惣流・アスカ・ラングレー
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惣流・アスカ・ラングレー(そうりゅう・アスカ・ラングレー、Soryu Asuka Langley)は、『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する架空の人物。声優は宮村優子。
なお、リメイク作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に苗字を変えて登場する式波・アスカ・ラングレー(しきなみ・アスカ・ラングレー)については本項の#新劇場版の節で解説する。
目次
1 プロフィール
1.1 アニメ・漫画版 共通
2 旧世紀版
2.1 経歴
2.2 性格
2.3 交流(旧世紀版)
3 漫画版
3.1 パラレル作品
4 新劇場版
4.1 新劇場版:破
4.2 新劇場版:Q
4.3 交流(新劇場版)
5 ゲーム版
6 名前の由来
7 補足
8 他作品への出演
9 日本国外版での声優
10 脚注
10.1 注釈
10.2 出典
11 参考文献
プロフィール
アニメ・漫画版 共通
ヒロインの1人で帰国子女。エヴァンゲリオン(EVA)弐号機パイロット。上司兼保護者はNERV戦術作戦部作戦局第一課 課長葛城ミサト。同居人は家主の葛城ミサト、碇シンジ、ミサトのペットでペンギンのペンペン。
- 生年月日:2001年12月4日
- 血液型:A型[注 1]
- 年齢:14歳[1]
- 身長:157cm[2]
- 所属:NERV/EVA弐号機専属操縦者、第3新東京市立第壱中学校2年A組
旧世紀版
ドイツ3/4、日本1/4の血を持つクォーター。髪色は金[注 2]。帰国子女[4]。二人目の適格者=セカンドチルドレン。国籍はアメリカ。容姿端麗という設定で活発明朗で、勝気な性格で表層的には高い自尊心を持ち、エース・パイロットとしての能力を誇示して生きてきた。一人称は基本的に「あたし」。二人称は通常は「あんた」でアニメ版の一部で「あなた」を使う。口癖は「あんたバカぁ?」。4歳の時にエヴァンゲリオン操縦の二番目の適格者として選出され、以降、セカンドチルドレンとして英才教育を受けたエリートである。14歳にして飛び級で大学を卒業。EVA弐号機とのコンタクトはドイツ語を基準にしているが、日本語も流暢に話すことができる。
惣流・アスカ・ラングレーの母親は惣流・キョウコ・ツェッペリン。父親はキョウコの死後、再婚している。
終盤には複雑な生い立ちと、内包していた脆さから、悲惨な運命をたどる。
経歴
幼少期に母親がEVA接触実験において魂を弐号機に取り込まれ精神崩壊し、人形をアスカと思い込みアスカ本人を全く認識できなくなる。その母親を振り向かせようと様々な努力を重ねるも報われることなく、弐号機の専属パイロットに選ばれたその日に母親は人形もろとも心中する。そのことがトラウマになり新たな人格を形成し、その後はEVAのパイロットとしての訓練を重ねるとともに英才教育を受け、来日する前年に大学を卒業する。
来日後は上司である葛城ミサトと初号機パイロットである碇シンジと同居する。序盤はエリートとしての成果を挙げていくが、碇シンジにシンクロ率を追い抜かれてしまったことが引き金となり、次第に自信を失っていき、さらに使徒に敗北することで自分の存在理由を見失っていく。初号機の凍結中に起こった第15使徒アラエルとの戦闘で、使徒の攻撃によって精神的侵食を受け、封印していた自分の辛い過去を曝し出されて精神に強いダメージを負ってしまう。その時の対応から、ネルフが自分の価値を綾波レイのそれより軽視していると感じ、自己を見失う。EVAとのシンクロ率は2桁を切るという状態になり、弐号機の起動すら不可能になる。さらに思いを寄せる加持の死を知り心の拠り所を失った彼女は、生きていく理由や自身の存在価値さえも見失い、完全に精神崩壊を起こし物言わずベッドに横たわるだけの廃人と化した。
劇場版では弐号機内の母親の魂に気付き復活する。戦略自衛隊を壊滅させた後に投下されたEVA量産型9体を圧勝するもEVA量産型一体にロンギヌスの槍(コピー)を投げられ頭に刺さり活動を停止。復活したEVA量産型に鳥葬をされ敗北した。補完計画が破綻した際は真っ先にL.C.L.の海から帰還し、シンジの前に現れる。
性格
快活で主体性・自立心が強く、非妥協的。また異常なほどプライドが高く、自己中心的な性格である。一方で自己愛は欠如しており、周囲に対し過敏で傷つきやすい面を持つ。社交性は他のパイロットと比較して高い。その性格は幼少期のトラウマに大きく影響されている。
母親は、EVA接触実験の失敗による後遺症で精神を病んだことで、人形を実の娘であると思い込み、自分を全く見てくれなくなった。その母親を自分に振り向かせようと努力を重ねていたが、弐号機のパイロットに選ばれたその日に母親は自殺していた。また母親は自殺の際に娘だと思い込んでいた人形を道連れにする形で首を吊っていた。
そのことがトラウマとなり、アスカは誰にも頼らず自分で考え一人で生きていける強さを持った人間となることを決意する。その自立心のため、早く大人になることへの願望もあり、加持リョウジへの憧れはその反映であるといえる。また、望んだ相手に自分を見てもらえなかったことによって欠けた自己愛を、他人に認めてもらうことで満たそうとする面が強くなる。そのためには周りから必要とされる価値ある自分でいなければならないという一種の強迫観念を根底に持ち、脆さと紙一重の強さを兼ね備えた人格を形成する。そうしてその後も自らの中に強さと高い能力を求め、努力を重ねることになるが、特にEVAのパイロットの適格者・チルドレンであることに対しては、自分が他者よりも優れている証明になると考えているため、EVAシンクロ用のインターフェイスヘッドセットを髪留めとして常に着用するほどの拘りを持っている。
同時にこの出来事によりアスカは人形のような自主性を持たないものを嫌うようになり、その反動もまた強い自立心や行動力を持つ一因となる。さらに他人にとって都合の良いように自分を演じることに嫌悪感を持ち、等身大の自分を真正面から評価してもらうことを強く求めるようになる。そのため、自身に無条件の愛を与えてくれる母への渇望も強い。またシンジに対しても好意を持ち愛を求めるが、シンジが自らにとって都合の良い逃避先として消去法で自分を求めてきた際には強く拒絶している。
上記のように一人で生きていくことを決意しつつも、他人からの承認を求めずにはいられない心の弱さを持ち、物語の後半(主に第拾九話以降)において他人からの評価が得られなくなっていくごとに、その内面のジレンマで自分自身を苦しめてしまうことになる。
宮村優子はアスカについて「今で言うところのツンデレ。異性として気になるのはシンジだけど、なかなかそれを表に出すことが出来ない[5]」と評している。またラジオで「TVシリーズの時、そんなにツンデレじゃなかったと思う」「デレなんかあったっけ?シンジに」と、ゲームなど他メディアの所謂ツンデレを強調されたアスカと区別して捉えているコメントもしている[6]。
劇中後半での精神崩壊への過程や、EVA量産型との戦闘における鬼気迫る表情、追加されたシーンも含め補完計画中に吐露されたシンジへの独占的な執着心などから、「ヤンデレでは?」との指摘もあり、『ヤンデレ大全』(出版社:インフォレスト)においても記載がある。
交流(旧世紀版)
主にテレビ版での対人関係を記述する。
- 碇シンジ
- 主要人物の中で最も親しい間柄といって差し支えなく、ミサトの家で同居するようになってからは呼び捨て、または「バカシンジ」呼ばわりする。彼の内向的な性格を厳しく非難することもあるが、同年代の異性として意識していると見られる姿勢・言動もみられる。パイロットとしての能力も当初は「偶然が重なっただけでレベルが低い」と評するなど馬鹿にした態度をとっていたが、ユニゾン特訓以降はある程度の評価と信頼を置くようになった。
- サンダルフォン戦勝利直後にそのまま落下しかけた際、通常装備で救助に来た初号機に対しては穏やかな笑顔を見せるなど、彼の果敢な一面を認めている。その後ミサトと加持の関係が回復しているのを察知し、暇つぶしという名目で自分から持ちかけ、シンジとキスをする。学校ではよくシンジと口喧嘩をし、周りから「夫婦喧嘩」と言われて赤面する。
- 第14使徒ゼルエル戦において、弐号機および零号機が完敗した前後を契機に、決定的に関係が悪化。以後から劇場版へ至るまで、シンジへは愛憎入り交じった敵愾心と執着を見せ始めるようになり、補完計画の最中における対話では独占欲を前面に押し出した想いを見せた。
- 第22話(ビデオフォーマット版)での追加シーンなどを中心に示唆されたアスカのシンジに対する思いと、シンジのアスカに対する曖昧な態度は温度差が激しく、シンジを渇望するがゆえに反発せざるを得ない、後の凄惨なやりとりに繋がっていった。
- 劇場版(第26話)ではシンジから日常的に性の対象として見られており、彼の自慰による発散を察知しながら許容していたことを示唆するシーンがある。
- 綾波レイ
- 初対面時はアスカ自ら「仲良くしましょう」とレイに話しかけ、チームワークの重要性を説くなど、比較的社交的かつ穏健な態度で接していた。しかし次第に呼び方が「優等生」もしくは「ファースト」、「あの女」になり[注 3]、最終的には「人形」「機械」と呼ぶなどあからさまに敵視するようになる。
- ユニゾン特訓で自分とは息が合わないシンジが、レイと組んだ途端に息が合いだしたとのを見ると不機嫌になった。零・初号機のパイロット互換テストの実験中に、シンジの「綾波の匂いがする」との発言に嫉妬心を覗かせた。駅のホームで談笑する2人を見かけた際も、「元の鞘」と評して不愉快さを示している。
- その後、シンクロ率の低下に関してレイから「EVAには心があり、他人に対して心を閉ざした人間に操ることはできない」と忠告を受けるが、レイの行動原理からレイがゲンドウの言いなりに動く人形であると確信して激昂。頬を平手打ちしたうえ「誰の言うことでも聞く人形」と侮蔑の言葉を浴びせ決別した。その際、出会った当初からレイの人形を想起させる面に嫌悪感を抱いていた心情を告白している。
- クラスメートとして個人的な交流はなかったようだが、ミサトの昇進祝いの際に声をかけ(レイが固辞し出席せず)、作戦成功時にミサトと約束していた食事会に誘う(高級ステーキを振る舞う予定だったが、レイの偏食によりラーメンの屋台に変更)など一定の礼節は欠かしていない。
- 葛城ミサト
- 同居人かつ保護者。元々面識があるようで、呼び捨てにしている。来日以降、ミサトの家にシンジと共に住む。同居人らしく親しげに絡む描写もあるが、加持との関係に気をもみ、復縁が明確化されてくると嫌悪感を露わにした。
- 来日する前日に、ミサトのことがあまり好きではないと加持に伝えている。ただしミサトが所有している高級な香水を貸してほしいとねだるなど、子供っぽく甘える一面もある。
- 加持リョウジ
- 強い憧れを抱く男性。アスカは彼の髪型を真似ており、特に前髪の形は同じである[3]。作中で直接の明言は避けられているが、身体的な成長を理由にセックスによる愛情表現を加持に求めている。加持はアスカを可愛がりつつも「まだ子供」と評しており、恋愛対象として見ていない。加持のこの態度への不満が、シンジなど周囲の人物へ八つ当たりとして向けられることも多い。
- 洞木ヒカリ
- クラスメートであり友人と言える存在。同じクラスメートの鈴原トウジに思いを寄せており、そのことでアスカに恋愛相談に乗ってもらうなど、信頼関係がある。アスカも学校でのヒカリの態度から、彼女の恋愛事情には気づいていたようである。
- 終盤でEVAとのシンクロが困難になり、自信を喪失し精神が不安定になったアスカを自宅にかくまう。しかし冷淡で自暴自棄にもみえるアスカの態度にヒカリは困惑の表情を浮かべ、互いに理解し得ない表層的な友情であったことが示唆される。
漫画版
ガキエル戦は簡略化されており、太平洋艦隊の援護があったとはいえ単独で撃破しており、その様子を後にシンジ達がビデオで観るという形になる。それに伴い、シンジとの出会いも、トウジとケンスケ共々街を歩いている時にゲームセンターで出会うという話に変更されている。
シンジとは衝突しながらも親交を深めており、自分の出自を告白したり、シンジが自らアスカに説教したりと、原作以上に自然体で打ち解け合っている。、原作に比べ、猫かぶりな面が表面化していると同時に、加持への想いが強調されており、彼に向かって面と告白するシーンがあるが、受け入れてはもらえなかった。一方で原作で示唆されたシンジへの想いについては曖昧に描かれている[注 4]。
正式な父親はおらず、精子バンクにより生まれている。実は、母親が夫との子に恵まれなかった結果、夫が他の女性との間に子をもうけ、その代償行為として不妊治療でもうけている。ドイツに養母(親戚)がいるが、「うわべだけは仲がいいだけ」である。
原作と同じく心理的に追い詰められていき、渚カヲルの早期の登場によりEVAパイロットとしての地位の危うさを思い知らされた直後、使徒アラエルの精神攻撃により廃人となる。病室で彼女を起こそうとしたシンジに襲いかかって首を絞めようとするが、これはかつて幼い彼女自身が廃人となった母親に絞め殺されそうになったことの繰り返しとなった。
戦略自衛隊のNERV侵攻の際、旧劇場版と同じく弐号機の中に自らの母の存在を見つけ復活。量産機を単騎で迎え撃つも多勢に無勢で危機を迎える。その時、シンジの初号機が駆けつけて事なきを得るが、再起動した量産機が弐号機に再び襲い掛かり、右腕を引きちぎられ、背中を両刃剣で刺されるなど再び死の危機に陥る。これに激怒したシンジは彼女を救出するために奮闘するが、その行動によって初号機のシンクロ率が250%まで跳ね上がり、暴走してしまう。劇場版のように弐号機ごと嬲り殺されることは無かったものの、その際に巻き起こった爆風に弐号機ごと飲まれた後、L.C.L還元時に「加持さんもあたしのこと好きだったんでしょ?」と言いながら加持の幻想に抱きしめられ補完された。
最終回では補完が拒否された新世界において、彼女とよく似た少女が登場するが、Cut (カット) 2014年 12月号の貞本エヴァインタビューによると「最終回に出てくるアスカは、これまでの本編でのアスカではなくて、次の新しい世界でも知りあえるであろう魅力的な女性の象徴として出している」とのことで、シンジとの恋愛的な意味は無いと発言しており、単行本化の際にシンジの頬の斜線も消している。
パラレル作品
『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd』(漫画:林ふみの)では、原作とは変わらぬ立場にあるが、レイとは不仲ではなくなっている。
『碇シンジ育成計画』(漫画:高橋脩)では、シンジの幼馴染として登場。彼に好意を抱いているが素直にそれを表せない、いわゆるツンデレの部分が強調されている。レイとは互いに恋のライバルとして認識しあっているが、不仲というわけではなく親しい友人同士にある。
『新世紀エヴァンゲリオン 学園堕天録』(漫画:眠民)では、漫画版に近いキャラクターとなっている他、「両親は健在」等の設定が追加されている。
新劇場版
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に初登場するアスカは、新劇場版でEVAパイロットに関する設定が変更されたことにより、日本姓が「式波」と改められた。EVA弐号機に乗る、”第2の少女”。
ドイツ出身[7]の帰国子女。一人称は「あたし」、二人称は「あんた」。口癖は「あんたバカぁ?」、「ばっかみたい(=馬鹿みたい)」。
後述の性格と人物関係の一部変更や先述のEVAパイロットに関する設定の変更を除けば旧世紀版と変わらない。また、母親に関するトラウマの設定も無くなっており、「惣流アスカ」と比較した性格の差異に大きく影響している。
勝ち気な性格と気持ちをストレートに反映した言動で周囲を圧倒する[8]。旧世紀版の社交的な性格とは異なる一種の武人のような無骨さを持ったクールな性格だが、他人との接触に前向きで、決して暗くはなく明るいが、独りでいることを好み、プライベート時には携帯ゲーム機をプレイしていることが多い。非常に俊敏な動作や、素手による一撃でガラスにヒビを入れる描写などから身体能力は高い模様。
一方で旧世紀版ではレイとは終始疎遠だったが、当作では気を配る描写などもあり微妙に異なっている。また、テレビ版では大きな依存心を持っていた加持に対しては、全くといっていいほど興味を示しておらず、異性への興味はシンジのみとなっている。
新劇場版:破
ユーロ空軍のエースで、階級は大尉。使徒との戦いのみを心の拠り所としており、当初はレイを「えこひいき」、シンジを「七光り」と呼び馬鹿にする。その後、第8の使徒との戦いなどを経てシンジ達への見方や人生観を変化させ、他者とのふれあいによって笑うことができるようになった自分を発見する。転居当初、自室でパペットを用いて「私は特別」「1人でやるしかない」と自分に語りかけるシーンがあった。このパペットは3号機の起動実験の時も待機室に持ち込まれており、「ASUKA」の刺繍が入っている。
第8の使徒戦後、独りでは何も出来なかったことを認め、徐々に心を開くようになり、シンジに対して、呼び方を「バカシンジ」とし、自分を「アスカ」と呼ぶことを許す。さらにレイにも弁当を渡すシンジの姿を見て露骨な焼きもちを見せたり、シンジ好みの味の料理を作ろうとするなど、シンジへの好意や独占欲を見せるようになった。本部エレベーター内でのレイとの対話では、「碇司令のおすまし人形」と思っていた彼女が、シンジに真摯な思いを寄せていると考えるようになる。その後、レイがシンジとゲンドウの和解のために食事会を予定したその日がEVA3号機の機動実験と重なることを知り、自ら3号機の実験パイロット役を志願する。3号機搭乗の直前、自分は孤高に生きているが、他人と触れ合うのも悪くないとの考えをミサトに打ち明け、起動直前のエントリープラグの中では「そっか、私笑えるんだ」とつぶやく。その直後3号機は第9の使徒によって侵食され、ダミーシステム制御に切り替えられた初号機によって使徒として処理され、アスカはエントリープラグごと初号機に噛み砕かれた。この戦いの後、生存は確認され、身体の侵食痕は消えたものの精神汚染の恐れがあるとの理由により厳重に隔離され、その後本編内での登場は無かった(五体満足かどうかの描写もなかった)。
『ヱヴァンゲリヲン:破 全記録全集』に収録の途中稿の第9使徒による侵食シーンには、テレビ版と同様の過去(母親に関するトラウマ)を匂わせる記述がある。
新劇場版:Q
『破』から14年経過しているが、アスカ曰く「エヴァの呪縛」の影響により、外見年齢は14歳のまま。左目を黒い眼帯で隠しているが、Mark.09に連れ去られるシンジを睨む際には使徒封印用呪詛文様の青い十字の光を帯びていたが詳細不明。『破』から14年後、現在はフォースインパクトを目論むNERVへ反抗する武装組織「WILLE(ヴィレ)」に所属し、改修されたエヴァ改2号機のパイロットを務める。エヴァ8号機のパイロットである真希波・マリ・イラストリアスとは、任務においてパートナーを組んでおり、お互いに「コネメガネ」「姫(お姫さま)」と呼び合う関係。
『破』の終盤(14年前)にサード・インパクトの元凶となってしまったシンジに対しては、他の旧NERVのメンバー同様に怒りを見せ、状況が呑み込めていないシンジを「ガキシンジ」「バカガキ」と呼び、一方的になじったりガラス越しに殴ったりする。危機的状況に陥った際には思わずシンジの名を呼んだり、脱出したシンジのエントリープラグに肩で息をしながら駆けつけたりなど、一応シンジへの思慕を示唆する描写もなされている。
シンジがカヲルと共に第13号機でセントラルドグマに向かおうとしていた際には、マリと共に追撃し、第13号機およびアヤナミレイ(仮称)の駆るEVANGELION Mark.09と交戦。AAAヴンダーの乗っ取りを画策するMark.09を阻止するため、改2号機を獣化第4形態(第2種)へ変形させる。しかし、乗っ取りまでの時間が差し迫っていたため、やむなく改2号機を自爆させた。自身はエントリープラグでの脱出によって、フォースインパクトの停止後も生き延びている。マリによって第13号機から強制射出されたシンジを発見すると、ヴィレによる救助を求めるため、カヲルが目の前で死んだことで虚脱状態に陥ったシンジを蹴り飛ばし、腕を引いて徒歩で赤い大地へ旅立った。
『Q』の予告編には左目を眼帯で覆い、『破』で着用していたものとは若干異なるプラグスーツで、青空をバックに笑顔で登場した。監督の鶴巻は「あれがないとアスカファンに殺されるかもしれませんから」と自分から予告編の復活カットを入れることを要望したという[要出典]。
交流(新劇場版)
- 碇シンジ
- 旧世紀版、漫画版同様、ミサトの家でミサトとシンジ、そしてペンペンと同居する。クラスメイトで同じEVAパイロット(第3の少年)。当初は「七光り」と呼んでいたが第8使徒戦後は「バカシンジ」と呼ぶ。アスカは、シンジとレイが仲良くしているのを見て焼きもちを見せたり、シンジ好みの料理を作ろうとする。
- 綾波レイ
- クラスメイトで同じEVAパイロット(第1の少女)。旧世紀版では関係の悪さを象徴するレイへの呼び方として「あの(この)女」などが使われていたが、新劇場版ではそれらは使われず代わりに「えこひいき」と呼ぶ。ただし旧世紀版と違い関係は比較的良好で、旧世紀版のようにあからさまな敵意を示してはいない。
- 葛城ミサト
- 第7使徒戦後の弐号機搬入の際にミサトらと対面するが、その際ミサトに対し「久しぶり」と挨拶している。ネルフ移籍後、ミサトの家に同居する。旧世紀版(後半)と違い関係は良好。
- 洞木ヒカリ
- 友達、クラスメイトで学級委員長。昼休みに一緒に弁当を食べようとアスカを誘う。
- 鈴原トウジ、相田ケンスケ
- クラスメイトでシンジの友人。シンジとの仲を冷やかされる[注 5]。
- 真希波・マリ・イラストリアス
- マリ自体はすでに『破』で登場しているがこの時点ではまだアスカと面識が無い。次作の『Q』では戦闘中はコンビを組んでおり、アスカはマリに対して、「コネメガネ」、マリはアスカに対して「姫」と呼んでいる。
ゲーム版
この節の加筆が望まれています。 |
レイ同様、セガからセガサターン用ソフトとして発売されていたゲームシリーズを始め、多くのゲーム作品では原作(アニメ版)の印象を忠実に再現したキャラクターとして登場しており、イメージもほぼ同一となっている一方、『新世紀エヴァンゲリオン 綾波育成計画withアスカ補完計画』など、原作の印象とは異なるアスカをメインに据えたキャラクターゲームも登場している。
名前の由来
「惣流」は大日本帝国海軍航空母艦蒼龍から、「ラングレー」はアメリカ合衆国海軍航空母艦ラングレーから、「アスカ」は和田慎二の漫画の主人公から[9]。
新劇場版の「式波」については、海上自衛隊のあやなみ型護衛艦「しきなみ」から[10]
補足
- 表記
- エヴァはゲーム等を含めた全ての関連作品共通で登場人物の下の名前は全員カタカナ表記であるが、テレビアニメ版最終話の、いわゆる「学園エヴァ」での登場人物の字幕でアスカはカタカナ表記から唯一漢字表記の”明日香”と表示されていた。
- その他
- テレビ版第弐拾弐話でアスカが踏みつけた猿のぬいぐるみは、宮村優子がサインなどに添えるイラストを基にデザインされている[11]。
- テレビ版第弐拾弐話のビデオフォーマット版での追加シーンでは、アスカが5人の声が違う自分を見せつけられるシーンがある。この5人の声が違う自分の声は、アスカ以外のエヴァンゲリオンの女性メインキャラクターの声優が務めている(最初から順に三石琴乃→林原めぐみ→長沢美樹→山口由里子→岩男潤子)[12]。なお、このシーンはシト新生DEATH編(劇場公開版)をビデオ版に転用したものである[13]。
- テレビ版から3年後を描いたパラレルワールド的続編である小説『エヴァンゲリオン ANIMA』では、使徒との戦いや補完計画を乗り越えたことで再び自信を取り戻し、トラウマも解消されている。また、レイとの関係も修復されている。
- 思想家の東浩紀は、新世紀エヴァンゲリオンにおいて、唯一第三新東京市の外部から到来し、ネルフ・ファミリーに属さないアスカを『エヴァ』世界における「外部の象徴」としており、『THE END OF EVANGELION』においては、想像的癒しをもたらす綾波レイと対照して、現実における他者としての役割を担っていると述べている[14]
- ロックバンドL'Arc〜en〜Cielの楽曲『あなた』は、作曲者tetsuyaが、この詞の"あなた"とは自分にとってアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のヒロインの一人、惣流・アスカ・ラングレーのことだとコメントしており、曲も旧劇場版エヴァンゲリオンを見た直後に作られており、「アスカへ向けて『心を開いてくれ』という思いで作ったもの[15]」と語っている。
他作品への出演
2018年8月11日放送のTBS系テレビアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』第31話でエヴァンゲリオンコラボが行われ、シンジを始め使徒を含め、ごく僅かながらエヴァのキャラクターが登場[注 6]した。第31話ではシンカリオンの世界での敵、巨大怪物体の「キングシトエル」が新劇場版に登場する使徒を組み合わせたものであるのに対し、本話で登場するアスカの名字は新劇場版の「式波」ではなく旧作の「惣流」になっている。なお、声は原典と同じく宮村が担当。
日本国外版での声優
英語版吹き替えはティファニー・グラントが担当している。
脚注
注釈
^ 企画段階ではO型のこともあった。
^ 設定では金髪であるが、それに従った場合実際に塗る色は黄色や黄土色になり、特にテレビ画面では見栄えが汚くなるため茶色に変更された。色の心配がない漫画版でも特に金髪であることは意識されていない[3]。新劇場版ではテレビ版よりも薄く明るい茶色に描かれた。
^ ただし第九話のシンジとの会話において1度だけ「レイ」と言っている。
^ シンジとの同居は原作アニメと違い、イスラフェル戦後にアスカの希望で同居している。NERV本部が停電し、二人きりになった際、テレビ版のようにシンジにキスを迫るシーンがあるが、そちらでは未遂で終わっている(アスカ曰く「ただの遊び」)。前述の同居の希望やキスを持ちかけたことや、「シンジがエヴァに溶け込んだ際には心配する」、「レイとの仲を原作ほどではないが気にしている」描写も多少ながら存在する。
^ シンジともめていたところをトウジが「夫婦喧嘩かいな」と冷やかした。
^ 登場したのはシンジ、アスカ、レイ、洞木三姉妹(長女コダマ、三女ノゾミは本話がアニメーション初登場)、ミサト(京都支部のオペレーターとして音声のみ)、新劇場版に登場する使徒(キングシトエル)
出典
^ The description of characters, on a site of Gainax Archived 2015年9月18日, at the Wayback Machine.
^ ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 身長対比図より。
- ^ ab『少年エース7月号増刊 新世紀エヴァンゲリオンコミック総集編』753ページ。
^ テレビアニメ版第9話
^ 2007年9月の「FLASH EX」のエヴァ特集他より
^ ラジオ番組『林原めぐみのTokyo Boogie Night』の第1030回目(2012年1月21・22日放送)にゲスト出演した際のコメント
^ エヴァンゲリオン公式サイト キャラクター紹介
^ エヴァンゲリオン公式サイト キャラクター紹介
^ “雑記”. 2007年9月27日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年1月1日閲覧。
^ ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 全記録全集 庵野秀明インタビュー
^ 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:11 VHS・LD版付録 EVA友の会 第拾壱号 もっと重箱の隅
^ 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:11 LD版解説 Bパート Cut/343 いろいろなアスカ
^ 新世紀エヴァンゲリオン Genesis 0:11 VHS・LD版付録 EVA友の会 第拾壱号 新作カット&シーンを探せ!! ビデオ・LD版の研究 第弐拾壱話、第弐拾弐話編
^ 東浩紀(1999) 『郵便的不安たち』 朝日新聞社 ISBN 4-02-257404-6
^ リットーミュージック社『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES/tetsuya L'Arc〜en〜Ciel』2010年
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2015年8月) |
- 新世紀エヴァンゲリオン・完全補完文書 日本文芸社 ISBN 978-4-537-25687-1
- ヱヴァンゲリヲン新劇場版Q 完全補完文書 日本文芸社 ISBN 978-4-537-26010-6
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