音程

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音程(おんてい、英語: Interval〈インターバル〉)とは、二つの音の高さの隔たりのことである。順次的に鳴る音に対する音程を旋律的音程と呼び、同時に鳴る音に対する音程のことを和声的音程と呼ぶ[1]。いずれにせよ、全音階を構成する8度までの単音程の組み合わせによって、あらゆる音程を構成することができる。注意点としては、音高に隔たりのない二音を「完全1度」と呼ぶので、全音階上で隣り合う二音は1度ではなく2度の関係だということである[2]。
この記事では伝統的な西洋音楽において一般的な、半音を最小単位として構成される音程について記述する。半音より細かい音程、又はそれを含む音程については、微分音を参照のこと。
目次
1 度数
2 音程名
3 「増」「減」「重増」「重減」
4 転回音程
5 譜例
6 全音階的音程と半音階的音程
7 異名同音的音程
8 協和音程・不協和音程
9 周波数比と音程
10 日本語とヨーロッパ主要言語における表現
11 引用文献
12 参考資料
13 参考文献
14 関連項目
15 外部リンク
度数
音程の基本は、二つの音がどの程度隔たっているのかを、「度」という接尾辞を使って段階的にあらわすことである。
- これは、五線譜上の音から音までに並ぶ、「線」と「間」を数えた合計である。たとえば、五線譜はかならず「線」と「間」が交互に並ぶので、ある「線」に置かれた音を一つ目として数えるとき、二つ目の音が2個目の「間」に置かれている場合、「線」が2個、「間」が2個で、合計4個だから、この二音の高さを4度と呼ぶ。
- あるいは、求めたい二つの音を全音階上に置く。このとき、♯や♭は考慮しない。つぎに、二つの音とその間に挟まれた音を音階上ですべて数え上げる。この数が「度数」である。たとえば、二つの音がCとそのすぐ上のEであるならば、「C・D・E」と3つの音名が数え上げられるから、CからEは3度である。
このように両端の音を数えているため、「度数」を普通の計算式で計算できないという事態が生じる。すなわち、3度と4度を加えると6度となる。計算するには「度数は常に1多く唱えられる」と考える。すなわち、計算する前にまず1を減じ、計算後に1を加える。3度と4度の例では ( 3 - 1 ) + ( 4 - 1 ) + 1 である(いわゆる植木算の留意点と同じ)。
音程名
音程を数える接尾辞である「度」は、音程の幅を作る半音の数に応じて、いくつかの基本的な種類を持ち、「完全・短・長・減・増」などの結合辞が付いてはじめて明確な音程になる。
1度……同じ音の高さを完全1度、または同度、あるいはユニゾンと呼び、半音が1個分の幅を増1度と呼ぶ。
2度……半音が1個分の幅を短2度と呼び、半音が2個分の幅を長2度と呼ぶ。
3度……半音が3個分の幅を短3度と呼び、半音が4個分の幅を長3度と呼ぶ。
4度……半音が5個分の幅を完全4度と呼び、半音が6個分の幅を増4度または三全音(トライトーン)と呼ぶ。
5度……半音が6個分の幅を減5度または三全音(トライトーン)と呼び、半音が7個分の幅を完全5度と呼ぶ。
6度……半音が8個分の幅を短6度と呼び、半音が9個分の幅を長6度と呼ぶ。
7度……半音が10個分の幅を短7度と呼び、半音が11個分の幅を長7度と呼ぶ。
8度……半音が12個分の幅を完全8度、またはオクターブと呼び、ここまでの音程を単音程と呼ぶ。そして、結合辞はここから再び1度から7度までを循環する。
9度以上……ここからの音程を複音程と呼び、kオクターブとn度のように呼ぶこともある。求め方としては、9度以上の値をmとして m/7 を帯分数化すると k n/7 という値が出てくるので、分子が1のときだけkオクターブと呼び、mが7で割り切れる場合は、分子に最後の7を残して、kオクターブと7度のように呼ぶ。つまり、短14度であれば、オクターブと短7度のように呼ぶ。ただし、「9度のような若干の複音程は和声の特徴的な要素なので、大きいほうの数でよばれるのが普通である」[引用 1]。
「増」「減」「重増」「重減」
長または完全より半音広い音程に増(ぞう)、2半音広い音程に重増(じゅうぞう)という結合辞を付けて呼ぶ。
短または完全より半音狭い音程に減(げん)、2半音狭い音程に重減(じゅうげん)という結合辞を付けて呼ぶ。
転回音程
音の上下の関係をおきかえることを転回といい、音程を転回することで、その結果生じる音程を転回音程(てんかいおんてい)という。
単音程で原音程と転回音程の度数の関係(2度の転回音程は7度など)は、数を足すと、9になる。
転回による音程の結果は、長←→短、増←→減、重増←→重減(重増2度の転回音程は重減7度など)となる。また完全は転回しても完全である。
譜例
全音階的音程と半音階的音程
音程には、全音階の中に現れる音程とそうでない音程があり、前者を全音階的音程、後者を半音階的音程と呼ぶことがある。すべての完全音程、長音程、短音程と、増4度、減5度が全音階的音程で、それ以外が半音階的音程である。
下に、長音階に現れる各音程の一覧を示した。
下の音上の音 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ド |
完全8度 | 長2度 | 長3度 | 完全4度 | 完全5度 | 長6度 | 長7度 |
レ |
短7度 | 完全8度 | 長2度 | 短3度 | 完全4度 | 完全5度 | 長6度 |
ミ |
短6度 | 短7度 | 完全8度 | 短2度 | 短3度 | 完全4度 | 完全5度 |
ファ |
完全5度 | 長6度 | 長7度 | 完全8度 | 長2度 | 長3度 | 増4度 |
ソ |
完全4度 | 完全5度 | 長6度 | 短7度 | 完全8度 | 長2度 | 長3度 |
ラ |
短3度 | 完全4度 | 完全5度 | 短6度 | 短7度 | 完全8度 | 長2度 |
シ |
短2度 | 短3度 | 完全4度 | 減5度 | 短6度 | 短7度 | 完全8度 |
異名同音的音程
重嬰ロ(B##)音と嬰ハ(C#)音と変ニ(D♭)音などの異名同音は理論的には区別されるが、12平均律においては同じ音となる。
同様に、重増1度と長2度と減3度などの音程は、平均律においては同じ大きさとなる。
このような異名同音的音程は実際の楽曲にあっては、同じ音程と見なすことで、転調の足がかりなどとして活用される。
協和音程・不協和音程
協和の度合いによって音程を分類すると次のようになる。
協和音程
完全協和音程 - 完全1度・完全8度(これまでを特に絶対協和音程という)・完全4度・完全5度
不完全協和音程 - 長3度・短3度・長6度・短6度
不協和音程 - 長2度・短2度・長7度・短7度・その他
周波数比と音程
音程とは、物理的には音波の周波数比である。人間の耳は、音pと音qの2音の周波数比と、音rと音sの2音の周波数比とが等しければ、p-qの音程とr-sの音程が等しいと感じる。たとえば、440Hzと880Hzの2音の高さの違いと、880Hzと1760Hzの音の高さの違いはどちらも1:2であるから、同じ違いであると認識される(この例はどちらもオクターブ = 完全8度である)。よって、ある音程とある音程とを「加える」ことは、物理的にはそれぞれの周波数比を乗ずることとなる。
西洋音楽では周波数比が単純であればあるほど、より「協和」した音程であると認識されてきた。
- 周波数比が1:1の2音の音程は完全1度である。
- 周波数比が1:2の2音の音程は完全8度である。
- 周波数比が2:3の2音の音程は(純正律における)完全5度である。
- 周波数比が3:4の2音の音程は(純正律における)完全4度である。
- 周波数比が4:5の2音の音程は(純正律における)長3度である。
- 周波数比が5:6の2音の音程は(純正律における)短3度である。
- (純正律における)長2度の周波数比は8:9、9:10などである。短2度の周波数比は15:16、16:17、17:18、18:19、19:20などである。
しかしながら、西洋音楽で最も実用されている十二平均律にあっては、これらの単純な周波数比は完全1度と完全8度を除けば得ることはできない。例えば、十二平均律での完全5度は
- 1:2712=1:2712≃1.49831{displaystyle 1:2^{frac {7}{12}}=1:{sqrt[{12}]{2^{7}}}simeq 1.49831}
の周波数比である。
日本語とヨーロッパ主要言語における表現
日本語 |
Latina (ラテン語) |
Italiano (イタリア語) |
Français (フランス語) |
Deutsch (ドイツ語) |
English (英語) |
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音程 |
Intervallum |
Intervallo |
Intervalle |
Intervall |
Interval |
||||||
重増 - |
(重増) |
- più che aumentato/a (più che eccedente) |
- sur-augmenté |
doppelt übermäßige - |
doubly augmented - |
||||||
増 - |
- augmentur |
- aumentato/a (eccedente) |
- augmentée |
übermäßige - |
augmented - |
||||||
長 - |
完全 - |
- maior |
- iustus |
- maggiore |
- giusto/a |
- majeure |
- juste |
große - |
rein - |
major - |
perfect - |
短 - |
- minor |
- minore |
- mineure |
kleine - |
minor - |
||||||
減 - |
- deminutur |
- diminuito/a |
- diminuée |
verminderte - |
diminished - |
||||||
重減 - |
(重減) |
- più che diminuito/a |
- sous-diminué |
doppelt verminderte - |
doubly diminished - |
||||||
15度 |
quintusdecimus |
quindicesima |
quinzième |
quindezime |
fifteenth |
||||||
14度 |
quartusdecimus |
quattordicesima |
quatorzième |
quardezime |
fourteenth |
||||||
13度 |
tertiusdecimus |
tredicesima |
treizième |
tredezime |
thirteenth |
||||||
12度 |
duodecimus |
dodicesima |
douzième |
duodezime |
twelfth |
||||||
11度 |
undecimus |
undicesima |
onzième |
undezime |
eleventh |
||||||
10度 |
decimus |
decima |
dixième |
dezime |
tenth |
||||||
9度 |
nonus |
nona |
neuvième |
none |
ninth |
||||||
8度 |
octavus |
ottava |
octave |
oktave |
octave |
||||||
7度 |
septimus |
settima |
septième |
septime |
seventh |
||||||
6度 |
sextus |
sesta |
sixte |
sexte |
sixth |
||||||
5度 |
quintus |
quinta |
quinte |
quinte |
fifth |
||||||
4度 |
quartus |
quarta |
quarte |
quarte |
fourth |
||||||
3度 |
tertius |
terza |
tierce |
terz |
third |
||||||
2度 |
secundus |
seconda |
seconde |
sekunde |
second |
||||||
同度 |
unisonus |
unisono |
unisson |
unisono |
unison |
引用文献
^ ピストン、デヴォート 『和声法 分析と実習』 音楽之友社、2006年6月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"""""""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}
ISBN 9784276103214。
参考資料
^ “和声的音程”. コトバンク. 株式会社 朝日新聞社. 2016年11月20日閲覧。
^ “音程とは”. コトバンク. 株式会社 朝日新聞社. 2016年11月19日閲覧。
参考文献
- ピストン、デヴォート 『和声法 分析と実習』 音楽之友社、2006年6月。
ISBN 9784276103214。 - 石桁真礼生、末吉保雄 『楽典 理論と実習』 音楽之友社、2016年。
ISBN 4-276-10000-3。
関連項目
音程の一覧 - 1オクターブ以内のすべての音程を一覧する- 音階
- 全音階
- 和音
外部リンク
ウィクショナリー内
完全/増/重増1度
重減/減/短/長/増/重増2度
重減/減/短/長/増/重増3度
重減/減/完全/増/重増4度
重減/減/完全/増/重増5度
重減/減/短/長/増/重増6度
重減/減/短/長/増/重増7度
重減/減/完全/増/重増8度
- 音程計算ツール
- 【 練習問題 】 2音間の音程
旋律的音程異なるインターバルを聞き比べることができる
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