アビトゥーア
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アビトゥーア(ドイツ語: Abitur)は、元々ラテン語: examen abiturium (試験+去ること=卒業試験)から派生した語で、ドイツ語圏で、その省略形「アビ」ドイツ語: Abiと共に次の意味で使用されている。ドイツ・フィンランドにおいて、国内およびヨーロッパ各国での「大学へ進学するための資格試験」である。これらの国では、この試験が中等教育(secondary school)修了時に高等教育機関への入学資格試験として実施されている。従って日本や米国の高校卒業資格と同様の機能も有するが、この試験に一度合格していれば、一度も大学受験を必要としないという点で、本質的な役割が違っている。全ての大学に入れる共通一次試験と考えたほうがよりその姿を捉えている。この試験に合格すると、ギムナジウムの成績と組み合わせて、Zeugnis der Allgemeinen Hochschulreife、略して「アビツォイグニス」と呼ばれる「一般大学教育を受ける資格証書」を修得でき、生徒は、その点数によって規定される範囲内の好きな大学を選んで自由に進学できる。
目次
1 ドイツの場合
1.1 アビツォイグニスとアビツォイグニスの点数
2 オーストリアおよびスイス
3 フィンランド
4 その他の国
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
ドイツの場合
ドイツのアビトゥーアは、日本の小学校5年生から大学1年生に当たるギムナジウムの生徒が、生徒の最終学年である第12学年(第13学年の州もある)に、2回まで受けることができる卒業試験で、全国統一のものだが、各州の難易度が異なっている。例えば、バイエルン州での合格は難しい。試験科目は、最低6科目・最高12科目までの各科目15点満点のテストである。例えば、6科目を受ける場合、5つの筆記試験と1つの口頭試験を受験する。試験科目は、必須科目を除くと比較的自由に選択できるが、希望する大学の学部との折り合いを考えて選ばなくてはならない。例えば、歴史を学びたい生徒には、ラテン語は大学側の既習条件に入っていることが多い。医学部志望者は、生物学や化学は必須科目とは別であっても修得した証拠を必要とされるので受けなければならない。
アビツォイグニスとアビツォイグニスの点数
アビトゥーア試験合格者に与えられる「アビツォイグニス」と呼ばれる資格証書は、複雑な計算の結果、最高点1.0から最低点4.0までの点数に決定される。これは「アビツォイグニスの点数」と呼ばれる生徒の一生にかかわる数字である。この点数は、生徒の最終学年である第12学年とその前年の第11学年の授業の成績表の中から、試験が受験した必須科目と選択科目の成績だけを抜き出して集計し、さらに各科目の修得単位数を掛合せたものを合計して授業からの成績を得点化する。この授業得点に、生徒の受験したアビトゥーア試験の成績を各州で決められた方法で計算し合計したものを加算すると、「アビツォイグニスの点数」となる。この点数は、大学、そしてさらに各学部によって異なる入学許可条件の基準点数となっている。大学入学を申込みをする時には、生徒は「アビツォイグニス」を提出し、大学側は、選考結果によって個別に入学許可を与える仕組みである。尚、大学進学をしない生徒にとっても、就職選考の際に「アビツォイグニスの点数」が大切なものとなる[1]。
大学や学部によっては、アビトゥーアの平均点と待機期間による入学者の選抜を行うところもある。かつて男子の兵役があった頃は、兵役を済ませていると有利だったが、現在は兵役はないので、こうした男女の差別はない。大学、学部によっては(例えば音楽大学や医学部など)面接などの独自の選考を行うこところもある。大学進学希望者の増加につれて、アビツォイグニスに加えて、色々な選抜条件が入学申込みに際して増えている現状がある。
オーストリアおよびスイス
オーストリアとスイス(ドイツ語圏)では、アビトゥーア同様の資格試験「マトゥーラ(ドイツ語: Matura)」が実施されている。この名称の語源はラテン語: examina matura (試験+成熟=(高校卒業のための)習熟度試験)である。
フィンランド
フィンランドでもドイツと同様に、アビトゥーア試験を実施している。
その他の国
- その他のドイツ語圏あるいは中欧スラヴ語圏でも、大学入学資格試験である。
- フランス語圏では、リセの生徒が受けるバカロレア及びその省略形「バック」がアビトゥアに相当する。
参考文献
^ Sachsen-Anhalt, Geschwister-Scholl-Gymnasium, Zeitz. Zeugnis der Allgemeinen Hochschulreife.Zeitz, Germany, 2007
関連項目
- フランスのバカロレア
- ドイツ学校
外部リンク
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