バオバブ
バオバブ属 | |||||||||||||||||||||
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アフリカバオバブ(A. digitata) | |||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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英名 | |||||||||||||||||||||
Baobab | |||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||
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バオバブ(英名:Baobab、学名:Adansonia)は樹木の属の一つ。アオイ目アオイ科(クロンキスト体系や新エングラー体系ではパンヤ科)バオバブ属の総称。
目次
1 名称
2 特徴
3 利用
4 その他
5 種
6 脚注
7 参考文献
8 外部リンク
名称
「バオバブ」の名は、16世紀に北アフリカを旅したイタリア人植物学者が「バ・オバブ」と著書に記したのが始まり。もとはアラビア語のブー・フブーブ(種がたくさんあるもの)から来ているという説がある。
学名は、A. digitata を報告した仏人自然学者ミシェル・アダンソン (Michel Adanson) の名に由来する。原生種がマダガスカルに6種、オーストラリアに1, 2種、アフリカ大陸に2種が存在する。
アフリカの諸言語ではそれぞれ呼称が異なる。ズールー語では「ウムコーモ」、ハウサ語では「クーカ」(Kuka)、スワヒリ語では「ムブユ」(mbuyu)、フルベ語では「ボッキ」、バンバラ語では「シラー」、モシ語では「トゥエガ」と呼ばれる[1]。
特徴
サバンナ地帯に多く分布する[2]。幹は徳利のような形をしていて、高さは約30メートル、直径は約10メートルに及ぶ。最大のものは南アフリカのリンポポにあり、高さ47m、直径15mである。
中は空洞になることが多い。葉は幹の上部につき、乾季に落葉する。花は白色で大きい。果実はヘチマのように垂れ下がり、堅い。
大木の幹には10トンもの水分を蓄えており[1]、乾季になると葉を落とし休眠する。休眠中は、幹内の水分で生きのびる。
年輪がないので樹齢を知ることは難しいが、数千年に達するといわれる[2]。放射年代測定は可能である。2011年に枯死したジンバブエのバオバブは樹齢2500年と推定された。
利用
アフリカ諸国では食用などさまざまに活用され、親しまれている。
オーストラリアの先住民族アボリジニの間では、ブッシュ・タッカーとして古くから消費されていた。
果肉は食用・調味料とされ、セネガルでは「サルのパン」と呼ばれる[2]。ビタミンCがオレンジより多く、カルシウムも牛乳より多いといわれる。種子からは、油が採集できる。また、若葉を野菜として利用する。樹皮は煎じて解熱剤に用いられるほか、細かく裂いて編めば強靭なロープを作ることができる。
その他
- 言い伝えによると、その姿はまるで悪魔が巨木を引き抜いて逆さまに突っ込んだようだといわれている。
サン・テグジュペリの『星の王子さま』では、放置すると星を破壊する有害な巨木として描かれており、見つけ次第抜かれてしまうことになっている。- 日本では、浜名湖花博において初めて屋外で開花した。観葉植物にもなり、盆栽型に仕立てることもできる。
種
マダガスカルに6種と1変種、アフリカ大陸に2種、オーストラリアに少なくとも1種が生育する。
Adansonia digitata L. - アフリカバオバブ(アダンソニア・ディギタタ[3]、バオバブ、バオバブノキ[4]) … アフリカ大陸に唯一見られるバオバブとして知られていた[3]。
A. fony Baill. - アダンソニア・フォニイ … マダガスカル西部および南部の沿岸部に分布[5]。
A. fony var. rubrostipa (Jum. & H.Perrier) H.Perrier(シノニム: A. rubrostipa Jum. & H.Perrier - アダンソニア・ルブロスティパ[6])- フォニーバオバブ[7] … マダガスカルに分布し、IUCNレッドリストでは準絶滅危惧 (Lower Risk/near threatened ver 2.3) と評価されている[8]。
A. grandidieri Baill. - グランディディエバオバブ[9](アダンソニア・グランディディエリ) … マダガスカル西部に分布する[10]。過去(1953年)から将来(2116年)にわたって進行すると推定される生育地の喪失や、家畜による苗床の食害、ヒトによる果実の消費、化粧品精製を目的とする種子の採取などの要因から、IUCNレッドリストでは絶滅危惧種 (Endangered ver 3.1) と評価されている[11]。さらに、ワシントン条約 (CITES) 附属書II(2017年10月4日版)にも記載されており、種子、果実、油、生木の取引にマダガスカル共和国の許可が必要となる可能性がある[12][13]。
A. gibbosa (A.Cunn.) Guymer ex D.A.Baum … Hassler (2018) でオーストラリア北部に見られる独立種とされているが、The Plant List (2013) では A. gregorii のシノニム扱いとされている。
A. gregorii F.Muell. … オーストラリアの西オーストラリア州およびノーザンテリトリーに分布[14]。
A. kilima Pettigrew, K.L.Bell, Bhagw., Grinan, Jillani, Jean Mey., Wabuyele & C.E.Vickers … 2012年になって新たに記載された、アフリカ大陸に見られる種[14]。
A. madagascariensis Baill. - アダンソニア・マダガスカリエンシス[6] … マダガスカルに分布し、IUCNレッドリストでは準絶滅危惧 (Lower Risk/near threatened ver 2.3) と評価されている[15]。
A. perrieri Capuron - アダンソニア・ペリエリ[16] … マダガスカル北端の限られた場所だけに分布し、IUCNレッドリストでは絶滅危惧種 (Endangered ver 2.3) と評価されている[17]。
A. suarezensis H.Perrier - アダンソニア・スアレゼンシス[16] … マダガスカルに分布する。気候変動により将来的に半数を超える個体が生育できなくなると見積もられており、IUCNレッドリストでは絶滅危惧種 (Endangered ver 3.1) と評価されている[18]。
A. za Baill. - アダンソニア・ザ … マダガスカル西部および南西部の内陸部に分布する[5]。IUCNレッドリストでは準絶滅危惧 (Lower Risk/near threatened ver 2.3) と評価されている[19]。
アフリカバオバブ(モザンビーク)
フォニーバオバブ(マダガスカル)
グランディディエバオバブ(マダガスカル)
A. gregorii(オーストラリア)
アダンソニア・マダガスカリエンシス(マダガスカル)
アダンソニア・スアレゼンシス(マダガスカル)
アダンソニア・ザ(マダガスカル)
脚注
- ^ ab講談社 2002.
- ^ abc毎日 1978.
- ^ ab冨山 (2003:166).
^ 米倉・梶田 (2003-).
- ^ ab冨山 (2003:246).
- ^ abバオバブ:マダガスカル島の固有植物. (マダガスカルツアーサービス). 2018年8月8日閲覧。
^ IUCN (2014:259).
^ World Conservation Monitoring Centre (1998c).
^ IUCN (2014:110).
^ 冨山 (2003:247).
^ Ravaomanalina & Razafimanahaka (2016).
^ Appendices. (CITES). 2018年8月8日閲覧。
^ The CITES Appendices. (CITES). 2018年8月8日閲覧。
- ^ abHassler (2018).
^ World Conservation Monitoring Centre (1998a).
- ^ abマダガスカルのバオバブは絶滅寸前〜日経サイエンス2013年12月号より. (日経サイエンス). 2018年8月8日閲覧。
^ World Conservation Monitoring Centre (1998b).
^ World Conservation Monitoring Centre (2017).
^ World Conservation Monitoring Centre (1998d).
参考文献
英語:
- Hassler, M. (2018). World Plants: Synonymic Checklists of the Vascular Plants of the World (version Apr 2018). In: Roskov Y., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., De Wever A., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds. (2018). Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 31st July 2018. Digital resource at http://www.catalogueoflife.org/col. Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-8858.
The Plant List (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ (accessed 7th August 2018).- Ravaomanalina, H. & Razafimanahaka, J. (2016). Adansonia grandidieri. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T30388A64007143. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T30388A64007143.en. Downloaded on 08 August 2018.
- World Conservation Monitoring Centre. (1998a). Adansonia madagascariensis. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T37681A10066258. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T37681A10066258.en. Downloaded on 08 August 2018.
- World Conservation Monitoring Centre. (1998b). Adansonia perrieri. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T33612A9796654. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T33612A9796654.en. Downloaded on 08 August 2018.
- World Conservation Monitoring Centre. (1998c). Adansonia rubrostipa. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T37679A10065959. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T37679A10065959.en. Downloaded on 08 August 2018.
- World Conservation Monitoring Centre. (1998d). Adansonia za. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T37680A10066170. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T37680A10066170.en. Downloaded on 08 August 2018.
- World Conservation Monitoring Centre. (2017). Adansonia suarezensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T30389A64366973. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T30389A64366973.en. Downloaded on 08 August 2018.
日本語:
- IUCN(国際自然保護連合)編、岩槻邦男・太田英利 訳『IUCNレッドリスト 世界の絶滅危惧生物図鑑』丸善出版、2014年。978-4-621-08764-0
- 冨山稔『世界のワイルドフラワーI 地中海ヨーロッパ/アフリカ;マダガスカル編』学習研究社、2003年。ISBN 4-05-201912-1
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2018年8月7日).
- 毎日新聞社編 『黒い光と影 : 未来大陸アフリカ』 毎日新聞社、1978年、118頁。
- 吉田繁(撮影)、蟹江節子 『地球遺産 最後の巨樹』 講談社、2002年。
外部リンク
- バオバブ研究会(バオバブ博士) バオバブフルーツなど食の紹介、効果効能などの情報サイト
朝日新聞地球異変余録 マダガスカル編(2)- 2009年掲載のマダガスカルのバオバブ現状の写真ルポルタージュ