ルーフトップ・コンサート






ルーフトップ・コンサートが行われた旧アップル・コア本社


ルーフトップ・コンサート (Rooftop ConcertRooftop Performance) とは、1969年1月30日にザ・ビートルズがイギリス・ロンドンのサヴィル・ロウにあったアップル・コアの屋上で映画撮影のために突如行ったゲリラライヴである。事実上ビートルズの最後の歴史的なライヴ・パフォーマンスとなる。




目次






  • 1 概要


  • 2 参加メンバーと使用機材


  • 3 演奏曲目


  • 4 備考


  • 5 脚注


    • 5.1 注釈


    • 5.2 出典




  • 6 関連項目


  • 7 参考文献





概要


映画『レット・イット・ビー』のラストを飾るシーンの撮影目的で、サヴィル・ロウ3番地にあるアップル・コア自社ビルの屋上にて機材を運び込み、予告無しでオフィス街の中で大音量のライブが敢行された。だが、その日は正午過ぎにもかかわらず気温はわずか2度で、風も吹いていたためマイクのウィンドスクリーン代わりにストッキングが用いられた。また、メンバーは同伴していた各夫人から上着を借りた(メンバーが女性ものの服を着ているのはこのためである)。


著名なビートルズの生演奏であったため野次馬も大勢やってきたのが、映画でも確認できる。道路には屋上を見上げる群衆ができ、近隣のビルの屋上には人だかりができ、中には梯子でアップル社の屋上近くまでやってくる人までいた。


午後のビジネス街で突如始まった演奏は、あちこちに反響して騒音になり、しばらくすると警察官もやってくるような事態になったが、警官たちはすぐにはやめさせようとせず、静観してロード・マネージャーのマル・エヴァンズとやり取りを行っていた。その後、警察官が演奏を制止するため、屋上に昇ってきたので、マルはジョージ・ハリスンとジョン・レノンのギターアンプの電源を咄嗟に切るが、ギターが鳴らなくなった事に困ったジョージは接続を確かめ、電源を入れ直してしまう。そしてマルも仕方なくジョンのアンプの電源を入れる。この事は『アンソロジー3』Disc 2収録の「ゲット・バック」の演奏や『レット・イット・ビー』でも確認でき、一時的にポール・マッカートニーのベースとリンゴ・スターのドラムス、ビリー・プレストンのエレクトリックピアノの音しか聞こえない箇所がある。


結局警察官により演奏は47分で中止されてしまうが逮捕などの処置はなかった。しかしリンゴ・スターは、「警官に羽交い締めにされて逮捕され、そのシーンを映画のラストに使いたかった…」とドキュメンタリー映像作品『アンソロジー Vol. 8』で語っている。



参加メンバーと使用機材




  • ビートルズ


    • ジョン・レノン - エピフォン・カジノ(1965年製、ナチュラルカラー)


    • ポール・マッカートニー - カール・ヘフナー・500-1(1962年製)


    • ジョージ・ハリスン - フェンダー・テレキャスター(オールローズ)


    • リンゴ・スター - ラディック・ハリウッド




  • ビリー・プレストン - エレクトリック・ピアノ



演奏曲目


映画では、計7曲の演奏が使われているが、実際には2, 3回同じ曲を繰り返したり、曲の間に短いつなぎの歌を演奏したり、映画ではカットされた曲も演奏するなどしており、さまざまな音源が非合法盤(いわゆる海賊盤)で出回っていた。『アンソロジー』の解説では、全曲を収めたテープが発見された、と書かれている[注 1]。録音は8トラック録音[1][注 2]


現在判明している曲名は以下のとおりである。




  1. ゲット・バック

    リハーサル、音合わせレヴェル。


  2. ゲット・バック(通奏1回目)


  3. アイ・ウォント・ユー
    ジョンによる、断片的なギター演奏。


  4. ゲット・バック(2回目)


  5. ドント・レット・ミー・ダウン
    ジョンが途中で歌詞を忘れたため一部デタラメに歌われている。また、ジョージの明確なバックアップ・ヴォーカルを聴くことが出来る。



  6. アイヴ・ガッタ・フィーリング
    アルバム『レット・イット・ビー』収録テイクである。エンディングに続いて「ウー!マイ・ソウル」がワンフレーズのみ歌われる。



  7. ワン・アフター・909
    テープ編集ではなく、中断された様子で、そののち通奏。


  8. ワン・アフター・909(2回目)
    アルバム『レット・イット・ビー』収録テイクである。エンディングに続いてジョンが「ロンドンデリーの歌」の替え歌を歌う。



  9. ディグ・ア・ポニー
    アルバム『レット・イット・ビー』収録テイクである。冒頭でリンゴがタバコ休憩に入っていたところでカウントを始めたため、リンゴが"Hold it!"(「待った」)と制止する叫びが入る。



  10. ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン
    エンジニアのアラン・パーソンズがテープを交換する間のつなぎとして演奏。


  11. アイヴ・ガッタ・フィーリング(2回目)

  12. ア・プリティ・ガール・イズ・ライク・ア・メロディ
    鼻歌レヴェル。アーヴィング・バーリンのミュージカル『ジーグフェルド・フォリーズ』のナンバーである。


  13. ゲット・バック(3回目)
    ある資料によると未確認。


  14. ドント・レット・ミー・ダウン(2回目)

  15. ゲット・バック(4回目)
    ビートルズの実質、最後のライヴ演奏曲。最初、ジョンのギターの音が途絶えているのは、この時警察ともめていて、一時、アンプの電源が切られてしまったためである。ポールは "You've been playing on the roofs again, and you know your Momma doesn't like it, she's gonna have you arrested!"(「また屋上で遊んでしまったね、ママは好きじゃないことは知ってるだろ、逮捕されるぞ」)[2]といい、リンゴ夫人モーリンに"Thanks, Mo"(「ありがとう、モー」)といった後、ジョンが"I'd like to say "Thank you" on behalf of the group and ourselves and I hope we passed the audition."(「グループに成り代わり「ありがとう」と申し上げますが、これでオーディションに合格でしょうか?」)という[3][注 3]




備考


ザ・シンプソンズの第5シリーズ第1話「夢のカルテット(Homer's Barbershop Quartet)」にて、ホーマー率いるグループ「ザ・ビーシャープス」(元ネタはビートルズ)が屋上でライブを行うというパロディシーンがある。なお、同話にはジョージ・ハリスンがゲスト出演している[4]



脚注


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注釈





  1. ^ 実際には非合法盤の制作販売企業から奪還したもの。


  2. ^ ドラム、ベース、ジョンのギター、ジョージのギター、キーボード、ジョンのヴォーカル、ポールのヴォーカル、ジョージのヴォーカル。なお、「ドント・レット・ミー・ダウン」などは、スタジオで録音し直された際には、ジョージのヴォーカルに使っていたトラックをドラムに回して、ドラムの録音に計2トラック使用したと思われる。


  3. ^ このジョンのセリフはアルバム『レット・イット・ビー』に収録されている。




出典





  1. ^ Ryan, Kevin; Kehew, Brian (2006). Recording the Beatles: The studio equipment and techniques used to create their classic albums. Curvebender. p. 518. ISBN 978-0-9785200-0-7. 


  2. ^ Lifton, Dave. “44 YEARS AGO: THE BEATLES PERFORM LIVE FOR THE LAST TIME, ON A LONDON ROOFTOP”. Ultimate Classic Rock. 2013年12月12日閲覧。


  3. ^ Everett, Walter (1999). The Beatles as Musicians: Revolver through the Anthology. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-512941-0. https://books.google.com/books?id=1CAvwZPKTkoC&dq. 


  4. ^ Suebsaeng, Asawin (2012-01-30). “8 Videos to Commemorate the Beatles' Final Concert, 43 Years Later”. Mother Jones. https://www.motherjones.com/mixed-media/2012/01/beatles-rooftop-concert-video 2018年10月14日閲覧。. 




関連項目



  • レット・イット・ビー (映画)

  • ゲット・バック・セッション

  • サヴィル・ロウ



参考文献



  • 中山康樹『ビートルズの謎』(講談社現代新書 2008年)pp.205-227








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