足柄下郡
足柄下郡(あしがらしもぐん)は、神奈川県西部にある郡。
人口42,514人、面積140.88km²、人口密度302人/km²。(2018年10月1日、推計人口)
以下の3町を含む。
箱根町(はこねまち)
真鶴町(まなづるまち)
湯河原町(ゆがわらまち)
湯河原町と真鶴町は合併協議会を組織し、2005年(平成17年)1月を目処に、新市名を湯河原市として合併を決めていたが、2004年(平成16年)8月8日の真鶴町の住民投票の結果、合併は中止になった。
目次
1 郡域
2 歴史
2.1 近代以降の沿革
2.2 変遷表
3 脚注
4 関連文献
5 関連項目
郡域
上記の3町以外では、現在の行政区画では概ね以下の区域に相当する。
小田原市(大字曽比、栢山、上曽我、曽我大沢、鬼柳、下大井を除く全域)
歴史
713年(和銅6年) - 律令時代、「好字二字の制」により足下郡と表記されることとなり、これによって「あしのしも」という読みも行われた。郡衙は小田原市内の千代廃寺付近と推定されている。
近代以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が、○は寺社等の除地(領主から年貢免除の特権を与えられた土地)が存在。谷津村を除く「府内」を冠する地域は小田原府内各町の持添新田のため、小田原府内に含めて1町として数える。下久野村・上久野村は1村として数える。沼城村は大住郡堀沼城村の一部のため村数に数えない。記載以外にも以下の地域が存在した。(1町1宿86村)
箱根宿 - 小田原町・新町・新谷町は小田原藩領。三島町・芦川町は幕府領として代官・江川太郎左衛門支配所(韮山代官所)が管轄。- 元箱根(町や村はつかない) - 寺社領(箱根権現社地)。
- 芦之湯(同上) - 小田原藩領。
- ○宮城野村 - 小田原藩領。「旧高旧領取調帳」では足柄上郡と記載。
知行 | 村数 | 村名 | |
---|---|---|---|
幕府領 | 旗本領 | 3村 | 沼代村、小船村、○中村原 |
藩領 | 相模小田原藩 | 1町 80村 | ○板橋村、○風祭村、水野尾村、○入生田村、後河原村、○湯本村、湯本茶屋村、○須雲川村、○畑宿村、○塔之澤村、○大平台村、○底倉村、○早川村、○石橋村、○米神村、○根府川村、○江ノ浦村、○岩村、○真鶴村、○福浦村、○吉浜村、○門川村、鍛冶屋村、城堀村、○宮下村、○宮上村、○山王原村、○網一色村、○酒匂村、○小八幡村、●○国府津村、○前川村、○羽根尾村、○下新田村、上新田村、○鴨宮村、○矢作村、○下堀村、○中里村、○高田村、○別堀村、○田島村、●○千代村、○永塚村、○延清村、○東大友村、○西大友村、○曽我別所村、○曽我原村、○曽我谷津村、○曽我岸村、○中新田村、○飯泉村、○成田村、○桑原村、小竹村、穴部村、穴部新田、○府川村、○北窪村、○今井村、○井細田村、○多古村、○中島村、○町田村、○池上村、府内堤新田、府内池戸新田、府内新宿、府内小峯、○府内渋取、○府内竹花、○府内谷津村(谷津村)、○荻窪村、○下久野村、○上久野村、小田原府内、蓮正寺村、中曾根村、○飯田岡村、清水新田、新屋村、○小台村、柳新田村、○堀之内村、沼城村、○上町村、小竹村 |
1868年(慶応4年)
3月19日 - 神奈川奉行が新政府軍に接収されて横浜裁判所となり、箱根宿の幕府領を管轄したが、一部事務は引き続き韮山代官所が扱った。
4月20日 - 横浜裁判所が神奈川裁判所に改称。内務は管下の戸部裁判所が担当した。
6月17日 - 神奈川裁判所が神奈川府に改称。
6月29日 - 韮山代官所が韮山県に改組され、一部事務を引き継ぐ。
徳川将軍家の府中藩への転封にともなう小田原藩の領地替えにより、箱根宿の幕府領を除く全域が小田原藩の管轄になる。
- 1868年(明治元年)9月21日 - 神奈川府が神奈川県に改称。
- 明治初年 - 箱根宿が箱根駅に改称。(1町1駅86村)
1871年(明治4年)
7月14日 - 廃藩置県により、藩領が小田原県の管轄となる。
11月14日 - 第1次府県統合により、全域が足柄県の管轄となる。- 小田原府内各町が合体して小田原駅となる。(2駅86村)
1871年(明治4年)11月14日 - 第1次府県統合により、全域が足柄県の管轄となる[1]。
1875年(明治8年) - 小田原駅が小田原駅幸町、小田原駅万年町、小田原駅新玉町、小田原駅緑町、小田原駅十字町に再編される。(5町1駅86村)
1876年(明治9年)4月18日 - 第2次府県統合により足柄県が神奈川県、静岡県に合併され、当郡は神奈川県の管轄となる[2]。
1878年(明治11年)
7月22日 - 郡区町村編制法により行政区画としての足柄下郡が編成され、郡役所は小田原駅(現小田原市)に設置。- 宮上村のうち1700年(元禄13年)以来、国境論争が続いていた伊豆山権現領(字泉・稲村。年貢は小田原藩に上納)が分立して静岡県賀茂郡泉村(現熱海市)となる。
1880年(明治13年) - 後河原村が入生田村に編入。(5町1駅85村)
1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。箱根駅は宿駅名のまま町制施行。仙石原村を足柄上郡から編入。(2町30村)
小田原町 ← 小田原駅幸町、小田原駅万年町、小田原駅新玉町、小田原駅緑町、小田原駅十字町(現小田原市)
蘆子村 ← 荻窪村、谷津村、中島村、町田村、池上村(現小田原市)
二川村 ← 井細田村、多古村、今井村(現小田原市)
久野村(単独村制。現小田原市)
富水村 ← 蓮正寺村、中曽根村、飯田岡村、堀之内村、柳新田村、小台村、新屋村、清水新田、北窪村、府川村,穴部村、穴部新田(現小田原市)
豊川村 ← 飯泉村、成田村、桑原村(現小田原市)
上府中村 ← 高田村、千代村、永塚村、延清村、西大友村、東大友村、別堀村(現小田原市)
下府中村 ← 下堀村、中里村、矢作村、鴨宮村、上新田村、中新田村、下新田村(現小田原市)
下曽我村 ← 曽我原村、曽我別所村、曽我谷津村、曽我岸村(現小田原市)
田島村(単独村制。現小田原市)
下中村 ← 小船村、中村原、上町村、沼代村、小竹村(現小田原市)
前羽村 ← 前川村、羽根尾村(現小田原市)
国府津村(単独村制。現小田原市)
酒匂村 ← 酒匂村、小八幡村、網一色村、山王原村(現小田原市)
大窪村 ← 板橋村、水野尾村、風祭村、入生田村(現小田原市)
湯本村 ← 湯本村、湯本茶屋村、畑宿村、須雲川村、塔之澤村(現箱根町)
温泉村 ← 底倉村、大平台村(現箱根町)
宮城野村、仙石原村、箱根駅(それぞれ単独町村制。現箱根町)
元箱根村(元箱根が単独村制。現箱根町)
芦之湯村(芦之湯が単独村制。現箱根町)
早川村、石橋村、米神村、根府川村、江ノ浦村(それぞれ単独村制。現小田原市)
岩村、真鶴村(それぞれ単独村制。現真鶴町)
福浦村(単独村制。現湯河原町)
吉浜村 ← 吉浜村、鍛冶屋村(現湯河原町)
土肥村 ← 門川村、城堀村、宮上村、宮下村(現湯河原町)
1892年(明治25年)10月29日 - 県治局長による内翰により、箱根駅が箱根町に改称[3]。
1908年(明治41年)4月1日 - 蘆子村・二川村・久野村・富水村が合併して足柄村が発足。(2町27村)
1913年(大正2年)4月1日 - 石橋村・米神村・根府川村・江ノ浦村が合併して片浦村が発足。(2町24村)
1924年(大正13年)4月1日 - 国府津村が町制施行して国府津町となる。(3町23村)
1926年(大正15年)7月1日 - 土肥村が町制施行・改称して湯河原町となる。(4町22村)
1927年(昭和2年)10月1日(6町20村)
- 湯本村が町制施行して湯本町となる。
- 真鶴村が町制施行して真鶴町となる。
1940年(昭和15年)
2月11日 - 足柄村が町制施行して足柄町となる。(7町19村)- 4月1日 - 吉浜村が町制を施行して吉浜町となる。(8町18村)
12月20日 - 小田原町・大窪村・早川村・足柄町および酒匂村の一部(大字網一色、山王原)が合併して小田原市が発足し、郡から離脱。(6町16村)
1942年(昭和17年)4月1日 - 酒匂村が町制施行して酒匂町となる。(7町15村)
1948年(昭和23年)4月1日(7町13村)
- 下府中村が小田原市に編入[4]。
- 田島村が国府津町に編入[5]。
1954年(昭和29年)
1月1日 - 箱根町・元箱根村・芦之湯村が合併し、改めて箱根町が発足[6]。(7町11村)
7月15日 - 豊川村が小田原市に編入[7]。(7町10村)
12月1日 - 上府中村・下曽我村・国府津町・酒匂町・片浦村が小田原市に編入[8]。(5町7村)
1955年(昭和30年)4月1日(5町4村)
- 下中村・前羽村が合併して橘町が発足[9]。
- 湯河原町・福浦村・吉浜町が合併し、改めて湯河原町が発足[10]。
1956年(昭和31年)9月30日(4町)
- 湯本町・温泉村・宮城野村・仙石原村・箱根町が合併し、改めて箱根町が発足[11]。
- 真鶴町・岩村が合併し、改めて真鶴町が発足[12]。
1971年(昭和46年)4月1日 - 橘町が小田原市に編入[13]。(3町)
変遷表
自治体の変遷
明治22年以前 | 明治22年4月1日 | 明治22年 - 大正15年 | 昭和元年 - 昭和19年 | 昭和20年 - 昭和29年 | 昭和30年 - 昭和39年 | 昭和40年 - 現在 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 下中村 | 下中村 | 下中村 | 下中村 | 昭和30年4月1日 橘町 | 昭和46年4月1日 小田原市に編入 | ||
前羽村 | 前羽村 | 前羽村 | 前羽村 | |||||
下府中村 | 下府中村 | 下府中村 | 昭和23年4月1日 小田原市に編入 | 小田原市 | 小田原市 | |||
上府中村 | 上府中村 | 上府中村 | 昭和29年12月1日 小田原市に編入 | |||||
下曽我村 | 下曽我村 | 下曽我村 | ||||||
豊川村 | 豊川村 | 豊川村 | 昭和29年7月15日 小田原市に編入 | |||||
田島村 | 田島村 | 田島村 | 昭和23年4月1日 国府津町に編入 | 昭和29年12月1日 小田原市に編入 | ||||
国府津村 | 大正13年4月1日 町制 | 国府津町 | 国府津町 | |||||
酒匂村 | 酒匂村 | 酒匂村 | 昭和17年4月1日 町制 | 酒匂町 | ||||
昭和15年12月20日 小田原市 (網一色・山王原地区) | 小田原市 | |||||||
小田原町 | 小田原町 | 小田原町 | 昭和15年12月20日 小田原市 | |||||
芦子村 | 明治41年4月1日 足柄村 | 昭和15年2月11日 町制 | ||||||
二川村 | ||||||||
久野村 | ||||||||
富水村 | ||||||||
大窪村 | 大窪村 | 大窪村 | ||||||
早川村 | 早川村 | 早川村 | ||||||
石橋村 | 大正2年4月1日 片浦村 | 片浦村 | 昭和29年12月1日 小田原市に編入 | |||||
米神村 | ||||||||
根府川村 | ||||||||
江ノ浦村 | ||||||||
湯本村 | 湯本村 | 昭和2年10月1日 町制 | 湯本町 | 昭和31年9月30日 箱根町 | 箱根町 | |||
温泉村 | 温泉村 | 温泉村 | 温泉村 | |||||
宮城野村 | 宮城野村 | 宮城野村 | 宮城野村 | |||||
仙石原村 | 仙石原村 | 仙石原村 | 仙石原村 | |||||
箱根駅 | 明治25年10月29日 改称 箱根町 | 箱根町 | 昭和29年1月1日 箱根町 | |||||
元箱根村 | 元箱根村 | 元箱根村 | ||||||
芦之湯村 | 芦之湯村 | 芦之湯村 | ||||||
真鶴村 | 真鶴村 | 昭和2年10月1日 町制 | 真鶴町 | 昭和31年9月30日 真鶴町 | 真鶴町 | |||
岩村 | 岩村 | 岩村 | 岩村 | |||||
土肥村 | 大正15年7月1日 町制改称 湯河原町 | 湯河原町 | 湯河原町 | 昭和30年4月1日 湯河原町 | 湯河原町 | |||
吉浜村 | 吉浜村 | 昭和15年4月1日 町制 | 吉浜町 | |||||
福浦村 | 福浦村 | 福浦村 | 福浦村 |
脚注
^ 明治4年太政官布告第594 - 国立国会図書館近代デジタルライブラリー
^ 明治9年太政官布告第53号 - 国立国会図書館近代デジタルライブラリー
^ 統計はこね (PDF) - 箱根町
^ 同年4月9日、総理庁告示第47号「市町村の廃置分合」
^ 同年4月9日、総理庁告示第48号「市町村の廃置分合」
^ 1953年(昭和28年)12月28日、総理府告示第273号「町村の廃置分合」
^ 同年7月14日、総理府告示第630号「市村の廃置分合」
^ 同日、総理府告示第1026号「市町村の廃置分合」
^ 同年3月23日、総理府告示第411号「町村の廃置分合」
^ 同年3月31日、総理府告示第1000号「町村の廃置分合」
^ 同年9月30日、総理府告示第549号「町村の廃置分合」
^ 同日、総理府告示第548号
^ 同年1月12日、自治省告示第1号「市町の廃置分合」
関連文献
- 『足柄下郡史』 足柄下郡教育会、1929年。NDLJP:1174054。
関連項目
- 足柄上郡
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