カナダスピス
カナダスピス | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生息年代: 525–505 Ma[1] PreЄ Є O S D C P T J K Pg N | |||||||||||||||
Canadaspis perfecta バージェス頁岩からの化石 | |||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||
| |||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||
Canadaspis Briggs, 1978 | |||||||||||||||
種 | |||||||||||||||
|
カナダスピス(Canadaspis)はカンブリア紀の海に生息した節足動物の1属。バージェス動物群の1つであり、澄江生物群からも発見されている。前半身はほぼ円筒形の背甲に覆われた動物である。
学名「Canadaspis」は、北アメリカ大陸の国カナダ(Canada)とギリシャ語において「盾」を意味する「aspis」に由来する[1]。
目次
1 形態
2 生態
3 系統関係
4 類縁
5 参考文献
6 脚注
7 関連項目
形態
円筒形の動物で、体長52mm[1]。
頭部は5対の付属肢があり、二対の触角、1対の鋭い器官と2対の二叉型付属肢を持つ。また、頭部の前には眼柄のついた1対の眼がある[1]。第1対の触角は短くて節を持たず、第2対の触角はやや長く、少なくとも12節に分かれており、棘が付いている。それに次ぐ鋭い器官は大顎として考えられた[1]。
頭部の背面から伸びる薄い殻は胸部の背面に伸びて体の左右を覆っている。胸部から腹部は円柱形。胸部は8節、それぞれの腹面には歩脚に扇形のヒレをつけたような二叉型の付属肢が並んでいた。歩脚は短い。腹部は胸部からなめらかにつながり、7節の体節と尾節からなる[1]。
生態
カナダスピスは海底から有機物を摂る底生性動物であると考えられた。体の大部分を覆った左右二枚の殻は、外敵から身を守る機能を持つ可能性が挙げられる[1]。
系統関係
カナダスピスは一見すると10対の付属肢があるように見える。しかし、先頭の2対は実は頭部から出ているもので、2対の顎脚である。ただ、外見的にはそれ以降の節からでる付属肢と変わりが無い。この事は、顎脚の分化がほとんど起きていないこと、この動物の原始性をしめすものと考えられる。このような特徴から1978年にブリッグスは、この動物を初期の甲殻類、特に軟甲類に属するものと考えた[1]。しかしその後、同じ系統に属するにしても、むしろそれが分化する以前のものと見なすべきとの説も出ている。
さらに21世紀以降では、カナダスピスを甲殻類と見なす知見まで否定的となり、フキシャンフィア、オダライアなど多くの二枚の殻を持ったカンブリア紀の節足動物と共に、大顎類、もしくは節足動物全般の初期系統(ステムグループ)に位置するのものであると考えられた[2][3]。
類縁
カナダスピス属には、バージェス動物群のひとつであるC. perfecta(タイプ種)と、澄江生物群のひとつである C. laevigata の2種が知られる。
カナダスピスの様に二枚の殻を持った節足動物は、オダライア、ワプティア、ペルスピカリス、Branchiocarisなどが挙げられる。このような節足動物、いわゆる「bivalved forms」はカンブリア紀の地層から多く発見されており、互いに近縁であると思われる[3][2]。
参考文献
- 福田芳生、『古生態図集・海の無脊椎動物』、(1996)、川島書店
- スティーヴン・ジェイ・グールド 『ワンダフル・ライフ - バージェス頁岩と生物進化の物語』 渡辺政隆訳、早川書房〈ハヤカワ文庫〉、2000年、ISBN 4-15-050236-6。
脚注
- ^ abcdefghCanadaspis - Fossil Gallery - The Burgess Shale
- ^ abcAria, Cédric; Caron, Jean-Bernard (2017年4月26日). “Burgess Shale fossils illustrate the origin of the mandibulate body plan”. Nature 545 (7652). doi:10.1038/nature22080.
- ^ abOrigin and evolution of the panarthropod head – A palaeobiological and developmental perspective
関連項目
- オダライア
- ワプティア
- フキシャンフィア