された。当初の予定から3年間で90台の限定生産品となっており、2005年をもって販売終了した。


定員

  • 座席12+立席7+運転席1の計20人乗り(車椅子1台乗車可能)である。なお、背面ドア付仕様は定員が1名減となる。



2代目 (HX系)




2代目ポンチョの運転席




2代目ポンチョ(ショート)の車内(日立自動車交通)


2代目ポンチョは初代とは異なり、純日本製のバスとなった。また、日野自動車・いすゞ自動車のバス製造事業統合に伴い、ジェイ・バス小松事業所で製造される。


リエッセ (RX系) をベースとして、2004年の第38回東京モーターショーに参考出品した純国産の小型ノンステップバス「ポンチョL」を量産化向けに仕様変更したもので、2006年(平成18年)3月22日[1]に発売開始された。


「シンプルで丸みある親しみやすい外観デザイン」、「ユニバーサルデザイン思想の乗降性や室内空間」をコンセプトとしており、それが高く評価され、2006(平成18)年度のグッドデザイン賞を受賞している[2](受賞番号06A12031)。デザイナーは塩野太郎(鉄道デザイナー、現:総合車両製作所所属)。


可愛らしい外観に合わせて灯火類は全て丸形で揃えられているが、これらは専用部品ではなく、前照灯は日野と同じくトヨタグループに属するダイハツの軽自動車、2代目ムーヴカスタム(L900系)からの流用、リヤのランプ類も2代目セレガと共通とするなど、個性を出しつつコストを抑えている。


車体は基本的にリエッセをベースとしているが、2代目セレガ同様、サスペンションやエンジンなど、前後それぞれ別のシャーシを、フルディップカチオン電着塗装を済ませたボディに「ポン載せ」する工法にて組み立てられている。全長はリエッセと同じ7 mの「ロング」に加え、6.3 mの「ショート」が新たに設定された。


フルフラットノンステップとはいかなかったものの、ホイールベース間に関しては車椅子が回転できる幅のノンステップフロアが確保されているほか、ニーリング機構が標準装備となった。短めの全長に対して出来る限り広いノンステップエリアを確保するため、横置きリアエンジン式とされ、さらにトランスミッションの上にエンジンを重ねる2階建て配置とすることで、長いホイールベースと短いリアオーバーハングを両立させている。


乗降扉はワンボックスカーのような外側スライド式のプラグドアで、ロングでは2扉となる。ロングでは定員30名以上を確保しており、非常口も設置されている。仕様としては、ロング・ショートともに「前向きシートタイプ」「横向きシートタイプ」「前向きシートタイプ・寒冷地仕様」の3種類が設定されている。



ADG-HX6J系/BDG-HX6J系



日野・ポンチョ(2代目 ロング)
Kantobus-mubus-poncho-20070521.jpgKantobus-mubus-poncho-rear-20070521.jpg
ADG-HX6JLAE 関東バス/武蔵野市ムーバス

前述のとおり、2006年(平成18年)3月22日[1]に発売開始(ADG-HX6J系)。同年12月20日には、電子制御式5速AT車が追加設定された[3]


エンジンは排気量4.7リッター、ターボ付き直列4気筒のJ05D (J5-IIF) 型(132 kW/180 ps)となる。あわせて日野自動車の排出ガス浄化装置「DPR」を採用してPMを低減することで、平成17年排出ガス規制(新長期規制)に適合している。また、ABSが標準装備となっている。


車両価格は、初代ポンチョとほぼ同じ1,541万円(ロングボディ・都市型シート多区間)で、リエッセの路線仕様ステップリフトバス(新車価格1,036万円)に比べ、500万円ほど高価である。製造台数は、2007年(平成19年)11月末時点で200台以上が製造されている。


2007年(平成19年)7月18日に一部改良を実施し、NOx・PMをともに10%低減させて発売した(BDG-HX6J系)。外観・内装ともに改良前(排ガス記号ADG代)のモデルとの違いはほとんどなく、外見上の判別は困難である。


さらに同年9月には、京浜急行バス・横浜市営バスにおいて、ポンチョでは初めて側面LED式大型行先表示器を搭載した車両が登場した。[要出典]


2008年(平成20年)10月には、ロングボディに座席定員18人を確保した1扉車が追加設定された[4][注釈 1]。1扉車(郊外型シート多区間)は座席18、立席14、運転席1の33人乗り。前向きシートを右側2人掛け・左側1人掛けとすることで座席数を増やしている[5]


型式は以下のとおり。



















ショート
ロング
排出ガス規制識別記号ADG代車
ADG-HX6JHAE
ADG-HX6JLAE
排出ガス規制識別記号BDG代車
BDG-HX6JHAE
BDG-HX6JLAE

定員


  • ショート(形式:ADG/BDG-HX6JHAE

    • ノンステップ部横向き:座席14+立席10+運転席1、計25人乗り

    • ノンステップ部前向き:座席10+立席18+運転席1、計29人乗り

    • ノンステップ部左側横向き・右側前向き:座席12+立席14+運転席1、計27人乗り(寒冷地仕様)



  • ロング(形式:ADG/BDG-HX6JLAE

    • ノンステップ部横向き:座席14+立席16+運転席1、計31人乗り

    • ノンステップ部前向き:座席11+立席24+運転席1、計36人乗り

    • ノンステップ部左側横向き・右側前向き:座席12+立席21+運転席1、計34人乗り(寒冷地仕様)

    • ノンステップ部前向き、左側1人掛け・右側2人掛け:座席18+立席14+運転席1、計33人乗り(1扉車・郊外型シート)






SKG-HX9J系/SDG-HX9J系



日野・ポンチョ(2代目 ロング)
KeioBusHigashi D21203 Sugimaru.jpgKeioBusHigashi D21203 Sugimaru rear.jpg
SDG-HX9JLBE 京王バス東/杉並区すぎ丸

2011年(平成23年)8月9日にマイナーチェンジを行い、MT車はSKG-HX9J系、AT車はSDG-HX9J系にそれぞれ変更された。


エンジンは4.728リッターのJ05D (J5-IIF) 型から5.123リッターのJ05E (J5-V) に変更され(エンジン出力はADG・BDG車から変更なし)、DPRを改良することで平成22年排出ガス規制に適合し、MT車に関しては平成27年度燃費基準も達成した。また、日野のクリーンディーゼルシステムである「AIR LOOP」を採用した。


マイナーチェンジでアイドリングストップシステムが標準装備になったほか、シートレイアウトに郊外路線用が追加された[6]


今回の新規制に際し、日野の小型路線車はツーステップのリエッセ (RX系) が生産中止となるため、後継車種であるポンチョに集約されることになった[7]


2012年(平成24年)5月10日には、同年7月から適用されるシートおよびシートベルトに関する保安基準および、新ワンマンバス構造要件に適合したマイナーチェンジを実施した[8]


型式は以下のとおり。



















ショート
ロング
SKG車
SKG-HX9JHBE
SKG-HX9JLBE
SDG車
SDG-HX9JHBE
SDG-HX9JLBE



電気バス




ポンチョ電気バス 1号車
NishiTokyoBus B21251 Hamurun EV bus.jpgNishiTokyoBus B21251 Hamurun EV bus rear.jpg
SDG-HX9JLBE改 西東京バス/羽村市はむらん

2012年(平成24年)3月、コミュニティバス向けの電気バス仕様「HINO PONCHO LOW-FLOOR ELECTRIC COMMUNITY BUS」が開発された。1号車が東京都羽村市、2号車が東京都墨田区に納入され、電気バスによる運行を開始した[9]。型式はSDG-HX9JLBE改[10]


ポンチョを改造した電気バスは以前から存在するが[注釈 2]、羽村市と墨田区に納入された電気バスは、メーカーである日野自動車自身により開発されたものである[11]


同年3月10日、1号車が羽村市コミュニティバス「はむらん」で運行開始した。これが全国初の電気バスによる定期運行となる[9]。羽村市で初の導入となったのは、市内に日野自動車の羽村工場があるため[12]。西東京バスB21251号車で、青梅営業所が運行受託する。


続いて同年3月20日には、2号車が墨田区コミュニティバス「すみだ百景 すみりんちゃん」で運行開始した[9]。京成バス1401号車で、奥戸営業所が運行受託する。


電気バスは販売実績の多いロングボディで開発され、車両はいずれも2ドアのロングボディとなっている。羽村市「はむらん」ではショートボディを採用しているため、他の車両と乗降方式を合わせて中扉を閉め切り扱いとしている[9]


バッテリーは小型のものを搭載し、短距離を走行して高頻度に充電することを前提として開発されており、満充電時の航続距離は30 kmと短く設定されている[9]。パワートレインは、米国UQMテクノロジーズ社製200 kWモーターと、IHI製リチウムイオンバッテリー(30 kWh)が組み合わされる[11]


車両価格は約8000万円と非常に高額である。日野自動車によると、その費用の大半はパワートレインが占め、中でもバッテリーの割合が大きいという。路線バスとして実用的なレベルまで航続距離を伸ばすためには、理想のバッテリー性能は10倍程度必要だが、現状では市場にそれを満たすものが存在しないという[9]。なお実際の運行のためにはそのほかに、充電設備の設置費用などがかかることになる。




2DG-HX9J系(現行車種)


2017年(平成29年)12月5日にマイナーチェンジを行い、平成28年排出ガス規制に適合した(12月21日発売開始)[13]


エンジンはJ05E (J5-Ⅵ) 型に変更された(排気量、エンジン出力はSDG・SKG車から変更なし)。排出ガス浄化システムにDPRに加え尿素SCRシステムが採用された。トランスミッションは5速MTが廃止され、5速ATに一本化された。このほか、室内灯がLED化され、マルチインフォメーションディスプレイ付き新型メーターが採用された[13]


型式は以下のとおり。











ショート
ロング
2DG-HX9JHCE
2DG-HX9JLCE


注釈





  1. ^ なお、これよりも前に産交バスのみなくるバス用にこのタイプを納入した実績がある。


  2. ^ 早稲田大学や東京R&Dなどにより改造されたコンバートEV(英語版)。東京都港区のコミュニティバス「ちぃばす」では東芝製二次電池を搭載した電気バスで実証運行が行われた。




出典




  1. ^ ab“日野、小型路線バスの新型 ポンチョ を発売”. Response. (株式会社イード). (2006年3月22日). https://response.jp/article/2006/03/22/80451.html 2018年7月31日閲覧。 


  2. ^ “日野 ポンチョ にグッドデザイン賞”. Response. (株式会社イード). (2006年10月6日). http://response.jp/article/2006/10/06/86863.html 2016年4月12日閲覧。 


  3. ^ 小型路線バス「日野ポンチョ」に“電子制御式5速オートマチックトランスミッション”車を追加設定 2006年12月20日、日野自動車ニュースリリース


  4. ^ 『年鑑バスラマ 2008→2009』 ぽると出版、2008年、p.34。ISBN 978-4-89980-014-9。


  5. ^ 日野ポンチョ ラインアップ 日野自動車公式サイト


  6. ^ 日野自動車、小型バス「日野ポンチョ」を改良し平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合させ新発売 2011年8月9日、日野自動車


  7. ^ バスラマ・インターナショナルNo.127 P.7 2011年8月25日 ISBN 978-4-89980-127-6


  8. ^ “日野自動車、バスシリーズを改良して新発売” (プレスリリース), 日野自動車, (2012年5月10日), http://www.hino.co.jp/news_release/165.html 

  9. ^ abcdef“【EVバス運行開始】車両価格8000万円、満充電での航続は30km”. Response.. (2012年3月12日). http://response.jp/article/2012/03/12/171232.html 2012年3月22日閲覧。 


  10. ^ 『バスジャパンハンドブックシリーズ S86 京王バス・西東京バス』 BJエディターズ、2014年12月1日。ISBN 978-4-434-19866-3。

  11. ^ ab「"メーカー開発"の電気バス 日野ポンチョEV 登場」、『バスラマ・インターナショナル』第131号、ぽると出版、2012年5月、 pp. 8-10。


  12. ^ コミュニティバス「はむらん」のご案内 羽村市公式サイト

  13. ^ ab“日野自動車、小型バス「日野ポンチョ」を改良して新発売” (プレスリリース), 日野自動車, (2017年12月5日), http://www.hino.co.jp/news_release/17-030.html 




関連項目







  • 日野自動車

  • 日野・リエッセ

  • 電気バス

  • 三菱ふそう・エアロミディME

  • クセニッツ

  • オムニノーバ・マルチライダー


  • メルセデス・ベンツ スプリンター(T1N)



外部リンク


  • 日野ポンチョ




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